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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
竜の都編

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クロウ竜との交戦そのⅡ

「良い感じだよ君たち。そうこなくちゃね!」


 クロウ竜は大きな翼を羽ばたかせ下がりながら高度を上げた後、頭を下にして飛び込むようにして落下しスレスレで上体を起こし羽を広げ滑空してきた。建物を薙ぎ倒しながら速度を緩めず突っ込んでくるのを見て、クニウスは素早くパルヴァを回収し進路外へ移動。


僕も同じように移動するが、その前に多少は効果があると良いなと願いながら地縛りを通過地点に掛け移動した。屋根の上から見た時多少その速度が落ちたのを見て、通り過ぎて行ったクロウ竜に対して連続して仕掛けるべく更に高い建物の上に移動。


クニウスを狙って折り返して来たクロウ竜のコースへ次々地縛りを仕掛けていく。


「よくやった康久!」


 速度が落ち始めたところでクニウスはパルヴァを下ろして跳躍した。右足を出して背中に着地しようとした瞬間、クロウ竜が回転しようとしたのを見て地縛りを掛けて阻害する。背骨への直撃は逸れたもののそれでも近くには当たり、地面を削りながら着地した。


「おらああああ!」


 チャンスを逃すまいと硬い竜の皮膚を攻撃し続けるクニウス。僕もそれに続こうと移動しかけたがパルヴァに声を掛けられたので視線を向けると首を横に振っていた。直ぐにクニウスにも下がるよう指示を出しクニウスもそれに素直に応じて下がってくる。


「あれれ、チャンスなのに良いのかな?」

「思い出したのよ。そう言えばソイツってこの星の意思を乗っ取り融合しようとしてたのをね。それにその体に山ほど魂があるのに大人しすぎると思って」


 クロウ竜はゆっくりダメージがある感じで起き上がっていたが、パルヴァの言葉が終わるとおどけたようにぴょんと跳ね、両手を高々と上げて立ち上がった。


「残念。もう少し良い気分を味わって欲しかったなぁサービスタイムだったのにさ」

「本気で遊んでるんだなお前」


「当然だよ。差なんて可愛いもんじゃないからね、僕と君たちでは。だけどそれでも良い攻撃だった。即席にしては連携を取れていたしダメージも大分与えられてしまった」


 胸に手を当てたクロウ竜は悲しげな表情で俯き溜息を吐いた。本気の欠片すら出させられないのはそれはそれで癪だな。何とか一泡吹かせたいところだけど、正直な話コイツを完全に倒すのは無理だしこのまま遊んで話が終わる訳が無いので手の内を全部出せない。


「今度は少し本気を出すから頑張って凌いでね」


 クロウ竜は微笑みながら人差し指を立ててそう言った。微塵も本気を出さずダメージも回復できる程度しか与えられなかったのは、絶望感を感じざるを得ない。このままじゃ手の内を出す前にやられてしまうんじゃないか? 神々の遊びとかに付き合う身にもなって欲しいもんだ。


だがそんなボヤキをしている場合じゃない。少し出した本気とやらをやり返さないと、このままじゃここに来るまでに傷付いた人死んでいった人たちを失望させてしまう。こんな有様を見たらこんな奴に未来を任せたのかと思うだろう。


「クニウスにパルヴァ、フォローを頼む!」


 意を決して二人に告げて僕は屋根を下りクロウ竜へ向けて突撃する。一瞬目を見開いて驚いたが直ぐに微笑み体全てを広げて受けて立つと言う構えを見せた。全力をぶつけるしかない。


「地縛り!」


 少し手前で印を結び地面に手を当てそのまま足を滑らせて間合いに入ると、拳を地面スレスレからクロウ竜の腹目掛けて振り抜く。それを左足を上げただけで止められてしまったが、更に力を入れて足を踏み鳴らし押し込む。


「先生が得意にしてた東洋武術か。ただ所詮はコピー」


 あんなに出鱈目な強さじゃないのでコピーと言う評価は過大だなと思いつつ、踝辺りを強打してから股間を蹴り上げる。見えない壁に遮られはしたものの、衝撃波は防げずズズッと後ろに下がり更に左足で踏ん張ろうとしてバランスを崩した。


これは効いていると確信し見えない壁も構わず拳を叩き込む。クロウ竜も本気を少し出すと言って居たので防戦一方とはならず反撃に転じて来た。ただ左足をトントンして気にしている感じなのを見逃さず右側に攻撃を集中させる。


「良い感じだね。じゃあ今度は捕まえて見ようかな」


 どうやら左足を治し終わったらしくしっかり踏ん張ると払う殴るだけでなく、こちらを捕まえる動作を加えて来た。一瞬押され防戦になるも呼吸が荒く深呼吸をし、狙いを関節部分に絞ると決めこれまでの倍動くよう心掛け再度攻勢に出る。


クロウ竜の少し本気を何とか潜り抜けて攻撃を加え続けているが、それに怯みもせず反撃してきた上に同じ個所を攻撃させない。結果次同じところを攻撃しようとした時にはもう回復していてダメージの蓄積を狙えないでいた。


「何が少し本気、だ。全力じゃねーか」

「そんな訳ないだろう? と言うかそう言う意味で言えばここに居る全員が少し本気程度なんだよね。僕が遊んであげるーなんて言った所為かな」


 クニウスも隙を突いて攻撃に加わってくれるが、素早い判断で見切り余計な深追いをせずに対処している。これが少し本気なんて呆れるよ。


「ちょっと宜しくないなこれは。殺されないと言う余裕か知らないが君らも遊んでる。それは明らかに僕に対する侮辱だよ? 怒らせたいのかい?」










読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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