旗を受け継ぐ者たち
「ベオウルフさんの仰る通りですね。我々が始めた戦争としてここからは先んじて動きましょう」
イトルスも覚悟を決めたんだしこうなったらこちらが反旗の旗を受け継ぎ掲げて戦力を集めて行くのが正解だろう。ルロイは暫くの間スルーするのが良いと僕も思った。
近くに居た兵士にラルザたちが新設した新竜神教諜報部への伝言を頼んだ。僕の名前を大々的に宣伝して良いと許可を出し更にナギナミにも親書を送るようにと。
向こうも薬物問題で大変だろうがギブスを抑えた今、薬物の元は一応絶たれている筈だし親書が届けば動きやすくなるのではないかと考えている。
「その通りだな。僕もこれからはもっとガンガン動いて行くよ」
「首都へのけん制を考えれば砂漠の町より先、出来ればデラウンを拠点として抑えたいわね」
ルナは用意された黒板にギブス、砂漠の町、デラウンと名前を書いて横に線を引き繋げた。
「まぁこの間には荒野と砂漠がある。故に砂漠の町は攻め辛くルロイはこれまで放置されて来た。砂漠の町が味方に付いたというのは竜神教の侵攻を明らかに妨げた」
「となるとやはり先ずは砂漠の町までの交易路と補給ラインをしっかりするのが良いかね」
砂漠の町がこちらとの協力関係を築く条件として水の供給を入れたのはオアシスだけでは心もとなく雨も降らないからだ。
しかもルロイやモノイエに行く為に通る商人たちが多く住民以外にも水は必要だ。砂漠の町の大きな利益の一つと言って良い。
そこをクリアにしてデラウンを得られれば首都への足掛かりになるのは間違いない。なのでマリアンヌさんの言う様に補給ラインを確保する為の方法を考える必要があるだろう。
ただそう簡単に解決するならしている問題のでかなり厳しいと言うのは分かる。何か別の方法があれば良いんだけど。
「難しい問題です。ここから首都まではかなり距離がある。それを地盤を固めつつやるとどれだけの年月が掛かるか分からない。個人的にはその町や市の代表をそのまま取り込んで快進撃を続けて行くのが時間的には早い」
ベオウルフさんの言葉を聞いてこのままやってるとこちらの地盤も強固にはなるもののあちらの態勢も整い姉悪魔も回復してまた襲撃してくるだろうし、しっかりと目的と道筋を改めて確認しなければならないと思った。
個人的に首都を襲撃するに際して大事なのは背後から打たれたり横やりを入れられない状況だ。その為にはカイビャクの支援も欲しいし贅沢を言えばナギナミの将兵の力も借りたい。
そう、将兵が欲しい。兵を率いるのは誰にでも出来るもんじゃない。特に竜騎士団が出てくるのだから抑え込める人物が居ればと思う。
イトルスとベオウルフさんと僕しか現状居ないしマリアンヌさんはここに残って貰うからそうなるとやはり人数を掛けられるこの地で竜騎士団を迎え撃って数を減らしてから首都へ行くのが僕らに取れる方法今唯一の方法だろう。
改めて考えた結果先ずはここで足元を固めて竜騎士団を挑発し呼び込む方法を提案する。
「まぁ今のところそれしかないだろうな。手を組んだからにはもう話しても良いと思うから話すが、連中は何故か砂漠の町を通るのをとても嫌がっていて大概北のルートを通ってくる。個人的な経験から言えば北のルートの方が圧倒的に危ない筈なのにな」
こちらにとってはとても有り難いが何故危険な北ルートを取るのか気になるところだ。僕らが知らない何かが眠っていてそれを知らずに平気で歩いているとしたら困る。
後でこっそりその辺りを聞いてみるとしてその北ルートの詳細が欲しいと言う話になり調査団を派遣するという提案に全員一致で可決した。
この中で今比較的自由に動けるのは僕だろうと思って調査団の団長に名乗りを上げ、先ずは僕とルナと玉藻とティアで調査を開始する。
「やぁ久し振りだね!」
調査の為ギブス市側で野宿の道具などを調達していると不意に声を掛けられたので振り向くとそこには意外な人が立っていた。
「クラバさん! よくご無事で」
「お前さんたちよりは安全だったからね。聞けばルロイから離反したとか」
「え、ええまぁ」
「我々としても商売としてルロイは捨てがたいが俄然こちらの方に興味があったのでこうして来た次第さ」
見るとクラバさんと一緒にルロイに来た人たち全員が後ろに軽装で立っていた。ルロイ町の宿屋に止まっていてついさっきこちらに到着したと言う。
「荷物は全部ルロイで売り払おうとしたんだけどどうもあっちは混乱しているようだからこちらに持って来て今市場で高値で買い取ってもらったよ。俺の見立てではルロイよりギブスの方が商売するには良いね。何せあの野上康久が守護し、粛清前までの路線を受け継ぐ組織の本拠地になる訳だからな」
「経済が元気良く回ってくれるなら良かったです」
「俺もそう思うよ。ところでこれから何処へ行くんだ?」
クラバさんに話そうかどうか一瞬迷ったが別に隠すものでも無いし北ルートの調査に行くと告げると帰り道だから途中まで案内すると言ってくれた。
「良いんですか?」
「良いも何もお前さんたちが調査して通りやすくしてくれるならこちらとしては有難いし、何よりそうなれば商売の勢いも付く。前にも言ったように北は過酷な環境で竜神教の援助も得られないし俺たちは助けてくれる方に付くんだから手を貸さない手は無い。全員で行っても邪魔だろうから野宿しなれてる人間数名でお手伝いさせてもらうよ」
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