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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
竜の都編

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RPG世界で生きてる人たち

 クロウ竜が弱音を吐くもクニウスは容赦なく突っ込み攻撃の手を緩めない。それでもその弱音もちょっと困ったくらいにしか聞こえないのが気になる。いやこの世界の神が僕が考えたような点を気付かない筈が無い。


「それは困る。君には自分を弁えて貰わないといけないのでね」


 クロウ竜はバックステップすると空高く舞い上がる。クニウスも逃がさず屋根に飛び移り飛び上がった。僕は空のクロウをに対して霧の呪術を放ち妨害し、パルヴァも光の矢を放ち妨害する。


「今度はこの手を使おう。対処出来るかな?」


 クロウ竜は僕らの攻撃を振り払いかき消した後、クニウスを咆哮で弾き両手に光の球を出現させてはなった。それは徐々に人の形へ変わり、目だけが見える白い仮面を付けた髪がボサボサで中肉中背で軽鎧を纏った男二人になる。


一人は黒い剣と青白い剣を持ち、もう一人はロングソードを構え背中に機械人形のようなものを背負っている。


「クニウス!」

「右は任せた!」


 流石に多勢に無勢だろうと思い声を上げながら走るとクニウスからそう言われ、機械人形を背負う男を相手にするべく野上の呪術を開放すべく印を結ぶ。


「氷結!」


 大気中にある水を相手の周りの身を指定し呪力で冷やして身動きを封じるものだ。野上の呪術は相手や物を縛るものが多い。その究極が人の魂を縛り体と引き離すものだとしたら、爺ちゃんが僕に教えたがらなかったのも分かる気がする。向こうじゃただの引きこもりだったし。


「喰らえ!」


 身動きが取れず落下して来た機械人形を背負う男に対し拳を叩き込む。完璧に捉え鳩尾に綺麗に入ったと思ったけど、いつの間にか機械人形の手が僕の拳を受け止めていた。それに怯まず畳みかける様に攻撃を仕掛けるが、先読みをされているように全て捌かれてしまう。


ただ防御に徹している時はそれしか出来ないらしく反撃は一切ない。機械人形が対応しているのを見るに能力を使用して防いでいるのだろう。幾らクロウとは言え枯渇しかけている魔術粒子(エーテル )を急に増やせないだろうし、今や竜神教(ランシャラ)はクロウ竜そのものとなった。


あの状態で魔術粒子(エーテル )を増やすのは無理だろう。何しろああなるまでに地獄を見てきた訳だし夢も希望も無い。


「おっ」


 捌かれると分かっていても攻撃を続けていると、少しバランスを崩して拳の軌道がズレた上に更に前のめりになり機械人形では無く人間にヒットする。それを見て予測しているのではなく、何らかの力を使い機械人形の動きを加速させた上で受けているんじゃないか。


それを確かめるべく継続して攻撃を加えつつ、その内一発を更に踏み込んで打って見る。すると後一歩で人間の方に一発入りそうだったところで拳が止められ、反対に攻撃を左側面から受けてしまう。何が起こったのか分からず受け身をし損ねてしまい大分吹き飛ばされる。


「康久、行けそう?」

「ああ何とか……。だがありゃなんだ?」


「嫌がらせよ。私の専門を多少能力がある人間にアイテム付きでやらせてみたって感じ」

「重力をコントロールするのが専門なのか?」


「違うわよ。あれは時間の流れをコントロールする機械を背負った人間のコピーね。実物では無いけどその元はこの世界に召喚された人間よ。余程上手く行ったのかあのクロウが人間そのものをコピーするなんて珍しいのよ?」


 心配してきてくれたパルヴァはクロウが出した者に対して驚きながらそう言った。この世界には僕やパルヴァだけでなく多くの向こう側の人間がこちらに来ているのか。一体何の為にそんな真似を。


「分かっているとは思うけどあれも無限に力を使える訳じゃないし、本人から比べたら大分劣化してるわ。貴方なら倒せるから兎に角消耗させて機会を窺って」

「アドバイスサンキュー!」


「危ない!」


 見るとクニウスがこっちに吹っ飛ばされてきたのでパルヴァを抱えて距離を取る。あのクニウスがやられるなんてもう一人の方も強いのか。パルヴァを下ろしてその相手を見ると、何処かで見覚えがある気がした。


黒い剣は光を放ち剣身を変化させていた。鍔から三つ又に分かれ中央はレイピアの様に細く先がダイヤのような形をしていて、その剣身を包むように光が出てロングソードのようになっている。もう一つの剣から剣圧による衝撃波が放たれたので三鈷剣で弾き返す。


「あっちがクロウの本命のコピーよ。こっちの世界に連れ込んで味方に引き入れた男。星一つを救った代償で英雄になり世界に取り込まれている。そんなものを達成できる人間は居ないんだけど、恐らく大分目を掛けたんでしょうね」


 頭の右側が激しく痛む。あの姿……僕は見覚えがある。とても久し振りで懐かしい。頭の中にぼんやりと出会った時の情景が浮かび上がる。自分が蟻人間になっていてそこでラティとも出会った、と言うか兄妹として育ったんだ。


師匠や女神様が言う素体のリセットの為にそうなっていたのは後で知ってたけど、僕らが住んでいた洞窟にあの人は現れた。少しの間一緒に旅をさせて貰ったけど、年上だったが無限の可能性を感じる人だった。


「クニウス、あの人は俺が殺るよ」

「おいマジかよ。アイツとんでもなく強いぞ?」


「ああ分かってる。だからこれで戦うんだ……変身!」


 

 







読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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