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クッキー美味しい



 どうもアリア・ユリアーテです。心地よく過ごしやすい秋の日、私は今ティールームで寛ぎ中です。

 えっ家名が変わってるって?はい、あの後簡単に居場所が、あの貴族様方にばれてしまいまして⋯⋯。

 あの方達はここら一帯を治める、あのユリアーテ辺境伯のご家族だったようです。私は光魔法の才能をかわれ、養子になりました。気がついたらなっていました。



 これ絶対もうゲームのシナリオから外れたと思う。ゲームほとんどしてないけど、最初に主人公がるんるんと、声に出しながら王立魔法学園に入学する時に言っていたのだ───


『 すっご〜い!!大きくて素敵な学校ね☆私が実はアスリース伯爵家の子供だったって14才の時に知ったときはすっご〜く驚いちゃったけど、光魔法も使えるってわかって良かった☆ウフフ♪ よっーし頑張って立派な魔法使いになるぞー!!えいえいおー!! 』


───と。

 校門前で一人でこれを言う勇気⋯⋯。ある意味尊敬出来る気がしてきた。⋯⋯と、他人ごとのように言っているが今世の私なのだった。ひいゃぁぁああ!!想像するだけで顔が赤くなってしまう。はぁ⋯⋯はぁ。


 もういっそ真逆を行くか。天真爛漫系ぶりっ子ヒロインの真逆⋯⋯。

 無口武士系クールヒロインか、結構いいかもしれない気がしてきた。


「 アリアどうしたんだい?ぼーっとして、もしかして体調が悪いのかい?大変だ医者を呼ぼう!! 」


 一人で思考を巡らす私を心配気に見つめる美少年。

 辺境伯家の跡取りの コルマ・ユリアーテ である。あの黒装束事件で私に逃げるように言っていた子だ。


 やや紫がかった黒髪は緩く波うっていて、艶々のふわふわだ。瞳は赤紫でキラキラと神秘的な光を放っている。優しげであり、妖艶なとても美しい顔をしていらっしゃる。直視出来ない。

 私は顔をそらした。


「 大丈夫です⋯わ。コルマお兄様 」

「 コルマでいいんだよ。アリア⋯⋯ 」


 なんだこの空気は、にっこり微笑むコルマさんは、まだ10歳だというのになんだか大人びている。なので心の中ではさん付けで呼んでいる。大人びすぎて逆に心配になるくらいだ。でも家族思いのとてもいい子だ。



 ⋯⋯ちなみに、私の見た目は、この屋敷に来て初めて鏡で見たが、何というかやっぱりゲームの主人公の幼少期って感じの女の子がそこにいた。

 薄桃色の髪にチェリーブラウンの瞳。このままいけば ()()になるという見た目。


「 やっぱり医者を呼んだ方がいいかな? 」


 はっまたぼーっとしてしまった。


「 ⋯⋯私より、力が強い者を連れて来られましたらね⋯⋯ 」

「 確かにアリアより回復魔法が得意な人を僕は知らないな 」


 無口武士系クールヒロインを目指して発言してみたがコルマさんには軽くスルーされてしまった。


「 僕は君に心から感謝しているんだ。母上と姉上、それに護衛たちを救ってくれた。母上はあのままでは、治療が間に合わず亡くなっていただろう⋯⋯ 」


 向かいのソファーに座っていたコルマさんが横に移動して来た。私を見て真剣な表情をしている。そんな顔で見られたら私も目が離せないではないか。


「 姉上は好き合っている婚約者と婚姻を結ぶひと月前だった。相手方には君が助けてくれたことは話していないが、知ったらとても感謝すると思うよ 」


 そう、私のことはまだ(おおやけ)にされていない。私が五歳児ということで大人になるまで安全に保護する為だ。黒装束に逃げられたので、敵?には知られているかもしれない。

 今、コルマさんのお父さんの辺境伯様は王様にだけ、このことを報告しに行っている。

 私のせいで苦労かけます。申し訳ない気持ちで辺境伯様が乗る馬車には馬ごとかなり強い強化魔法をかけておいた。役に立っているといいな⋯⋯。


「 アリア⋯⋯。また自分の世界に入ってしまったね。まぁ、そんな君を見ているのも嫌いじゃないんだけどね⋯⋯ 」


 あっ!!このクッキーすごく美味しい。

 はぐはぐはぐはぐ⋯⋯。美味!!顔がニヤける。


「⋯⋯ふふっ、アリアは可愛いなぁ⋯⋯ 」


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