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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
堕ちた星降る町編

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サクラダの傷

 爺さんと婆ちゃんに感謝しつつ、通帳を締まってギルドへ向かう。


「よう御三人さん! 元気かい?」


 カウンターで募集中の依頼の紙を貰って検討しようと並んでいると、少し先に並んでいたサクラダが僕らを見つけて手を振る。僕とラティは無表情でスルー。僕らを呼んだ訳じゃないかもしれないので。セオリは直ぐにラティの背中に隠れる。小動物か。


「ちぇー、聞こえないのか。しょうがないな、お前さん順番俺と変わってくれよ」


 順番の交換を繰り返して僕らの前に来た。恐らくラティも僕と同じ苦虫を噛み潰したような顔をしていると思う。どの面下げて人の前にこれたのか。冒険者はこれくらい肝が据わってないと出来ないって話なのかな。


「ようようご機嫌麗しう! 今やシルバー帯すら飛び越しそうな康久御一行じゃございませんか!」


 大きな声で大げさな演技でからかうサクラダ。円墳で損があったとしたら、全部こいつがらみなんだけど。


「あららららー? こないだの件で怒ってらっしゃる? 怖や怖や」


 両手で顔を隠し、サクラダの前に居た人の前に行きその人の横から顔を出す。ここ連日なんでこんなに鬱陶しい部類の人間に絡まれるんだろうか……。何処かに厄落とし出来るところはないんだろうか。


「その顔は、何か厄に関してお困りのようで」


 ニタリと笑うサクラダ。本当に気味が悪い。人の心を読まないで欲しいわ。


「某、そう言った場所に心当たりがあるよ?」

「どうせ良く分からない物を拝まされてお金取られるんでしょ? 貴方のその手には乗りませんわ」


「ラティそれ違うよ? 多分この人星降りの石の御社の息子だよ。私首都でこの人と妹見たよ!」


 相変わらずラティの陰に隠れつつセオリがそう言うと、一瞬サクラダの顔が曇るも直ぐ元に戻る。


「そうなんだよ? 俺ってば偉い御社の息子なんだ! だから信じてよ!」

「そう言えばキキョウさんて確か病気を」


 セオリの言葉を遮る様に凄まじい速度で間合いを詰めて顔を近付け


「お嬢さん、心配有難う問題ないから気にしないで」


 凍るような微笑みをしつつ囁く様に言う。セオリは恐怖に慄きラティにしがみ付く。


「どうやら今日は日が悪いらしい。俺も厄が回ったかねぇ」


 サクラダはそれだけ言って去っていった。胡散臭くてどう考えても嫌な奴だけど、その妹さんの病気の話が気になった。僕はラティとセオリと共に列を外れ、師匠であるギルド長を訪ねた。


「ひぃん怖かったよぉ! あの人前見た時と違う!」


 セオリは恐怖から開放されたのかそう叫んだ。未だにしがみ付かれるラティは渋い顔をしっ放しだ。お気に入りの服が若干伸びてるし、後でまた喧嘩になるだろうなぁ。


「どうしたんじゃジジイに話してみ?」


 ギルド長は優しく微笑むと、今度はギルド長にしがみつくセオリ。セオリの頭を優しく撫でながら僕に視線を向ける師匠。さっきの出来事を説明すると座るよう促される。


「そらぁいかんかったの。首都とここでは話が違かろうて」

「と言うと?」


「ここでのあやつはシルバー級トップクラスの冒険者。首都では下っ端で妹を気遣う兄。噂や知ってる話も格段に違う。分かるか?」

「下っ端の話なんて誰も気にしないけど、田舎じゃ有名人て話ですわね」


 田舎かぁ……首都って一体どんな魑魅魍魎が居るんだろうな。今ですら凄い人が居るのにそれ以上なのか?


「まぁまぁ純粋な戦いの化け物も居れば、年月を積み重ねた者も居るし政治力で伸し上がった者も居る。それは今は置いておくとして、他の人間から余計な話を聞く前にワシから御主らに話しておくかの。ワシから聞いたと言えばあやつも随分マシだろうて」


 そう前置きして師匠は話し始めた。星降りの石とは所謂隕石で、それがここから離れた場所に落ちた。その影響で恐竜やモンスターは死滅したものの、自然が溢れ温泉が吹き出すなどの現象が現れたので人間が移り住み町が出来てその石を崇めた。


その町の初代町長にして奉る家がサクラダの家。栄えたのは良かったけど、一族の中に必ず数十人原因不明の奇病に冒される者が出て、それは恵みの代償として直さず背負わされる。更に体が持たず若くして亡くなる。それ故に嫁ぐものも婿に来るものも生け贄のように選抜され、町の反映の為に生き恐れ畏まられる存在。 

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