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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
沿岸地域統一編

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ルロイ市の落日

「康久!」

「鬼童丸!」


 波止場近くを走っていると船から降りて来た鬼童丸が声を掛けてくれたので簡単に状況を報告し鬼童丸も報告してくれた。


海側は船長の操船技術に苦戦を強いられた挙句運悪く大砲が命中し座礁しそうになったが神魚竜が助けてくれて難を逃れただけでなく、船長の船を撃退する為に力を貸してくれたようだ。


神魚竜はマリアンヌさんの船を船長の船に接舷してくれて、何とか逃げようとする船長も無事捕縛し帰って来たと言う。


マリアンヌさんは船を修繕しつつ港側の警備に当たってくれると言うのでお願いし鬼童丸と美影さんを伴い森を駆け抜け農村を通り越しルロイの町へと進む。


農村も町も静かな明け方を迎えていて皆息を殺して身を潜めているかと思うと申し訳ない気持ちになる。


だがこのまま何もせず緊張状態を続けるよりは良いと考えた結果の行動だから最後までやり切ってしっかりと安定と安寧が訪れるように成し遂げる他無い。


「康久殿!」


 ルロイ市に入ろうかと言う所で聞き覚えのある声が飛んで来る。その声の主を見ると前に僕をギルドに迎えに来てくれた兵士の人たちだった。


一応警戒しつつ近付くとその先にはイザナさんが居て手を上げていたのでホッとして合流する。


「お前の名は案外使えるものだな。敵の兵士が幾人も投降して協力してくれている」

「案外ね……僕の名前を使って平和が早く訪れるなら存分に使ってくださいお題は成果で頂きますけど」


「言う様になったではないか!」


 イザナさんは楽しそうに両手に腰を当て豪快に笑う。ひとしきり笑った後僕らにテーブルに置いていた現状が書き込まれた地図を見せる。


「まぁ大方の予想通り市役所に立てこもっている。最終局面(オーラス)だがどうする?」

「時間を掛けずに行きましょう。市民の皆さんに寝不足を増やす訳にはいかないですから」


「そうだな。俺様たちも寝不足だしそうしよう。で、人数はどうする?」

「人数など要らん。お前たちは周りを固めておけばいい、そうだろう相棒」


 鬼童丸の言葉に微笑みながら頷く。人数は見たところもう五十人も居ないなら僕と鬼童丸、それにルナや玉藻に美影さんまでいるし十分だろう。


「本来なら兵士たちに攻城戦の経験をさせたいが徹夜の者も居るし連戦でもある上に投降兵も混じっているので不本意ながら任せる」

「まぁ見ておけ」


 鬼童丸はそう言って鞘に手を掛けながら市役所へと進む。僕らもその後に続いて市役所の玄関まで行く。


「どうする? ここはご丁寧にノックでもしてお伺いを立ててやろうか」

「そうしよう」


 鬼童丸の悪ノリに僕も乗っかってノックをするも返事が無いので入りますよと声を掛けて扉を開ける。


「面白味が無いな」


 開けた瞬間矢が飛んで来たが玉藻以外は皆得物があり連携も取れているので全て叩き伏せた。それを見ていた受付の奥の中庭に居た兵士たちは呆気に取られていたもものの急いで次の矢の準備をし始める。


「間抜けどもめ」


 鬼童丸は雷のような速度で受付のカウンターを飛び越えて斬りかかる。僕はそれに続きつつ潜んでいる兵士も纏めて周りの机などをハルバードと拳の交互で叩き壊しルナたちは左右の安全を確保する為移動した。


「なるほど籠城戦の支度は一応出来ているようだな」


 鬼童丸は切り伏せた兵士を離れへ向けて投げると無数の矢が突き刺さり落ちる。今ここに居たのは隠れて居た兵士を含めて十五人と言ったところで、更に残りは離れに居ると見て間違いない。


矢がこちらへ向けて放たれるも急いで本棚などで塞ぎ僕らは離れへ繋がる廊下へと走る。


「風神拳!」


 廊下の道を塞いでいた兵士たちを見つけると僕は鬼童丸より前へ出ながら両拳を上下に並べ左拳を突き出しながら右拳を引き、右足で踏み込んだ瞬間右拳を思い切り突き出した。


強烈な風を巻き起こし前に居た兵士たちは奥の壁を突き破り外へと放り出された。


「おいおいあまり見せ場を奪うなよ」

「さっきので十分だろう?」


 あの頃のような感じで鬼童丸と話しながら廊下を歩いて行く。突き当りを右に曲がり市長室までもう少しと言う所で横から壁を壊して兵士が突っ込んで来た。


「これが大将か?」

「実力は大将かもしれないね」


 僕らの前に立ち塞がったのは初めて見る二メートル以上あり恰幅も筋力もある兵士が槌を両手に握り歯を見せて笑っていた。


瞳孔が開いているように見えるのは間違いない無いらしい。口から涎が垂れ始めているので例の麻薬を使用しているようだ。


「康久!」


 ルナの方を見るとさっきの兵士たちのうち一部が動き始めた。どうやら徹底的にやらないとこの麻薬の効果を消せないらしい。


「よしここは久し振りに全力を見せてやろう。康久、お前には奥の始末を頼む」

「康久、こっちは任されるからあっちの掃除頼むわよ!」


 鬼童丸とルナの言葉に頷き僕は槌を持った兵士の脇をすり抜け市長室へと入る。市長はまるで政務中かのように優雅に椅子に座り机の書類を整理していた。


「お前は凶事そのものだな。我がルロイはあと一歩のところで崩壊してしまった」

「自分の我を通そうとするならそれ以外にとっては凶事である。そんな覚悟すら持ち合わせないで変革をもたらそうとしてたんですか?」


 僕の言葉がツボだったのか豪快に笑ったので僕も合わせて笑ってみる。特に面白くもなんともなかったけど笑っているうちに市長たちの信条の割に行動の軽さが面白くなって来てしまった。


「何が可笑しい!」










読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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