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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
ヴァンパイア狂想曲

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囚われのヴァンパイア

「で、貴様ら何が知りたいんだ? 最も私が素直に答えたりはしないがネ」


 女性たちを二階の医務局に預け、下に戻るとドラヴを皆が囲んで居た。足を崩して椅子に寄りかかり床に座るドラヴ。


「だろうなぁ。ヨーハンどうする?」

「まぁ夜は特製の箱の中に閉じ込めて監視。明日朝早くから首都へ向けて出ましょうかねぇ。ここに置いておくと五月蝿そうだし」


 博士はニヤニヤしながらリュクスさんを見る。それに対して微笑みで返すリュクスさん。優雅だなぁ。


「となれば話は早い。リュクスよ、町長に捕獲した旨と明日首都へ向けて移送する件を伝えてくれぃ」


 ギルド長の言葉に少し間があった後、了承し一礼してギルドを出た。


「あらまぁ随分とあっさり引き下がったねぇ」

「そりゃそうじゃろ。ギルドは全ての町と繋がっていて首都には本部がある。その本部を統括しているのは次期国王。一つの町が喧嘩を売ったとなればどうなるか」


「そう思いたいですけどねぇ。どうなんでしょう首都も一枚岩ではないですよ?」

「当然な。御主分かっててワシに聞いてるようじゃけど、何が聞きたい?」


 何か微妙な空気が流れ始める。当然二人とも御腹に隠している物があるだろう。その内の一つが同じ件なのかもしれない。


「フン、仲間割れとは幸先がいいな。私にもチャンスがあるかもしれん」


 ドラヴが堪らず声を出す。僕は小さく笑ってしまった。


「何が可笑しい?」

「いや、案外気を使う人なんだなって」


「別に気を使った訳ではない。私は現にそう思っているし、この空気が嫌いだ」


 どうにも憎めない。言葉が通じるというのは心情に影響し思考にも影響するんだなぁ。敵なのに。


「ドラヴ、お嫁さんは見つかったのかい?」

「……さぁな」


 結構な間があってそう答えた。どうもこのヴァンパイアは変だ。何か悪役を無理してやってるような気さえしてくる。


「康久、あまり思い入れない方が良いよ? 冷静に、冷静にね」


 僕は慌てて頷く。ドラヴもニヤニヤして見ていたのでどうやら引っ掛けられそうになったらしい。僕は相変わらず抜けてるなぁ。


「さ、こいつを連れて特製の箱とやらに閉じ込めてくれい。こちらも例の女性たちの介抱をせねばならんのでな」

「箱は持ってきますし、その女性たちの介抱も手伝いますよ。そこそこのお金を頂いてますしねぇ」


 博士はパフィーを見る。パフィーは満面の笑みで頷きギルド長は溜め息を吐く。


「ワシと康久が奮闘した成果なんじゃがの……まぁええわい。康久にはワシから特別手当を出そう」

「え、別に」


「ありがとうございますギルド長!」


 ラティが僕を押し退け足をふんずけギルド長の前に出る。ったく現金で何よりだよねぇ。それから博士は箱を取りに一旦離れた所ヘ移動し、パフィーは二階の医務局に。ギルド長とミレーユさんは書類作成。ここには僕とラティ、そしてドラヴだけとなった。


「ちょっと話でもしないか?」

「しませんわよ」


 ドラヴは僕に声を掛けてきたけど、ラティがインターセプトして断る。


「なら勝手に喋る。私たちヴァンパイアは知っての通り繁殖がとても難しい。ヴァンパイアに成れるものは数少ない。そんな時奇跡が起きた。人間との間に子供が生まれた」

「あー! あー! あー!」


 ラティが妨害する為叫んでいるけど、それを縫う様に耳に入ってくる。多分これは幻術とかそういう類なのかもしれない。意識すると急に耳に入ってこなくなった。


「うるさいな竜人!」


 その言葉にシーンとなる。何故それを知っているんだ?


「冗談でしょう? 竜が人になるなんて」

「冗談なら構わんさ。だがな、貴様らは特別なのは分かるぞ?」


 当て勘で特別な力を使って話しかけたのか。まぁヴァンパイアを凌駕するスピードで殴られればそう思うのも当然か。

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