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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
沿岸地域統一編

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商売人たちの見立て

「是非親父さんにあったら挨拶したいなぁ世話になってるし」

「お世話になってるのは僕の方ですよ閣下。親父が一度カイテンに様子を見に来たんですがとても喜んでましたよ僕が司令部の幕僚になったのを知って。閣下がナギナミに行った後だったのですれ違いでしたが親父もいつかお礼をと言ってました。ただこれからカイビャクの北に行くとも言っていたので難しいかと」


 それは残念だなぁと思いつつどんな人なのか聞こうとした時、後ろが騒がしいので視線を向けると揉め事が発生したようなので皆で行ってみる。


「ま、待ってくれよ俺は怪しい者じゃないんだ」

「だったら何しに来やがった! 俺たちはこれからルロイに戻るんだぞ?」


「だからさぁそれに乗せて欲しいんだルロイに行きたいんだよ。歩くのも面倒だしさ良いだろう? 序に。金は勿論払うからさ」


 船員さんと揉めているのは誰かと思って覗くと見覚えのある人たちがそこに居た。


「おぉ! やはりここに居たか康久・ロジャー殿! いやぁ置いて行かれるかと思って冷や冷やしましたぞ」


 クラバさんと他にもあの時一緒に移動していた商人の人たちや護衛の人たちが荷物を担いで船の入口に立っていて僕を見ると手を振った。


「何だお前らの知り合いか」

「知り合いって言うかなんて言うか」


「しょうがないねぇもう時間も時間だからでなくちゃならないしこれ以上騒ぎを起こされる訳にはいかないから乗せる他無いね」


 マリアンヌさんは溜息交じりにそう言うと集まって来た人たちの荷物をチェックさせてから船に乗せた。


僕らにも責任があるのでお手伝いし何とか終えて船は出向する。チェックしたところ皆モノイエで商売をする予定だったと言っていた。


「モノイエは今の段階でどうするか態度を決めかねている。勿論基本は竜神教(ランシャラ)に付くと言う方針なんだろうが」


 クラバさん曰く商売するにはそれが一番困ると言う。竜神教(ランシャラ)に付くなら物はあまり必要ないのでルロイの方が高く売れるし、竜神教(ランシャラ)に反抗するなら色んな物が売れるようになるのでモノイエの方が高くうれる。


「ルロイは準備してから反旗を翻したんだろうけど遅れたところはそうもいかないだろうから売れると見るのは間違いじゃないだろ?」

「なるほどねだからモノイエに大挙して押し寄せて来てたのか」


「表向きは我々も竜神教(ランシャラ)側だが当然商売の方を重く信仰してるんでね。喧嘩の理由がどちらにあるにせよ離婚となれば付く側は決まってる。大体市長の殆どがニワカ信者なんだし皆通行手形くらいにしか思ってなかったのを戒律を厳しくするわ全員が入る必要があるわなんてなれば詐欺も良い所だ」

「でもそれで美味しい思いをしてたんだから文句は駄目ですよ?」


「美味しい思いだって? それこそ表向きは信教の自由を謳いながらこの国じゃ特に最近は竜神教(ランシャラ)じゃなきゃ筆一つ売るのにも困るのをアンタは知らないのか? とんだお坊ちゃまが居たものだ」


 イトルスの言葉にクラバさんは辟易した顔でそう答える。他の商人さんも大きく頷いた。更にカイテンでの竜神教(ランシャラ)の乱以降はカイテンとの取引にも多大な影響が出ているし、次に大きな取引先であるナギナミにも薬物を持ち込み洗脳した疑いが強まって出入りだけでなく商売もルロイ以外からは停止されたと教えてくれた。


「我々としてもこれは死活問題だ。二束三文で竜神教(ランシャラ)に物を売るか反旗を翻して共に打倒を目指し商売の自由を取り戻すか。俺の場合は後者に掛けたくなったからこそ強引にこの船に乗り込んだ。他の皆も俺と同じ覚悟だ。このままじゃいつ家族が餓死しちまっても可笑しくないからな」


 改めて商人の皆さんから話を聞くと何と全員ホクヨウ出身だった。クラバさんと連絡を取り合い様子見がてら商売をしにモノイエに来たと言う。


「モノイエは割れてる。商売やってる連中は勿論ルロイ側だがそれ以外は竜神教(ランシャラ)側だ。信者もそれなりに居るしな。唯一マシなのは産業が強くて自警団があり竜騎士団(セフィロト )が常駐していないって点かな」


 なるほど、だから市長はモノイエに僕らを使者として派遣したのか。砂漠の町は以前見た感じからしてトップとは親密なので当てにはならないしデラウンは師匠はじめ師匠側の人間が粛清されてしまったしギブスは竜騎士団(セフィロト )の団長が市長代理になっているからなぁ。


「噂によればルロイに対しては他の国も支援に乗り出すんじゃないかって聞いてな」

「ナギナミは首都の内乱で難しいんじゃないでしょうか」


「そうか? 俺の調べた限りじゃあの内乱で反体制派がガッツリ倒れただけで中央には何の影響も無かったと聞く。それくらい地盤が盤石なのをその件から知った結果ここがダメになったらナギナミに行こうって奴が多い。そう言う先を見越した意味でもルロイに入ってくる奴はこれから増えるはずだ」

「カイビャクから商人が消えると経済が危険ですね」


「それはそうだがそう言う国だから仕方ない、で御終いだろう。全ては竜神教(ランシャラ)を基本に考えるんだからな。相場も動かないし価格は安定するだろう。それが良いかどうかは別として」


 相場が安定するとは言ってもずっと同じではなくその時々で竜神教(ランシャラ)のトップが価格を決めて市場を取り締まるという話だろう。


そんな事態になれば全て国営と同じになるんじゃないかなと思う。手間や自然災害など生産者の損害は全て信仰心で補われる。そうなれば生産者なんて誰もやろうとしないだろう。











読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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