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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
竜の都編

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クロウをお父様と呼ぶ女性

「相変わらず余計な考えを巡らすね……ぐあっ」


 気付くとクロウはラティが変身した竜に押され振り回されていた。ある程度共有しているとはいえクロウが感覚を支配しているからなのか考え出すと気付かないもんだな。


「呑気で結構だが体が元に戻ったらこのダメージを纏めて味わうのを覚悟しておくんだね」


 そんなものは今更だ。こちとら毎回死んでから変身してるんでそれに比べたらマシだろう。クロウは死んだりしないだろうから分からなくて痛みに弱いのかもしれないけど。


「そんな部分で君に勝てなくて良かったよ」


 僕でも神様に勝てる部分があるなんて凄いな。以外に偉人になれる可能性があるかもしれない。


「悪いけど笑わせないでくれないか? っつ!」


 ラティ竜にピンボールの球のように弾き飛ばされ外壁に激突するクロウ。体当たりの追撃を何とかずり落ちて避け地面に着地する。その時クロウが疑念を抱いた感情が伝わる。


「可笑しい……何故この都市の壁に激突したんだ?」


 この都市の壁に激突した? 吹き飛ばされたんだから当然だろうと一瞬思ったが、確かにこれまでかなり広い範囲で戦っていた筈なのに、首都を囲む塀に当たった覚えがない。特に竜神教(ランシャラ)の本部の近くは来てない。


それが今はその建物をぶち抜き塀に当たって止まった。クロウの言い方からしてここには来れないようになっていた、いや意図的にしていたんだろう。それが来れるようになったっていうのはどういう状況なんだ? この世界を作ったクロウを妨害出来る人と言って思いつくのは先ずは師匠だ。


だが今この星に居る師匠ではなく、この世界における魔法や魔術と言う概念となってしまった人の方だから無理だと思う。次に思いつくのはヨーハン博士だけど彼も今や居なくなってしまった。となると後は女神様だけどここのところ全然連絡が無いから可能性は一番高い。


「あんなのにそんな機能を与えた覚えは無いけどねっ!」


 上から降下しつつ蹴りを繰り出すラティ竜とクニウスを間一髪避け、直ぐにラティ竜の尻尾を掴みクニウスに投げつける。


光矢魔法(リヒツ・プファイル)!」


 パルヴァが放つ光の矢が僕とクロウの正面から飛んで来て、腕を交差させて防御の体勢を取るもなんと貫通して突き刺さり膝を着く。こんな強い魔法を防げたなんて凄いなとは思いながらも、さっきまで防げたものが防げなくなっているのは何なんだろうか。


「ホント何なんだろうねこれは」


 クロウが目を閉じ集中すると体がぽかぽかしてきた。どうやら肉体を活性化させ傷跡を修復し始めたようだ。


「やはり可笑しい」


 だが本人が想定していたよりも回復が遅いようで直ぐには治らず、クニウスやラティ竜の攻撃を捌きながら回復に専念する。その序にクロウは竜神教(ランシャラ)の本部から離れようとするもそれも適わず苛立ちを募らせた。


「仕方が無い、君帯の健闘を表して正真正銘僕の力を使ってあげようじゃないか……槍よ来い!」


 建物を砕く音がした後でクロウは手を空へ掲げると何かを握った。そして間髪入れずその何かをクニウスに対して投げつける。一旦避けたが急に軌道を変えクニウスの横っ腹に突き刺さると、クニウスの体を黒い炎が包んだ。短い悲鳴を上げた後クニウスは変身を解き地面に倒れ、その後刺さっていた槍は消え去ってしまったのを見てクロウは呆れた。


「全く君には驚かされるばかりだ。あんな貴族の温室で育った君が狡猾になるだけでなく、僕の槍すら消してしまうほどの強大な力を持つなんてね……だが消せたのだから良い。次は君の番だ」


 クロウは再度槍を呼んで次はラティに攻撃を仕掛けようとした。クニウスは変身能力を解除するだけで済んだがラティはあれが本来の姿だ。あのまま攻撃を喰らってしまったら危険だ……何とかしなくちゃ!


「残念だけどどうにもならないだろう? さぁ槍よもう一度我が召喚に応じよ!」


 クロウが再度空に手を掲げ槍を呼ぶ。色々クロウにとっての不都合が生じて来ているのだから、そろそろ僕の体を動かせても良い筈だ。


「残念ながらそれは無いね」

「あら、そんなに都合の良い状況が続くなんて無いわよね? 康久」


 不意に久し振りに聞く声が背後から聞こえクロウも驚き振り向くと、そこには槍を持ち僕に突き刺しているブロンドで緩やかなウェーブの掛かった長い髪の美女が、白い羽を生やし純白のローブを着て立っていた。


「な……!?」

「おわっ!?」


 僕は変身は解けてしまったものの、自分の感覚が戻り体を動かせるようになっていた。そして横を見るとクロウの体がそこにあったので急いで距離を取る。


「もう大丈夫よ康久。恐らくお父様はもう貴方には乗り移れない」

「……何故君がこんなところにいるんだミレーユ!」


 クロウは立ち上がると槍を僕らに差した人物に対して泣きそうな顔をしながらそう叫んだ。それを聞いてミレーユさんは、いつもギルドで見せてくれている優しい笑顔のままで答えない。クロウは次第に肩を震わせ周囲の景色を歪ませていく。


「一体誰が……誰が君にそんな仕打ちを!」

「私が望んだんですわお父様。これ以上あの人の為に暴走し続ける貴方を放っては置けませんもの」







読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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