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異世界で美少女になったので動画配信はじめます!  作者: フォルトちゃんねる@vtuber
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サーシャを助けに行かなくちゃ

 街道に魔物が現れた。


「街道ってそれ、森のほうで間違いないんですか!? 他の道ではなく!?」


 思わず横から大声で尋ねてしまった。

 兵士は驚いたけどすぐに落ち着いて顎を引く。


「はい、森を通り抜ける街道です。大鹿が迷い込んだようで……駆けづらい森には入らないため街道が占拠されています」

「最悪ですわね」


 イエナがうめいた。彼女の視線はギルド館内に向いている。


「Aランク案件に対応できる冒険者がいませんわ」

「いるよ」


 私は自分の胸に拳を当てて、深呼吸する。


 残りは、十九回。


「私なら勝てる」


 §


「大鹿は、名の通り見上げるほどの巨体を持つ鹿ですわ。エルダーイミテートより少し小さいくらいですわね」


 街道を走りながらイエナが教えてくれる。

 私たちは大急ぎで武装を整えて、サーシャたちが取り残されている森林街道を駆け上がっていた。

 買ったばかりの武器が背中で音を立てる。真新しい武器を背負ったまま、走るペースをみんなに合わせた。


「そんなに危険なの?」

「とにかく脚が速いんですのよ。そして縄張り意識が激しく、進路を邪魔されると角で執拗に攻撃しますの。身体の大きさもあって、石造りの市壁を破ったこともあるとか」

「ヤバいじゃん」

「ヤバいですわよ」


 軽快に走るミヤとイエナ、どちらも足は速い。

 それでも《身体強化》、それに魔物のリルほど速くなかった。リルは度々先行しては振り返って私たちを待っている。


「ミヤたちに合わせて遅れることはないにゃ。先に行って助けて欲しいにゃ!」

「わたくしからの情報も打ち止めですわ。サーシャをお願いします、フォルト」

「あは。なんか懐かしいね、このやり取り」


 助けてほしい。サーシャをお願い。

 私たちが初めて話したときも、そんな話をしていた。


「あの子も大概、お姫様体質ですわね」

「かもね。それじゃちょっと――助けてくるよ!」


 私は走る力を強めて加速した。

 景色が飛んで森の色が違って見える。

 リルが私を先導するように走る。《身体強化》の全力でも追いつけないくらいリルの足は速い。

 やがてすぐに、道端に寄せて立ち往生している馬車を見つけた。

 サーシャたちの馬車だ。


「っと、っと、っとととととととぉ――っ!?」


 急に立ち止まれなくて通り過ぎた。

 かなりオーバーランしてから、ようやく戻る。

 戻ったときにはサーシャが道に出てきていた。


「フォルト! どうしてここに!?」

「大鹿が出たって聞いて、すっ飛んできたんだよ! 大丈夫?」

「横を通り過ぎただけ。私たちは大丈夫。道を塞ぎさえしなければ滅多に襲われない……ってお父様が言ってるわ」


 サーシャが道を外れた森を振り返る。視線の先に、大剣を提げるパパーシャがいた。

 馬車を降りて森林に身を潜めてるのか。

 大鹿は森には進入しないらしいから、ひとまずは安全だろう。


 とはいえ、森にはほかの魔物が現れる。


「後ろからミヤたちも来てるから、合流して身を守ってね。私は」


 どどん――どどん――という地響きが土を介して伝わってくる。

 街道を見ると、土煙がちょっとした嵐のように吹き上がっている。先鋒に見えるのは、縮尺を間違ったようなダンプカーサイズの巨大なシカだ。


「私は、あれをやっつける」


 サーシャを森に逃がして、リルも一緒に下がらせた。

 背中に背負った剣の柄に手をかけて、深呼吸。


――《武の極地》


「あと十七回ッ!!!」


 両手剣を抜き払った。

 大きくて頑丈な武器という雑な基準で選んだ両手剣は、重すぎて自由に動かせない。

 だから、慣性で動きの鈍い両手剣を中心に置いて、動きに巻き込むようにして使う。

 重みに力を流し込むようにして、回転に乗せるようなイメージで……、


「横薙ぎィ!」


 薙ぎ払う!


 横顔にジャストミートした大鹿は首をバキンと曲げて、

 そのまま巨体で体当りしてきた。


「ぉぶごッ!?」


 押される。

 踏ん張ろうにも体重に差がありすぎて身体が浮いてしまう。たっぷり四秒は大鹿の顔面に張り付いて、それからポーンと撥ね飛ばされた。


「あ――怖ぇえええええ!!」


 バク宙で姿勢を整えて両足で着地。両手剣を棹に地面へ突き立てても、まだ身体が後ろに滑っていく。


「私前世の死因はトラックに撥ねられた全身打撲と内臓破裂なんですよ! 勘弁してよ!」


《身体強化》《武の極地》重ねがけでかろうじてダメージを逃しきったけれど、衝撃は全身の骨まで響いている。

 マジで怖かった。


 大鹿は立ち止まって私を見下している。

 頭の片角が折れ飛んでいた。道端に突き刺さる。


(「走る邪魔をした相手に猛攻撃する」なら、これで狙いは引きつけたはず……)


 立ち上がって両手剣を青眼に構える。

 大鹿はゆるやかに首を振ると、


 そのまま振り返って、


 逃げた。

ブックマーク、ポイントなどよろしければお願いしますヽ(´▽`)ノ

なんだかTuberぽい……!(


つぎの動画あげました!

ゲーム実況に挑戦しましたよ。オープニング見た瞬間から神ゲーだと確信しました。

https://youtu.be/164z4D0HkpE


後書きにハイパーリンク設置できない仕様ゆえベタ張りお許しください!

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