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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
沿岸地域統一編

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ルロイの拳を下ろす先

下ろす為には先に行かねばならずルロイの拳が下ろされるのをのんびり待つわけにはいかない。


「まぁ俺様が来たのだからその点は任せて貰おうか」

「何か良い案がありますか?」


 僕が尋ねるとニヤリと笑って席を立ち自分の仮の家を案内するよう言うので空いている集会所近くの兵舎の部屋を案内すると暫く休むとだけ告げ僕らを追い出して戸を閉めた。


「相変わらずねぇあの人」

「ちょっと安心したけどね。そうだ鬼童丸も宿舎を案内するよ」


 そのまま僕らは鬼童丸たちの宿舎にも案内した。とは言え僕らも今のところ同じ棟に居るので直ぐついて荷物を置いた後二人にギブスの町の案内して回った。


「港町と言うのは中々居心地が良さそうだな」

「内陸よりも風の通りが良いですからね。ただ冬になるととても寒そう」


 一通り回り波止場に戻って皆で並んで腰かけて休憩する。少ししてから鬼童丸と美影さんは並んで穏やかにそうギブスの感想を呟いた。


大和とは違う西洋の建物、しかも潮風に晒されるので塗料も特殊な物を使って居て樹木も風に強いヤシ系のものが植わっている。


畑も北ルートに近い場所に集中してあり商店街は潮風に商品が当たらないよう海に背を向けた感じで店が並んでいた。


思い出して見るとこれだけ違う景色を目の当たりにすれば驚くだろうなと思ったけど鬼童丸たちは意外に冷静に見えたものの果物や野菜、そして食堂にとても興味を示した鬼童丸を見て安心する。


 その日は二人に長旅の疲れを存分に癒してもらう為北の端にある大衆浴場へ夕方になると連れて行き皆で温泉に浸かる。


「やはり温泉は何処へ行っても良いな。これがあるとないとでは大きな違いがある」

「そうだね。ただこの先はデラウンにいかないと温泉が無いんだ。砂漠もあるし」


「そうかならデラウンとやらを早めに抑えよう。風呂に入れないと言うのはいささか厳しい」


 真面目な顔で言う鬼童丸。お風呂に入る時は顔の包帯を外していて今の時間殆ど人が居ないのでゆっくりは入れたのは良かった。


火傷で爛れた部分は大分良くなったけど初めて見る人は驚くだろう。医者の話では完全には治らないと言われたようだけど、元が妖怪なんだからそれで良いと言う鬼童丸は強いなぁと思う。僕ならそうは割り切れない。


「お前には話していなかったが大嶽丸と最後に色々と話したのが割り切れた切っ掛けでもある」

「そうか」


 詳しく聞くような野暮な真似はしない。鬼童丸が話したくなったら聞くって感じだ。例え相棒でも話したくないものもあるだろう。


鬼童丸が仇として追っていた大嶽丸さんは強引に蘇らせられたけどそれを恨むでも無くただ従うだけでも無く最後まで自分らしく行動し帰って行った。


自分の手で倒す為に腕を磨いていた鬼童丸の願いは直接的かどうかは分からないけどかなたなんじゃないかなと勝手に思っている。


「お前と久し振りに戦場を共にするのが今から楽しみだ。決して後れは取らない」

「鬼童丸が僕に後れたなんてあったっけ」


 フン、と鼻を鳴らしながら湯舟を出る鬼童丸。あの頃よりも筋肉がアップしているのを見るとお役目が忙しくても修行を重ねて来たんだなと言うのが分かる。


本当に良いタイミングで酒井様は鬼童丸をこちらに寄越してくれたと感謝の念に堪えない。これで竜騎士団(セフィロト )にも対抗できるだろう。


風呂を出た後皆で行ったん荷物を置いた後で食堂へと向かい美味しい海鮮料理に舌鼓を打ってその日はそのまま就寝となる。


 翌朝集会所に出向くとしょんぼりしたイトルスと仁王立ちするイザナさんにマリアンヌさんと言う画を見て帰りそうになったものの後から来たベオウルフさんやクラバさんたちに押されて中へと入る。


「あ、あの~また何か?」


 僕は恐る恐る尋ねると二人は溜息を吐いてからゆっくり教えてくれた。その内容を聞いて全員が溜息を吐いて項垂れる。


簡単に言うとルロイから脅迫めいた勧告がありそれをイトルスが握りつぶしていたのを早くに出て来て整理をしていたイザナさんに見つかりこの状況になったと言う。


何故皆に隠していたかと言うと別段直ぐに何も起こさないだろうし北ルートの調査やギブス市内がもう少し落ち着き良い流れになってから相談しようと思っていたらしい。


「呆れたものだなこんな馬鹿げた勧告を放置するなど」

「いえ、でもですねこんなの普通考えたらまともに取り合わないじゃないっすか」


「馬鹿者がそれほど相手は切羽詰まっているという状況が分からんのか!」


 イザナさんに叱られるイトルス。書状を見ると全てにおいて突っ込みたくなる部分しかないので疲れる。


確かにイザナさんの言う通りルロイは相当追い詰められているのは間違いないだろう。僕を当てにして色々やっていたのが全部無しになってしまい結局宙ぶらりんのまま拳を上げたままなんだから。


「えっと”貴殿らはルロイを欺きルロイの兵を使ってギブスを占拠したにもかかわらず勝手に宗教団体を立ち上げて不当に占拠し更には交易をも奪いルロイに対し著しく損害を与えた。よって今すぐにでもルロイに恭順し要職にある者をルロイ出身者に代えるよう要求する”と」

「”これに従わない場合はルロイの全勢力を持ってギブスを攻撃する”とも書いてありますよ姉上」










読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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