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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
カイビャク海岸沿い編

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見張り台や丘陵から調査

 そう言われて苦笑いするだけに留める。一応しっかり仕事はして南部に関しては困らない人材と道しるべは置いて来た。僕はあそこに一生居られる訳では無いし元よりここに帰ってくると公言していた。


とは言えカイテンに残して来た人たちに対して思いが無い訳では無い。色々あったけど楽しかったしずっと居たい気持ちもあったのも事実。未開地域にも行ってみたかった。


ただ竜神教(ランシャラ)と対峙し姉悪魔たちを倒した後僕はこの星に居られないだろうなとも思っている。残念だけどこの星の人間ではないのだから。


「私はこの戦いに一人だけ象徴を立てるつもりはない。出来れば多くの引っ張る人間が生まれて欲しいと思っているからだ。その為には今から一人に頼るのではなく他の者たちに経験を多く積ませ新たな君のような存在が生まれて来るよう尽力したい。その為に君には単独行動で今は活動してもらいたいから報酬が多いのだ」


 こないだ手合わせした感じからして市長自身も相当な腕の持ち主だし口振りからして自分が前面に出たいと言う思いが漏れていた。その人が堪えているのは市長と言う立場もそうだろうけど自分に続く者が生まれて欲しいからだったんだな。


指揮官の立場からすれば一人が突出して強くなりそれに頼ってそれ以外の平均が落ちるような事態は避けたい。攻める方からしたら対処しやすいからだ。


「分かりました。僕らは僕らで動きます」

「協力感謝する。まぁ最もその期間も長くは無いから心配せずこの期間は単独で動いてくれ」


 市長は含みのある言い方をしながら微笑む。恐らく聞いても答えてくれないだろうから今は問わないでおこう。


僕らは市長室を後にしギルドへ戻ると市長からの依頼書に同意のサインをし提出。毎日周辺の調査をしてギルドに提出、プラスアルファがあればそれも報告して終わりとなりこれを三か月行う。


恐らく市としてはその間に体制を整え反撃の狼煙を上げるのだろう。あくまでメインはあちらでこっちはバックアップ。


僕らとしても組織に深く関わるよりは自由に動けるようにしてもらう方が目的を達成しやすいので助かる。


「じゃあ早速行きましょうか」

「おー!」


 ギルドを出てから雑貨屋さんでペンと墨壺に紙を数枚そして単眼鏡を購入し町から少し離れた丘陵へ向かう。こないだの嵐の所為で丘陵までの木が減っており見晴らしも良い為先ずはそこから変なところはないか確認しようという話になった。


建築資材としても木は大切だし枝とかも燃料として大事な物なので真っ先に回収されており、綺麗にした後でまた木が生えるよう苗を植えたりもしたお陰で森はとても綺麗になっていた。


まだお昼前で天気も良く仕事が無いなら森林浴でもしたら気持ち良さそうだなと思いながら森を見つつ丘陵を目指す。


小動物が被害後に徐々に戻って来ていて僕らを見ながらリスなどが枝に座り木の実を齧っている。


農村で提案したものをお爺さんたちの知恵で実の付いた木を植林しり毎朝前年度に手に入れた木の実を撒いたりした御蔭で畑を襲わなくても森に食べ物がある様になっていた。


「やっぱり見晴らしが良いわよね」

「あのくらいの距離歩けばここに来られるのじゃからルロイは良い所じゃの」


 リラックス出来た散策を終えて丘陵に着き下を見下ろしながらチェックする。ルロイの町周辺は背の低い草が生えているので何かあればすぐに分かるけどそこからこの丘陵までは森になっておりなだらかな坂になっている。


単眼鏡を使い端から端まで見回すもこちら側にはまだ特に進行しては居ないようだ。ここから更に市の方へ向けて歩くと高台がありそこに見張り台もある。


嵐が過ぎ去ってから修繕をし兵士の人たちが常駐しているので挨拶に行く。敬礼されて出迎えられ見入り台内の控室でお茶を頂きつつ周辺の状況について情報交換する。


やはりルロイ市は薬物関係があって市側が守りを固めた結果抜け道を探そうとするような者たちは減ったようだ。問題はルロイの町にあるようで観光シーズンが過ぎたばかりなのもあって兵士の夏休みの関係もあり少なくなっていると言う。


農村の方面もやはり少ないようで見張り台から見るとその方面が気に掛かると言う話を聞き、報告書に記載させてもらっても構わないかと尋ねると是非と言われたのでルナに書き加えて貰う。


その後見張り台の上に登らせてもらい周囲を見ながら気になる部分を実際に指さしてもらいながら教えて貰い、僕が簡易地図を描いてから書き記していった。


「どうか今後とも宜しくお願い致します!」


 お邪魔し過ぎるのも悪いのである程度見終わってから戻る旨を伝えると去り際に皆さんに敬礼されながら送り出される。


玉藻とティアも敬礼して返し皆さんの笑顔を誘った。早速教えて貰ったポイントを抑えるべく高台から丘陵に戻り更に小さな山へ向かい内陸方面のチェックを始める。


そこから見下ろす景色は鬱蒼とした森が広がり更に先の方に荒れ地が見えた。恐らくあの更に先に砂漠が見えるはずだ。


ラティと初めて会ったあの町とあの建物、そしてお爺さんが僕の代わりに亡くなった場所もあるだろう。


あの頃と少し変わった今訪れるとどんな変化があるのかなと少しの間思いを馳せ、先ずは足元をと頭を切り替えて監視に移る。


高台と丘陵それに山が天然の壁となり侵攻を難しくしているけど、内陸側の森は木が多くここからでは細かくチェック出来ないので夜など監視の目が緩い時間帯は忍び込もうと思えば出来るなと思う。


こないだのように洞窟を見つけて前線基地にしたり森の中にテントを張られると見つけにくい。ここは手間がかかるけど伐採を提案して見ようかな。


ルロイの町はルロイ市役所がある南町と違い主に交易がメインで港はしっかり整備されていて越前からの荷物も多い為湾岸沿いの警備に重きを置いている。


その為兵士もメインはそちらに配置されていて山は手薄になっていた。










読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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