表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/108

悪役令嬢さんの観察


 とうとう来たわね。王立魔法学園の入学式。私は、ヒロインを観察するために、朝早くから校門近くの茂みに待機しているわ。シナリオが変わって、カイル様と協力関係にある今、ヒロインとは、どう接するべきが本人を見て決めようと思っているのよ。


 ゲームでは、純真無垢な可憐乙女という名の、空気の読めない戯言製造マシーンだったけれど、実際にあったら印象が違うかもしれないわ。私も心が癒される可能性もあるしね⋯⋯。

 だって、あのカイル様も最終的には惚れる女性だもの、きっと素敵な方に違いないわ。⋯⋯なんだか、胸がちくりと痛む、病気かしら。


 はっ、いけない、いけない。集中しないと。

 だんだん新入生達が登校してきたわね。そろそろ来るかしら。

 あっ、あの目立つピンク頭は間違いないわ。ゲームの主人公、ヒロインであるアリア・アスリースね。

 でも、おかしいのよね。アスリース家に、長女がいたなんて情報は、まだ入ってきていないのよ。ヒロインは、14歳の時にアスリース家に戻っているはずだから、私の耳に入ってきていても、おかしくない筈なんだけど。

 光魔法を扱える人は貴重だから、隠しているのかしら? 変だわ、ゲームでは、本人がやたらと主張していた記憶があるのよね。


 ヒロインと思われる女子生徒が近づいてくるわ。あれ、やっぱりおかしいわ。自慢のふわふわロングの髪を、きっちり纏めているなんておかしすぎるわ。


「 ⋯⋯ふっ 」


 しかも、校門前でテンションの高い独り言を言わずに、颯爽と学園内に入って行ったわ。「 ⋯⋯ふっ 」って笑ってたわね。何か面白かったのかしら?


 次は、道に迷ってカイル様に助けてもらうイベントね。重要なイベントだわ。しっかり確認しておかないと。

 私は、茂みから身を出し、ヒロインを追跡する。


「 あのう、頭に葉っぱが付いていますよ 」

「 あら、ありがとう。でも、今日はまだ付く予定だから問題ないですわ 」

「 えっ? 」


 親切な女子生徒に礼を言って、校舎内に入る。ヒロインは、迷う事なく道順通りに歩を進めている。

 まぁ、これだけ案内の紙が貼ってあったら、普通は迷わないわよね。ゲームと現実では、やはり違うのかしら。

 そんな事を考えていると、ヒロインの前方からカイル様とその弟のライル殿下がやって来る。

 なんで、まだ出会いイベントが先のライル殿下がいるのかわからないけれど、ヒロインと親しげに話し始めたわ。もう既に知り合いなのね。なんでかしら。


 もしかして、ヒロインも転生者とか⋯⋯。そして、逆ハーレムエンドを目指しているとか⋯⋯。それなら、親しげなのも納得いくわ。でも、態度は割と素っ気ない感じね、媚びてる様子もないわ。疑問が募る一方ね。


 普通に入学式が開かれる講堂に着いた。

 とりあえず私も自分の席に座らないといけないわ。ヒロインとは、かなり距離があるわね。

 ん? 前にピンク頭が座ったわ。ヒロインは、もっと遠くにいるピンク頭よね。不思議に思って、目の前のピンク頭を良く見ると男だったわ。ヒロインの血縁者かしら。制服の着崩し方といい、見た目は明らかに不良だわ。でも貴族の子息だから、根は真面目なのに背伸びしてる感が隠しきれてないわね。⋯⋯静かに入学式に出てる時点でね。


「 あの、すいません、肩に葉っぱが付いてますよ 」

「 あら、ありがとう。これは、取ってもきりがないから放置しているんですわ 」

「 えっ? 」

 

 隣の男子生徒が肩の葉っぱを取ってくれたわ。先ほどからいい人ばかりね。流石、国内の優秀な子供達が集まる王立魔法学園ね。葉っぱを付けてる公爵令嬢に話しかけるとか勇気がいるわよ。私なら出来ないわ。

 そんな事を考えていたら、もう在校生代表の挨拶だわ。


 カイル様、素敵⋯⋯。


 はっ!! 気がついたら入学式が終わっていたわ。急いでヒロインを追いかけないと!!

 この後、出会いイベントがあるのよ。女たらし枠の水色髪ロングの攻略対象、フラン・ジルベールとのね。

 確かヒロインが、体格の良いモブ男子と廊下でぶつかって、倒れそうなところをフラン様が助けるのよ。あの一枚絵は素敵だったわ。

 先回りして、ぜひ観察したい! 早く移動しないと!!



 良し、この壁の角なら、廊下がしっかり見えるわ。あちらからは死角になってばれない筈よ。

 ヒロインが来たわ、少し遅れてフラン様、そしてヒロインの正面方向からモブ男子。うわっ、モブ男子でかっ!! プロレスラーみたいな体格だわ。あんなのにぶつかったら、貴族の令嬢なら腕が折れかねないわよ。大丈夫なの、ヒロイン⋯⋯。


 ──ドンッ


「 あっ、すみません 」

「 こちらこそ、すみません 」


 ⋯⋯ビクともしてないわ、あのヒロイン。むしろ、モブ男子の方がよろめいて困惑してるわ。それはそうよ、あんなに鍛え上げられた体格で女子生徒とぶつかって、相手が1ミリも怯まないとか怖いわ。彼、肩をさすりながら歩いていくわ、痛かったのね。モブ男子の方が可哀想な感じにになってるわよ。


「 ⋯⋯ふっ、私に挑むのは早すぎた 」


 ヒロインが何か言ってるわ。モブ男子は、廊下でぶつかっただけで挑んではないと思うわよ。

 そして、ヒロインは、最後まで動じる事なく立ち去っていったわ。あの子何者なの? 本当にあのぶりっ子ヒロインなの?


「 あのぶりっ子、何か様子が変ね⋯⋯ 」



 あっ、そう言えばフラン様を忘れてた。あら、まだ廊下にいるわ。口を半開きにして、ポカンとしているわね。私と一緒で、一部始終を見ていたようだわ。その気持ち、分かるわよ。



お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ