表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で美少女になったので動画配信はじめます!  作者: フォルトちゃんねる@vtuber
15/38

蒼髪幼女と接触します!

 ……蒼髪幼女は、すぐには襲ってこなかった。

 草原の真ん中まで来て、門番さんからも見えにくいかな、というあたりまで来て街を振り返る。

 街の空中に立っていた幼女は私と目があった途端、


 しゅん、とジャンプした。


 おぉ……っきく放物線を描いて、私の前にスタァーンと軽やかに着地する。

 全身をしなやかに弛ませて着地の衝撃を逃した。

 猫みたいなやっちゃな。


「ステイ! 待て!」


 蒼髪幼女はキョトンとした顔で私を見ている。


 私は「待て、話せばわかる」のポーズで身構えた。

 また腕を噛まれたらたまったもんじゃない。

 ……けど、どうも襲ってくる気配はなかった。


 幼女が動かないことを幸いと、私は彼女の足をよく観察する。


(やっぱり。怪我してるな)


 サーシャと一緒に見かけたときにはなかった傷だ。

 見た感じ、嚙み傷っぽい。

 赤黒くただれた傷は小さく、けれど深くまでやられているような色の黒さってことだ。


「効くのかわからんけど……いい? 待てだよ!? そのまま大人しくしててね!?」


 気持ちだけで伝われ! とばかりに言い聞かせてにじり寄り、さっき買った薬を取り出す。


「痛みで噛みつきやしないか……?」


 幼女は私の手を見て警戒はしているが、黙って耐えている。

 びくびくと逃げそうになる足をつかんで、買ってある瓶詰め蒸留水を【ストレージ】から取り出す。


「じっとしててね」


 優しくかけて傷口を洗い流していく。

 噛み傷は傷口の奥に細菌が入り込んでいるかもしれないので、無理に消毒しようとすると傷口を痛める。

 それよりは血圧で菌を押し流してもらったほうがいい。

 タオルで傷に触れないよう優しく拭いたら、買ったばかりの軟膏を出す。


「……なんか『スティックのり』みたいな形状になってんな」


 片手でも開けやすくて扱いやすい。しかも手がべとべとしない。ちょっと塗りすぎちゃうのはご愛敬。

 ともかく、傷口に軟膏をそっと塗る。


「……これでいいんかな」


 べちょっと塗りたくられた軟膏を見る。

 これで傷口が保護されるはず。

 蒼髪幼女の様子を窺う限り、……少し楽になってそう。これ効きが早いのかな。

 包帯をやや広めにぐるぐる巻いて締める。

 傷口は刺激しないようにしつつ、上下のところはキツく締めて圧迫止血を仕掛けてみた。

 本当は心臓より高い位置に傷口を置いて、不要な出血は抑えてもらいたいんだけど。


 噛み傷は、傷の場所が肉の中にあるので手当が難しく出血も止まりにくい。治りも悪い。

 現代では抗生物質も投与されるくらい感染につながりやすいもの。

 この環境では、清潔に保って栄養をとって安静にするのが最善だ。


 生前の友、犬のジョンは噛むような子じゃなかったけどさ。

 牙持つ生き物と暮らすなら相応の知識は必要だからね。


「こんなもんか。よしよし。なぁんだ、大人しくできるじゃん」


 幼女を見ると、むずがゆそうな顔で包帯を見ている。


「……外しちゃダメだよ!? わかってる?」


 幼女は私を見た。

 もしかしたら、けっこう言葉わかるのかもしれない。

 私を噛み殺しかけたヤベーやつだけど。


「栄養はあんまりなさそうだけど……野性味あふれる人食いには合うでしょ」


 私は【ストレージ】を開いて、買ったばかりの燻製肉(ベーコン)を両手で持つ。――デカいなこの肉。

 幼女の目が輝いた。心なしか前のめりになって、でもまだ動かない。


 こぶし一つ分くらい、ナイフで切り分けて幼女の口元に運んだ。


「もう動いていいよ。これあげる」

「あふ」


 幼女はベーコンに噛みついた。

 がふがふと食べている間に、私は辺りを片付けて足音を殺して立ち上がる。

 ソソクサと逃げ出した。




 よしセーフ。命拾いした。


「……しかしなぁ」


 私はふと首をひねる。

 最初にビーフジャーキー。

 二度目でサンドイッチ。

 そして今回は傷を手当してベーコンだ。


「これは餌づけじゃないのか」


 よくないなぁ……野生動物(動物ではないけど)に餌付けすると、襲ってきてよくないんだぞ……。

 でも自分が食われるよりマシだ。

 うむ。やむを得ない。


 街の門まで戻ると、門番のおじさんが安心したようにニッコリ微笑んでくれた。


「おかえり。用事は済んだかい」

「無事終わりました。あの、ちなみに街の空って結界的なもので守られてたりしますか?」

「ん? あぁ、よく知っているね。そう、魔物は空にもいるから、街を見えないフタが覆っているよ」


 やっぱりな。あの幼女はべつに虚空を歩いていたわけじゃない。

 でも。

 そうだとすると、あの子は本来、普通に街まで来たかったことになる。

 結界に遮られていただけだ。


 ……いったい何しにきたんだろう。

 まさか私を探しに来たわけじゃあるまいし。

 ストーリー展開に先駆けて二本目の動画を投稿します。

 今日明日じゅうに公開予定!(追記します!


追記

https://youtu.be/3Ay6FrbEc2w

TRPG「ソード・ワールド2.5」を扱ったネタで投稿いたしましま!

初回動画と同時に収録しておいたものです。よろしければよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

感想支援ツール「ここすきチェッカー」ご利用ください!ここすきチェッカー

匿名メッセージはこちらから→マシュマロhttps://marshmallow-qa.com/kr7abhfwayf7tlu

Twitterはこちら→https://twitter.com/fault_vtuber

YouTubeチャンネル!!→フォルトちゃんねる

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ