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まだ修行中の身です


 あの後だいぶ流された私は洗濯に来ていた女性に拾われた。私はももた○うか!!


 そこは、小さな村で辺境伯が治める土地のようだ。私は、少し変わった子として育ち五歳になった。身寄りのない子は村全体で育てるようだ。育ててもらえるだけありがたい。こんな田舎の村、裕福とはほど遠い、それでも孤児を育てられるのは辺境伯がいい領主様だかららしい。


 私はその間に本来なら十五歳から開花するはずの魔法の練習を陰で頑張っていた。ゲームの主人公であるアリア・アスリースは光魔法特化である。回復系や結界などの魔法に優れている。

 だが私が一番力を入れているのは、身体強化の魔法だ。最近では自分より大きな岩が砕けるようになった。

 魔法の使い方は何となくわかった。使いたいと思うと大地から知識が流れこんでくるのだ。これが大地に愛された乙女の特権か!


 そして今日も今日とて隠れて修行中だ。村から離れた街道の見える森だ。街道側からは、死角になっているので見られることはないだろう。

 何せ光魔法を使える人は貴重という設定なのだ。私は非力な五歳児、すぐに捕まってしまうだろう。岩を砕くが⋯⋯。


 今日は手刀で木を切り倒す練習だ。今は三回は当てないと倒れないが、一発で倒せるようになりたい。まずは素振りからはじめよう。


「 ふんっ⋯⋯ふんっ⋯⋯ふんっ⋯⋯ふんっ⋯⋯ 」


 シュッ⋯⋯シュッ⋯⋯シュッ⋯⋯シュッ⋯⋯


「 ふんっ⋯⋯ふんっ「 きゃー!!助けてー!! 」


「 ⋯⋯ふん? 」


 今助けを求める声がしたような。私は声が聞こえてきた街道の方を見た。貴族様の馬車が複数人の黒装束のやつらに襲われていた。護衛も1人を残してやられているようだ。しかもドレスの女性が1人血塗れになっている。傍らには、女の子と男の子。

 非戦闘員に手を出すとは許せん。私は事件の起こっている現場にかけだした。


「 婦女子に手をだすとは、けしからん奴らだ!!」


 黒装束達は、一瞬にして現れた五歳児を見て驚いているようだ。おそらく貴族であろう方達もだ。まぁ、私でも驚くだろう。

 だがすぐに1人残る護衛に向き直った。私は無視された。


「 君、早く逃げるんだっ!!ここにいては、危ないっ!! 」


 男の子が私に向かって叫んだ。私は無視されたショックから立ち直り、すぐさま襲われている人達に結界魔法をかけた。そして自分にもかける。

 黒装束は五人いる。身体強化をかけ直して、黒装束の1人に凄まじい速さで近づき跳び、手刀を一発。


「 ぐっはっ⋯⋯ 」


 一瞬で意識を手放した黒装束が倒れた。他の黒装束達も私を敵と認識したようで襲いかかってくる。私は上に跳びあがり黒装束達の視界から消えると、落ちながら2人同時に蹴りつける。1人はそのまま気絶し、もう1人は他の1人を巻き込んで2人仲良く岩に突っ込んで気絶した。

 そして残るはもう1人と思ったら、もう既に逃げ去っていた。不利と見て逃げたか。


「 昼間っから黒装束は意味がないと思う 」


 私は一言呟いたあと、怪我をしている人達に回復魔法をかけた。倒れている護衛の人達もドレスの女性も無事なようだ。

 1人だけ残って戦っていた強そうなおじさんは、倒れている黒装束を縛りあげている。


「 あなたは光魔法が使えるのですね? 」


 ドレスを血で濡らしていた女性が話しかけてきた。


「 はい、まだ修行中の身ですが⋯⋯ 」

「 師がいるのですか? 」

「 ⋯⋯いえ、独学です 」


 その場にいる意識のある人全員が私を見て、呆然としている。私は居た堪れなくなり、その場を全速力で逃げ出した。



 私でもわかる。こんな五歳児いたら気味が悪いだけだ!!絶対、やばい奴と思われたに違いない!!



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