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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
竜の都編

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焦燥の影

 家の中に入りお茶を入れて御茶菓子も用意してからテーブルに座り皆で一息吐いた。


「そのネルなんとかと言う都市やサクラダの一族の話はガノン殿にとってはどうでも良い話なのは確かだろう。問題はお前だ康久」

「判断を間違えたんでしょうか」


「筋は通さねばならん特に漁夫の利に見えるのは間違いないし他からの目もある。サクラダが悪いのは言うに及ばないがお前好戦的であったように見えたのも間違いないじゃろ? あまり言うのは憚られるがサクラダは恐れたんじゃと思う」

「恐れたからあんな態度で来たと」


「お前に対する甘えでもあるだろうな。何もしてこないだろうと高を括っていた。だが考えて見るが良い。お前はこの戦いの旗頭。その自覚はあったか? 責任者と話していると分かっているのかと言う割にはお前も激昂していた。それが正しいかどうか今なら分かるじゃろ?」


 そう諭されて改めて考えると確かに増長していた点はあるし責任者として戦線を拡大せず怒りを抑えて冷静に交渉すべきだった。


「事情があったにせよ鬼童丸なりルナなりを連れて行かなかったのは失敗じゃったな。お前は目的が急に目の前に来て冷静さを失いかけていた。今回の件がその最たるものであったと思うぞ」


 返す言葉も無い。ラティを救う方法を一刻も早くと思い師匠と移動するにつれ己の弱さをずっと見つめなければならず、ラティと過ごしたデラウンそして一緒に問題を解決したネルトリゲルと思い出の多いところに来て自分が不安定になっているのを感じざるを得ない。


「例え知った仲だとしても冷静に考えて無礼であるなら首を刎ねるのは当たり前。今は戦だから刎ねねばこちらが刎ねられるしそうでなくても要らぬ人命が失われその未来に得られる人材も失われるから刎ねるのだ。お前のは個人的な怒りであって大将としての怒りではない。故に問題なのだとガノン殿は言いたいのだろうな。目的を果たす為にもここで失敗している場合ではあるまい」


 最早黙って頭を下げる他無くて穴があったら入りたい……。しょんぼりしながら頭を下げているとルナと玉藻に頭を左右から撫でられ余計しょんぼりしていまう。


「反省するが良い」

「お前もな鬼童丸。幾ら奥方連れとは言えお前の役目はあくまでも康久の支援でもあるのを忘れては話にならんぞ?」


 偉そうに腕を組んで鼻息荒く人に反省しろとのたまう鬼童丸に対して酒井様はビシッとツッコミを入れしょげる鬼童丸。


「まぁお前たち二人とも大和を離れて浮かれ過ぎではないか? 向こうではもっと獣の様に細心の注意を払いながらも目を光らせ隙を窺いながらじりじりと前に進んでいたと言うのに今は浮足立ってすっころびそうで見ちゃあおれん! 表へ出るが良い鍛えてやる!」

「「はーい」」


「返事が生温い!」

「「はい!」」


 鬼童丸と二人酒井様に続いて外へ出ると町中に移動し酒井様はこちらを向く。そしてここで始めようと言うので僕も鬼童丸も驚く。前と違い今はルロイ町には多くの人が居る。新竜神教(ネオ・ランシャラ)などもあって他からも入って来てるので人でごった返していた。


「どうしたどうした? 大和一の剣豪に世界最強の戦士がジジイ相手に躊躇するのか? 平原で無ければ戦えぬと?」


 ……ただの御爺さんなら躊躇しないけど大妖怪だし。とは言え酒井様も師匠の一人には違いないので断れるはずも無い。鬼童丸と視線を合わせて頷き酒井様を見るといつの間にか消えていた。


一緒に動くのは危険と判断し僕と鬼童丸は別れて酒井様を探す。こうしていると大和に居た時を思い出すなぁ。


「遅い」


 人ごみを素早くぶつからないように移動し港へ一旦向かっていると人ごみの中から僕を引っ掛ける様に足が出て来たのでそれを何とか飛び越えようとするも素早く追われ踏みつける覚悟で踏み込む。


だがあっさり着地寸前で踵に足を当てられバランスを崩しそのままタイミング良く開いた隙間に投げ倒される。


「いってぇ……」

「ぐわっ!?」


 少し離れたところで鬼童丸もやられたらしく声が聞こえる。凄過ぎて言葉も無い。酒井様も移動してるだろうに僕らを的確にとらえて足を出し転ばせて投げるそれも他の人に怪我をさせずにとか理解不能だ。


「周りて状況を把握し数と隙間を数えろそしていつまでも同じ調子で同じ道、予測しやすい道を進むな常に見られていると思え。相手が出て来た時が捕らえ時じゃ」


 余裕綽々何だろうと言うのは分かるし助言は有難いがこっちだって成長してるってところを見せないとまるで成長していないだけで終わる訳には行かない。


僕は移動しながら周囲を見つつ呪術を発動した。投げられた時に接触しているので酒井様に僕の気が付いているのでそれを追う。これは気では消しようがないので確実に追えるだろう。


「そこか!」


 酒井様の動きの速さでもしっかり追えるのでこれは便利だと感じながら攻撃を避けて反撃しようとするもするりとすり抜けて後ろに回られてしまい距離を取られた。


「貰った!」

「惜しいの」


 掴んだ鬼童丸は声を上げたが直ぐに一回転して地面に着地する。最短距離で回転して落ちているので避けようがない。しかも手すら使わずに投げられてるけどあれは合気なのかな……どちらにしても化け物が世の中多すぎるよなぁ。


「確かに強くはなったじゃろうが戦場ではまだまだじゃの。特に冷静さを失えば勝てるものも勝てなくなるぞ……っと」


 気は終えてたけど反応速度が追い付かずバランスを崩され転がされる。訳が分からん……。






 




読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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