放牧地奥での退治依頼
ギルドに正式に依頼を出し、その場で依頼を受けてもらう。明日からスタートし完了報告をギルドにして貰って、ギルド員がそれに対してチェックを行い依頼主に報告して終了となる。狩猟依頼であれば物の受け渡しと市場価格調査の上相手方に渡し、料金を貰って冒険者に渡す。ギルドは冒険者と依頼主の仲立ちをしている。
冒険者はランクに応じた年会費を払っているし、依頼主は加入料は無く依頼をする時に手数料を払う。高ランク冒険者や冒険者をし功績を立て、偉い人になった人たちからの寄付なども合わせてギルドは成り立っている。ギルド員などの調査も毎月行われており、自浄作用もしっかりしているので国などからの干渉は最小限に止まっている。
「ではお兄様、行きましょう」
「はーい」
元居た世界が平和に思えるし、ブロンズ一帯は平和だったなぁと思う。荒くれさん達に依頼をした翌日から偽侍の件を解決した所為か御陰か御指名の依頼が増えていて、ギルドに依頼の選別を別料金を払ってして貰うハメになった。
中には出待ちして個人的に依頼をしようとする輩まで出てくる始末。ギルドを通さないとペナルティになって何の旨味も無い。それを説明してもそこを何とかみたいなのまで出てきた。
リュクスさんやミレーユさん曰く、僕のレベルが一番与し易いらしい。ランクが上がれば上がるほど、支援したい人間が多くなるからだ。名実共に実力を認められた人間を、育ちかけた時に手に入れられれば儲けが出る。ギルドを介すと金が掛かる。
「今日は初の放牧地奥での依頼ですわね!」
「そうねぇ」
正直二人でこうして馬車に揺られている時間が好きでゆったりまったり出来る。ギルド長と面談した時に聞いたけど、この地域で僕のように速い速度でランクを上げた人間は居ないらしい。ここの最高ランクはシルバー一、しかも現在不在。となると最高レベルの依頼が舞い込む可能性がある。というのもこの一帯は依頼がそう多くない。過酷な環境が理由らしい。なので中々抜け出せない人が多いという問題もあるようだ。
「……どうしましょうかね」
「そうだねぇ」
初めて根を下ろした町だし愛着はあって。
「流れに任せましょう。きっと風が吹くでしょうから」
「風来坊みたいだね」
「いいじゃありませんか。何れ必要な場所に流れていきますわよ」
僕は隣で笑顔で頷く。ギルドランクを上げなければならない。そうして例の黒鎧を初めて追える。向こうは国から許可証を貰っているんだろうから、それレベルにならなければ。
「よーし頑張って行きますか!」
「ですわ!」
マオルさんに馬車を預けて放牧地の北へと進む。今回の依頼は森の中で冬眠中の動物たちを襲っているゲオと呼ばれるここ最近発生している怪物の退治だ。
「居ましたわ」
木の陰に隠れて様子を見る。木をなぎ倒しながら穴を掘り、冬眠している動物たちを引き出し大きな口を広げて一飲みにしている。
「なんて食欲してるんだ」
「食欲なんでしょうかね……」
その紫の巨大な丸に突起物が疎らに付き、小さな手と足、一つ目と口と角が付いた顔の生き物はよく見れば何の感情も無く動いているように見える。
「ラティ気をつけてくれ。もしかすると跳ね返るかも」
僕はボウガンを下ろし地面に設置。足を掛けて弦を引き狙いを付け放った。
「危ない!」
直撃はし着弾したものの、ゴムの様な弾力を発揮し跳ね返された。ギリギリ弾を避けた後例の怪物をみるけどこちらには見向きもしない。
「どうしますか?」
「こうなったら肉弾戦かな。一応武器も持っては来たし」
ナイフは数本手に入れていたものの、拳とボウガンで間に合ってたので買ってはいなかった。ただそれらが通用しない、スライムみたいなものとも出会う可能性があるからとラティと二人分購入した。それを鞘から抜き構えつつ近付く。




