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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
沿岸地域統一編

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船上での会話

「彼は分かっているだろうがこれまで死が本当に目と鼻の先にあるような環境で生きて来た人間たちが絶対の加護を受け繁栄し安定した恩があるからこそ竜神教(ランシャラ)、というかブラヴィシに対して反抗し辛い。仮に全てが国営になり滞ったりすれば竜神教(ランシャラ)ではなく生産者に矛先が向くだろう。何故もっと供給しない何故もっと安くしない、とね。そんな的のような役割を誰が進んでやりたいだろうか」


 クラバさんの言葉に頷く。他の商人さんもこの状況が進めば気付く人も居るだろうけど恐らくそうなるまで気付かないんじゃないかと言う。


ホクヨウでは今も死がそこにある状況が続いて居るにも拘らず首都からの増援も無く自分たちの力で何とかしなければならない為、竜神教(ランシャラ)の加護が薄く教会も形だけで中には誰も居ないし物置のようになっているようだ。


「納めた税金分竜神教(ランシャラ)が何とかしてくれるなら俺たちだってこんな動きはしないが現実はそうじゃない。ちなみにデラウンの粛正を聞いてから直ぐに動き出したがモノイエ以外は望み薄だな。ただ竜神教(ランシャラ)も黙っては見て無いだろう。持久戦に持ち込んでもルロイの強みに下手をすると負ける可能性すらあるからな。商売人ならルロイと関係を断つなんて考えられない」


 カイビャクの国は広い。そうそう気軽に隣の市を攻めるなんて出来ない。特に情勢が不安になった今ルロイを喜んで攻撃しようなんて思わないだろう。


ルロイが反旗を翻したのも自らの強みを理解しているからであって決して無謀な試みではない。現にナギナミとの取引もあり友好関係もある。


カイテンもカイビャクとルロイどちらに付くかと言われれば答えは即答だろう。両国からしてもルロイを支援しそこを突破口にして竜神教(ランシャラ)を叩きたいはずだ。


特にカイテンは竜神教(ランシャラ)の乱と先日の首都襲撃で国民の憎しみは増すばかり。故あればいの一番にカイビャクの首都を襲撃したいだろう。


「俺としてはカイビャクの商人代表なんて大それたもんじゃないがルロイに付く奴も居るって言うアクションに一役買えればと思って皆と共にルロイに行こうとしてたんだ。港の連中に聞いたらルロイから船が一隻着てるって言うから強引に乗り込もうとしたところアンタたちが居て良かったって訳さ」

「出港するぞー!」


 クラバさんたち以外の騒動は無く出港の準備が整ったようで船は一路ルロイへ。距離的には船なら潮の流れにもよるけど半日も掛からず着くと言う。


その間ホクヨウの方面の話をクラバさんや仲間の商人さんたちから聞く。やはり元々デラウンは竜神教(ランシャラ)に反抗的だったようで、そう言った人たちが多く身を寄せている状況を面白くない市からちょっかいを出されていたと言う。


ホクヨウをうちの師匠が支援し冒険者を派遣したりしていたのも気に食わないところが多かったと言う。ホクヨウ以外にも困っているところに手を差し伸べたりもしていたので、竜神教(ランシャラ)を乗っ取ろうとしているのではなど憶測も呼んだらしい。


一応師匠は国に提案し難しいようならデラウンでやりますと竜神教(ランシャラ)にも上申してからの行動なので周囲から見ても竜神教(ランシャラ)から敵視されてはいても利用価値はあったというのは分かる。


だからこそこれまで利があるから放置されて来た師匠が粛清されたのには全市が驚き今までちょっかいを出していた市の人間たちが一斉にその動向や情報を求めてデラウンに近付いたらしい。今度は自分が標的にされるかもしれない、と。


「あの一撃のショウが粛清されるとなればそれより強い奴なんてこの国に居やしない。それどころかダルマの上の方も潰されたってなりゃ気が気じゃないだろうさ。自分はどんな風に潰されるのか、それを愉快に思えないと竜神教(ランシャラ)信者じゃないとなりゃ話は別だろう」


 結局師匠の行方は分からず他の市は大人しく息を殺すように従う日々を送っていたところルロイの蜂起の報を受けて彼らは歓喜したらしい。敵が出てくれた、と。


「恐らく今後も俺たちみたいのは増え続ける。出す方の市も喜んで出すとなれば竜神教(ランシャラ)を快く思わない者たちは一斉にここへ集うだろう。俺の希望的観測ではあるが最初の内喜んで送り出してた連中は泡食って止めだす可能性がある。多少冷静に考えられれば御先真っ暗なのは分かりそうなもんだがやっぱりそこは宗教。日々の信心が強いだろうから難しいとは思うがね」


 ヴラヴィシは上手い囲い込みをしたなぁと思う。竜の力を持って人間を護りながら経典を作り信仰を広げ魔術粒子(エーテル )を確保する。


死から逃れられた救われた者たちはそりゃ信心に励むだろうし恩を忘れないだろう。今もブラヴィシが健在だからこそ他国も手を出せないというのはある。


竜は長寿であっても不死では無いだろうから何れ終わりは来る。その為に研究施設で色々研究したり種の保存を始めているのだろうか。


デラウンで活動を始めた最初の頃に出会ったヴァンパイアの人もその研究に協力していると言うし今後どんな兵器が現れるのか未知数だ。


思考動物の夢や希望から生まれる魔術粒子(エーテル )。発展すればそれも膨らみ未来に希望が持てるというのは分かるけど自然を破壊してまでやらなければならないのだろうか。


ソウビ王とブラヴィシの違いがあるとすればそこかもしれない。ソウビ王は人の可能性に掛けてギルドを拡大し経済を回しつつ鍛え続けた。あの人も規格外の人間であるにもかかわらず。


自分でした方が早いものも多かった筈なのに後方からの支援に徹し続けた姿はとても僕には真似出来ないあれこそが偉人の姿だと思わすには居られない。











読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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