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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
新領域を目指して~雪山区域~

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雪山は辛いよ

 それからマオルさんに確認してもらった後、更にギルドまで獲物を運ぶ。が、最悪なのは全部回収する為現場とマオルさん家を往復する羽目になった。獲物の皮や肉はお金にもなるし町の貯蔵にもなる。当然儲けは跳ね上がったけど、次の日起きれなかった起きれる訳が無かった。全身筋肉痛で辛うじて目が開くくらいで寝返りすら辛いレベルだった。


死ぬ気で当日温泉に入って寝たのが功を奏したのか、二日目には何とか上半身を起こせた。こんな時の為に保存食と水を置いてあったので、その日も部屋で二人でグダる。


「生きとるか!?」


 チーさんがドアをバーン! と豪快に開け放ち入ってきた。体にも響いて全身隅々まで痛い。


「生きてますけど静かに入ってくださいましな……」

「何だい何だい二人して若いのに御老人みたいじゃないか」


 部屋の真ん中に陣取り座り始める。一つ一つの動きが賑やかで困ったけど、軽く動こうと立ち上がる。まだビキビキしているけどマシになったようだ。そして水出し用のお茶を急須に入れて水を注ぎ、来客用カップに入れてチーさんに渡した。


「そうそう、無理しない範囲で動いていかないとね。いつも使わない筋肉を使ったからそうなったんだ。これから雪解けまで使うんだから鍛えていこう」

「そうっすね」


「おぉおぉ賑やかだの」

「本当ですね」


 ドアを開けたままにして話していると、ギルド長とミレーユさんが入ってきた。僕たちは複雑な顔をしてしまう。


「なんだ難しい顔をして」

「なんかじーちゃん師匠が企んだんじゃないかって疑ってんの」


 背もたれを前に座りなおしニヤニヤした顔で言うチーさん。筋肉痛さえ無ければ力一杯突っ込んだけど、今そんな気力も無い。


「そうかそうかバレたのかそりゃ仕方ないの」

「ですね」


 なんと被告はあっさりと罪を認めた! びっくりしてラティと目を丸くして見合う。


「まさかみたいな顔しておるが、当たり前じゃろそんなもん。お前たちの実績からして割りの良い依頼を回していたらやっかみが凄くて敵しか生まなくなるわい。それに金だけ払えば良いなんてのは誰でも思いつくしやっておるんじゃよ。これでもお前の為になるものばかり選んだのじゃから、ワシに沢山報酬をくれても良いのじゃぞ?」

「あ、ズルいじーちゃんえこ贔屓してるー!」


 椅子をガタガタ揺らしながら口を尖らせて非難する様に言うチーさん。それを見て後頭部を掻きながら天井を見るギルド長。


「知らん奴ならまだしもお前と同じでコレも稽古を付けてるんじゃから、他の人間とは違うわな。まぁバレないように今後は気をつけるわい」

「やっぱね。あのオリジナルの篭手もズルいんじゃないの?」


「お前がそれを言うのはズルじゃろ」


 にゃははと笑いながら椅子を座りなおすチーさん。どうやらチーさんの篭手もギルド長の特注のようだ。


「まぁここじゃなんじゃから、ワシの部屋まで来ると良い。少し動いた方が良いぞ? 勿論暫く安静にしてないと腱が切れるかもしれんから大人しくしといた方が良いが」


 ギルド長の誘いを受けて僕らはギルド長の部屋に出向く。ミレーユさんがいつもの紅茶を入れてくれて皆でゆっくりそれを楽しんだ。


「まぁお主には色々と知って欲しい物があったからライラックにも会わせた。それと寮を出ろは関係がないんじゃがの」

「それはこちらの事情ですわ。他意はありません」


 僕とラティはホッと胸を撫で下ろす。こっちからしたら何を信じて良いのか分からなくなりそうだった。ミレーユさんは僕らに内緒にしてる大事な話はありそうだけど、それでも僕らは貶める為に黙っているのは無いだろうと何故か思った。


「御主らは本当に純粋だからのぅ。悪にも染まろうと思えば染まれる。じゃからこそ広く物を見て色々な経験をするのが必要じゃ。その結果どうしても悪になってしまったら、ワシらが止めてやるわい」

「そうならないようもっと考えます……」


 経験が無いからこそ考えもせず信じてしまうのは不味いなと改めて思った。無職のニートだったから元でも揉まれずに来た所為で身に染みる言葉だった。

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