王立魔法学園入学②
無事に自分の教室にたどり着いた。
ゲームでは、同じクラスに知り合いはいなかった。攻略サイトによると担任の先生が2周目から攻略出来るみたいなことが書いてあったが、私には関係ないな。あのぶりっ子に惚れるなら、私みたいなクールな女子には興味ないだろう。
「 アリア、同じクラスね 」
「 エラ!! 嬉しい、隣座ってください 」
前から2列目の右端の席にぼーっと座っていたら、知っている顔の美人が話しかけてきた。あのきもい像事件以来、仲が良くなったエラだ。
エラは隣に座って、私の耳元に顔を近づけ小声で話し始める。
「 このクラス、第一王子派閥の令息、令嬢が多いから気をつけてね。特に後ろの方に集まってる、あの集団 」
その話を聞き、ちらっと後ろを確認する。明らかにチャラそうな集団が大声で話している。私みたいなピンク頭にチャラいなんて言われたくないだろうが、地毛なので仕方ない。
ん、集団の中に私と同じピンク頭がいる。目つきの悪い、明らかに不良な見た目の男子生徒だ。不良といっても少女漫画のヒーローに出てきそうな不良だ。暑苦しい不良漫画の不良ではない。
「 あれは、デレク・アスリースよ。アスリース伯爵家の跡取り 」
「 ⋯⋯はっ!! 」
「 どうしたの? 」
「 いえ、何でもないです 」
デレク・アスリース。アスリース、つまり私と入れ替えられた子だ。私の親戚の子。道理で私と同じピンク頭なはずである。不良になっちゃったか。
私は彼に生暖かい視線を送っておいた。
───ガラッ
教室のドアが開き、黒髪の美しい男性が入ってくる。
「 席についてください 」
あれ、担任の先生って黒髪ではなかったような⋯⋯。
教室にいた生徒達が席についた。みんな教壇に立つ人物を見ている。
「 君達の担任のコルマ・ユリアーテです。学園では、家は関係なく平等に接するつもりです。よろしくお願いしますね 」
───ニコッ
コルマさんが微笑むと、教室の女子生徒の一部が頬を染めて惚けてしまう。
というか、何故ゆえにコルマさんがいるの!? 担任は攻略対象だったはずである。疑問顔でコルマさんを見ると、彼はこちらに向かって、さり気なくパチンッと片目をつぶった。
驚いている私を見て楽しんでいるようすだ。隣のエラは呆れ顔でコルマさんを見ている。
コルマさんも今、王都のユリアーテの屋敷に住んでいる。お父様であるダリオン様が、現役でまだまだ元気なので、卒業後すぐに辺境伯領には帰らず、コルマさんは王都で植物魔法の研究をしていると言っていた。今日の朝も一緒に朝食を食べたのだ。わざと黙っていたのは確実である。
今日、屋敷に帰ったら詳しく聞かなくてはいけない。
明日からの授業の説明や、新入生歓迎会の日程などを一通り話した後、今日の予定は終了した。後は各自、クラス内で交流するように言ってコルマさんは教室から出て行った。
出て行く前に、またさり気なく、私にウインクしていった。お返しに、私はジトっとした目で見てやった。
教室がまた騒がしくなる。女子生徒の話題はコルマさんの事ばかりだ。
だが、あの集団は気にくわないようだ。
「 けっ、田舎もんが調子に乗りやがって⋯⋯ 」
「 さっさと田舎に帰ればいいのにな 」
「 本当、見て。あちらからも田舎くさい臭いがしてくるわよ 」
例の集団がこちらを見ている。私の事か⋯⋯。私は確かにユリアーテ家の次女だもんな。
私は5歳まで田舎の村で育ったが、ユリアーテ辺境伯領については田舎とは言えない。むしろ王都の次に栄えている街もある。海路と陸路の貿易の重要拠点があるし、独自の文化も発達していて旅行客も多い。
まぁ、あの集団はわかってて言ってるんだろうな。王様の信頼が厚く、第二王子派のダリオン様が憎いだけだろう。もしくは親にそう言われて育ったか。
どちらにしても、問題が起きそうなクラスだ。最悪、私がなんとかしなくては⋯⋯。ゲームの内容に集中するために、余計な事は気にしたくない。
何故なら、ゲームの中では、人の命に関わるようなイベントもあるのだ。序盤しか知らないけど⋯⋯。
私は、エラさんと教室を後にした。
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