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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
竜の都編

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カイビャクの首都へ突入!

「部外者の癖に随分と介入して来るじゃないか」

「そんなに事情が知りたいのか? 深入りするとタダじゃ済まないぞ?」


「良く分からんが、借りくらいは返したいな気持ち悪いし。あ、いきなり返して貰うとか言って殺しに来る可能性はあるかルナの時みたいに」

「そりゃ否定出来ないな。お前は気に入らないしな坊ちゃんよぉ!」


 矢と投石を抜けてこちらに来た元竜騎士団(セフィロト)だった集団を一瞬で切り刻むと走り出した。付いてこいと言ってるんだろうと思いゴライを呼び、後の指揮をイザナさんとジュンインさんに任せると告げて後を追う。


クニウスと共に腐り落ちる人々を斬り捨てながら首都方面へ向かって走る。アルタに着いたがお化け屋敷の様な陰鬱さに支配されていて、地面から魔物が湧き始めていた。


「しっかしお前の姉ちゃん凄すぎ。こんなものパルヴァですら出来んぞ」

「他人の命を餌にした禁呪だろうから、元手はタダだって点で凄いお得だしクニウスと気が合うかもよ?」


「冗談だとしたら最悪のセンスだし、真面目に言ってるなら尚最悪だ」

「そうかな……」


 これまでのクニウスの言動とかからしてそう思っただけなのに。敵を切り伏せながら納得いかず首を傾げていると、何が気に障ったのかクニウスが魔物を投げつけて来たので蹴り返す。そこから魔族を切り伏せては蹴りを繰り返しながら突き進む。


「「ここは通さん」」


 ムキになってやり合っていていつの間にか首都まで着いていたようだ。大きな門の前に来ると、左右斜め上から下半身がゴム状のように伸びたのっぺりとした人型が襲い掛かって来た。


「うるせぇ!」

「邪魔だ!」


 左を僕が右をクニウスが切り刻み首都の中へと入る。クニウスが無言のうちに前に出て扇動し始めた。僕はその後に続き荒れた首都を見ながら進んだ。出来ればこうなる前の首都を見て見たかったと思うほど、他の地域よりも建築が特殊で芸術的な物が多く見受けられる。


「こりゃ絶景だねぇ」


 クニウスが足を止めたのでこちらも足を止め横に行き前を見ると確かに凄い光景が広がっていた。町の中でも一番大きな、山の様な城の前の通路は魔物と腐った人々で埋め尽くされていたのだ。


「どうする?」

「どうするも何もない。お前の姉はこっちに構って居られない今のうちにこっちをどうにかしなきゃならん。強行突破するぞ!」


 クニウスはそう言い切って気合を入れると、手を左右に広げてからその場で回転し始めある程度回転してからそのまま埋め尽くされた通路に突っ込んで行く。僕もその後に続き進む。クニウスが開けた穴は直ぐに埋め尽くされてしまう。


あのクニウスが諦めて突っ切らざるを得ない程の大量の人員を配置している。時間を掛ければ何とかなるにしてもそれ自体が不毛と言うのもあるのだろう。根源を絶たなければ腐った人々は何とかなっても魔物の方はどうにもならない。


首都の人々を食らい尽くした上に魂のストックまである。今この首都を包む竜を模した影は食らい尽くしたもので生成され、その鱗のように張り付いている魂はガソリンのようなものだ。倒し尽くすと言うのはそのストックすらも吐き出させるのに等しい。腐った人々を倒しても体を失っただけで魂までは消えない。


個人的に気になっているのが三鈷剣が大人しい点だ。ダルマの人々がデラウンへ襲い掛かって来た時に発した力をここでは見せてくれない。まだここはその場では無いのかそれとも影響が強すぎて出せないのか。後者なら不味い展開だ。


「おい! よそ見するなよ!」

「分かってるよ!」


 よそ見はしてないが思考に傾き過ぎたのを見透かされて注意される。それにしてもクニウスがここまで頑張るなんてあのヘラヘラした感じからは全く想像できなかったし、意外過ぎて驚きを隠せない。


「邪魔くせぇ! 千幻斬(サウザンドブレイク)!」


 城の入口に辿り着いた瞬間、クニウスが僕を城へ突き飛ばし後方の敵をあっという間に切り刻んでしまった。出鱈目すぎる……後ろから刺されないように気を付けるなんて気軽に言うもんじゃないな。


「パルヴァ! 来たぞ!」


 クニウスは城に向かって叫ぶも何の答えも無い。パルヴァたちもこの状況に耐えきれずやられてしまったのか!? クニウスが吹き飛ばしたとはいえまだ周りには魔物たちが居る。道を塞ぎこちらに来るまでそんなに時間が無い。ここを引くか城に入るかしないと。返事が無いとなると入るのも危ない気がするが。


「ちぃ……面倒なメイドだ」

「メイド?」


「こっちの話だ。ったく」


 クニウスは変身を解いて元の気怠そうなおっさんに戻る。鎧も着ておらず最初に会った頃と同じような格好をしていた。


―良い子ねクニウス。中までいらっしゃい。安全だから―


 城の方から声がこちらに来てクニウスを見ると、目を閉じ俯きながら右手で頭を掻きむしりつつ城の中へと進んだので、僕もそれに続く。パルヴァだろうけど見た目からしたらクニウスの方が完全に年上だが子供扱いだ。どういう関係なのだろう。


「この部屋だ。御姫様とご対面だぜ」


 クニウスに促されて赤く豪華な装飾が施された扉の前に立つ。いよいよ会えるのか……久し振りに会うからなのか心臓の鼓動が強くなる。














読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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