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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
新領域を目指して~荒れ地区域~

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ランクが上がったり住む場所探したり

その日は特に何も無くのんびりとした日となった。二人でそのまま町に出て、普段着などを買ったりギルドへの差し入れを買ったり銀行へ行ったりと本当に初めてじゃないかってくらいのんびりとした日を過ごした。


「いやぁ良い一日だったね」

「そうですわね……こういう日が出来ると働きたくなくなりますわね」


 ギルドの中にある席でお茶をしながら噛み締めるようにその日二人で出掛けた話をしていると


「二人とも、少し良いかしら」


 ミレーユさんが声を掛けてくれた。いつも忙しく最近は話す時間も無かった。


「どうぞどうぞ!」

「座ってくださいまし。本当にお久し振りで」


 僕たちは笑顔でミレーユさんを迎えるも、ミレーユさんは浮かない顔をしている。何か僕らがやらかしたんだろうか。


「何かやっちゃいました? 僕ら」

「思い当たるような無いような。出来るのであれば迅速に解決致しますわ!」


 テーブルに身を乗り出しミレーユさんに迫る僕ら。お世話になってるミレーユさんに迷惑を掛けていたらダメだ。即解決しないと!


「あ、ありがとうね二人とも。じゃあ話すわね」


 僕らは喉を鳴らしながら頷いた。何か巨悪が動き出したとか黒鎧たちがこの町を狙っているとかそういう話だろうか。ミレーユさんが言い淀むなんてよっぽどだろう。


「実はね」

「はい」


「退寮して欲しいの」


 その言葉に僕らはテーブルに突っ伏し溜め息を吐きながら元の位置に戻る。


「な、なるほどそれは重大な問題ですね」

「そうですわね」


「そうなのよ……。アロウさんが二人の功績について報いていないだろうと粘っていたんだけどね……実質無料みたいなものだし、何より二人はもうブロンズ七に昇格するし」

「え!? いきなり七ですか!?」


 僕とラティは顔を見合わせて驚きの声を上げる。ブロンズ一から五までも記憶に無いのにいきなり七まで上がるとは……。


「このランク制度も一応細かく設けてはあるけど、はっきり言って功績で飛び級したりもするのよ。何より細かい点数を付けられるような体制では無いしね。事件も狩猟も同じような扱いにしてる面もあるし」

「と言うとギルド長の推薦ですか」


「違うわ。ギルド長は抑えた方よ。町や警備隊からの評価が高くて彼らから貴方達をシルバーにした方が良いのではないか、と提案されてね。勿論直接介入は絶対に出来ないけど、依頼主でもある彼らの付けた点数もあるしそれを無視は出来ないの」


 何やら込み入ってきたな……。まぁ元はと言えば町とギルドの小競り合いの所為だから、両方とも負い目があるだろうけど。


「で、折衷案で七に落ち着いたって訳」

「本当に?」


 ラティの一言に苦笑いするミレーユさん。そりゃそうだよなぁ。町としてはランクを上げて難易度の高い依頼をしたい、ギルドとしても納得の行くランクにはしたい。だけど町の大きな介入を受けてのランクアップとなると、ギルドより町に媚を売ったほうが早いって話になる。そうなれば果てはギルドの形骸化。良い意味で相対的な存在であるのにそれが無くなってしまうと一方の支配する所になって上手くいっているうちは良いけどそうでなくなった場合とても不味い。


「そんな訳でランクも上がってシルバーも近い貴方達が何時までもここを住まいにしているのは、下の人たちの手前難しいのよ」

「なるほど納得です」


 そりゃそうだよな。金も名誉もあるのにタダで住まわせてもらってるなんて恨みを買うわ。苦情が入っていたのをアロウさんが突っぱねてくれてたんだろうけど、このままだとアロウさんに恨みの矛先が向かいかねない。


「ラティ、急いで家を探そう」

「そうですわね急がないと」


「そこで提案があるんだけど」


 ミレーユさんの提案とは前に小屋を発注した時のように、腕に覚えのある冒険者を集めて家を建てて見てはどうか、と言うものだ。そうすれば町にも冒険者にもお金が回って恨まれるどころか有り難がられるって寸法だ。


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