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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
新領域を目指して~荒れ地区域~

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円墳の闇その二

「よぉよぉ康久って言うんだっけ? お前さん。ちょっとその背中に背負ってる物見せてくれよ! なぁ良いだろ?」


 圧も押しも凄い。これだからチーさんは逃げたんだなと思いつつ、言い淀んだけど見せるまで引かない気らしい。チーさんと共に離れたラティを見たけど首を振るばかりでダメだ。仕方なしボウガンを背中から下ろして見せるだけとサクラダさんに見せた。が、それだけで済む筈は無く引っ手繰られた。


「ちょ、ちょっと!」

「まぁまぁ。俺はこう見えてボウガンの扱いを知ってるんだ。大丈夫取りゃしないよ。こんなもの取った日には直ぐに足が付いて御用だ。えーっとこの弦を引いてっと……。あれ? めっちゃ硬いなこれ。んがっ……あっ!?」


 落ち着きが無く一連の行動に突っ込む間も無くボウガンの弦は踏ん張りつつ引かれ、弾が天井付近へ飛んでいった。


「な、何をし取るんじゃ!?」

「康久君がやりましたー」


 ライラック教授が怒鳴ると、ボウガンを僕に放り投げ告げ口をしそそくさと前に戻るサクラダさん……じゃないサクラダだ。あいつ人の所為にしやがった。周りの視線が痛すぎる。皆見てたのに僕に押し付けようとしてる……。サクラダは冒険者たちとの繋がりも相当あるのかもしれない。今後気をつけないと。


「康久、来るよ」

「お兄様」


 チーさんとラティも僕の近くに戻ってきた。僕はボウガンを背負い直し、腰にぶら下げていたギルド長にこの間戴いた銀色で塗装された凝った加工のされている篭手を身に付ける。重さはこないだの鉄の篭手より重く、素材が違う気がする。これも科学の進歩の証なのかな。


「分かってる!」


 円墳の中の雰囲気が変わった。何より放たれた弾の着弾音が何時まで経ってもしないのがその証拠だ。回りも警戒態勢に入る。


「最悪だあの人」

「まぁまぁ。ポンコツダメ冒険者に見えてもあれでシルバー二だからねサクラダ」


 うっそマジで……!? 僕はゲンナリしながら天井を見る。暗闇の中何かが動いているのが分かる。徐々に僕らの松明に当てられてそれは姿を現した。


「ホントどうやったらこんな芸当が出来るのか聞いても”奇跡じゃね?”で済ましちゃうからねサクラダはさ。こっちは怖くて仕方ないんだけど」


 現れたそれは大きな牙だけの歯が生えている口が体の半分を占めたヒトデ型の化け物だった。身長は四メートルはあるかなって感じだ。さっきサクラダが放った弾はそのヒトデ型化け物の歯を数本砕いていて間抜けな感じになっていた。


「グィイイイイイイイ!」

「お兄様が笑うから怒ったじゃないですか!」


「いやこれは笑うでしょ!? あの人の所為だしさお門違いだよヒトデさん! あの男が」


 指差して冤罪を免れようとしたものの、サクラダは最早見えない。ちくしょう汚い!


「康久、その手のものと君の力、私に見せてよね」


 ウインクしながら距離を取るチーさんとラティ。何で二人して僕にこいつを任せたんだ? チーさんはまだしもラティまで。しかも両手を合わせて苦笑いしながらこっち見てる。……さてはこいつが怖いとかじゃなく受け付けないから無理って話だな。しょうがないなぁ。


「カアアアアアア!」


 両手そして回転しながら蹴りを繰り出してくる。見た目と違ってとても俊敏で攻撃はどれも直撃したら痛そうだけど、倒すって感じじゃなく牽制だ。あの口で僕の体の何処かに噛み付くのが狙いだろう。


「うぉっ」


 避けて移動するので周りに構っていられない。周りに構って死ぬ訳にはいかないし、周りも加担してくれる訳じゃないから心置きなく動ける。何より詳細が分からないから触れられもしない。


「あああっ!?」


 ヒトデ型に触れた瞬間、一人の冒険者が倒れた。見たところ解けた部分は無い。避けながら見ているけど白目を剥いている。毒針か何かか? なら上手く距離を取りつつ毒針を出させてそれを叩き折ってみるしかないか。

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