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人間とは。  作者: Daisuke
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人間は世界にとって害悪であろうか

よろしくお願いします。

 最近入学した、近くに海の見える工業高校で、僕は何をするでもなく、ぼーっと外を、つまりは海を眺めていた。


 周りには、工業高校と言う男子生徒の多い場所で恋愛に魅入られ、盲目になってしまったかのような情報技術科の生徒がたくさんいた。


 そんな中で僕は、ただ海を眺めている。




 ふと、目線を海から時計に移す。この世界のすべてを支配する、時間という流れを可視化した便利な道具だ。その道具は、そろそろ席に座らないとまずいぞと僕に教えるようにカタカタと時を刻んでいた。


 そんな世界の構造にうんざりしながら、木と鉄で作られた席に着く。


 何故世界は流れるものが無ければ成立しないのか。


 時も、噂も、電波も、すべて流れている。流れていなければ、人は満足感を得られない時代になった。


 嫌な人間だな、と自虐を一発入れ、授業の準備にとりかかろうとする。




 ふと、地面が揺れる。


 最初はわずかな揺れ。しかし、その揺れは一瞬にしてその規模を大きくしていく。 校内放送がここぞとばかりに鳴り響く。恋愛に目を取られていたものは、そこでようやく地面の揺れに気が付く。「愛は盲目」という言葉は、どうやら本当だったらしい。


 幸か不幸か、この教室は海がよく見える。つまり、これから起こることがすぐにわかるのだ。


 津波が来る。


 明らかにその揺れは尋常なものでなく、立っていられないものだった。


 予測したそれはすぐにやってきた。


 教室にいたもの全員が慌てふためく様子を横目に、僕は海をまじまじと見ていた。


 大海が揺れる。一度引き返して水位を低くしたそれは、恨みを晴らすようにこちらへと向かってくる。


 教師は何故か教室へ入ってこないと思っていると、もう教師だけで避難を開始している様子が、窓の外から見えた。海側の窓だ。訓練の時のような統率のとれた行動は、全くない。そのまま海に飲まれる教師たちが見えた。海はまだ足りないと言いながらこちらへ向かってくる。


 そしてついに、この学校を飲み込んだ。地面が崩れる。ガラスが割れる。悲鳴が聞こえる。




 目に何かが刺さった。目の前が真っ赤に染まる。それは焼けるような感覚であった。


 体が水に持っていかれる。だんだん目の前が暗くなっていく。


 もう生死の判断が自分でつけられないような状態に陥り、そのまま眠るように目を閉じた。




 人間の死というのは、きっと動物にとってはとても良い事なのだろう。


 しかし、それは判断しえない。


 そこの思考は自由だと思うが、個人的にはやはり人間は存在そのものが害悪だと思う。


 何故害悪であるか、という説明は、僕にはとてもではないが無理だ。


 なぜなら、それは限りなく感覚的なものでしか無くて、僕は人間を知り尽くしている訳ではないからだ。

ありがとうございました。

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