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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
ヴァンパイア狂想曲

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ギルドへの帰還

「ま、まぁ? お兄様もワザとではないと思っていますし? 信じていますし? 潔く謝って下さるならそれで……」


 そう良いながら眉間にしわを寄せつつピンクの髪を触るラティ。取り合えず何とかなったようだ。


「そ、そっかありがとう! いやぁもう修行で疲れてたみたいで足元が覚束無くて、石に躓いて転げ落ちちゃったんだよね。申し訳ない」

「でもその御蔭で私たちの裸が見れてラッキーね」


 ラティの肩越しにニヤニヤしたパフィーが現れた。何でここに居るんだ!?


「何でここに居るのかって顔したわね?」

「い、いやぁそんな……パフィーも申し訳ない」


「何が?」

「な、何がってその……入浴中にその……突っ込んでしまって申し訳ないなぁと」


 こいつ分かっててワザと聞いてるな……嫌らしい顔しやがって!


「何をつっこんだの?」

「お、お止めなさい! 下品な」


 ホント腹立つな……! 意味分かって聞いてないだろこれに関しては絶対!


「と、兎に角この件はこれで御仕舞いで」

「そ、そうして貰えると助かるよ……」


「で、どっちが大きかった?」


 引きつった笑顔で見合う僕とラティに悪戯する様に言うパフィー。いつか仕返ししてやると心に誓いつつ、逃げるように温泉施設に戻る。それから暫くは温泉に漬かってはゆっくり体を休めるというのを三日ほど続けた後、ギルドへ戻るようにとの知らせが来たので足取り軽く戻った。


「これからの主戦場は夜になるだろうねぇ」


 戻るとギルドのカウンターに博士やパフィー、ラティにギルド長がテーブルを囲んでいた。


「おう、戻ったか」

「はい今戻りました。お気遣いありがとうございました」


「気遣いっていうより御主を戦力として見ているから必要な処置をしたまでよ」

「まだまだ足元にも及びませんが」


「そらそうじゃろ。後数十年は偉そうな顔をさせてくれい」


 ギルド長に一礼しお礼を述べた後、そう言葉と握手を交わした。ギルド長は僕みたいな初心者に教えるのに苦労された筈なのに全く疲れが見えないどころか、どこか気が溢れている様に見える。


「どうやら多少上手く力を使えるようになったみたいだねぇ」

「少しはマシになったかと」


 実践で試してないから分からないけど、教えてくれたギルド長がいらっしゃるのでそう答えた。今は少しでも早く実戦を経験したくてウズウズしている。


「ヴァンパイアに組み付こうとしないようにねぇ? 彼なんか特に体術が得意だからさ、付け焼き刃状態でやったら簡単に噛まれちゃうよ?」

「あ、はい」


 相手も体術を得意としているのか……それを聞いて僕は益々ワクワクしてきた。


「こら止めんか煽ってどうする」

「煽って何かいませんけどね。そうか君は意外と好戦的なんだね」


「そ、そうじゃありませんよ。色々試したいだけで、常時こうな訳じゃありません」

「からかうのはそこまでにせよ。どちらも浮き足立っては相手に良いようにやられてしまう」


 そうギルド長に言われ僕も博士も頷いた。


「相手は夜の眷属とも言われるヴァンパイア。昼でも相当な力を持って居るが、夜はそれを凌駕する」

「パワーが上がるって言う感じでしょうか」


「そうだねぇ。ヴァンパイア特有の術っていうのがあるんだけど、それらは夜がメインなんだ」

「術、ですか」


「魔術などの類ではあるが、何も無い所からいきなり出たりはしない。そこにあるものを利用したりしてそれっぽくなっていて、技というにはあまりにも不自然だから術って言葉に当てはめてる」


 そうか……やっぱりここには魔術とかは無いんだなぁ。


「ただこの世界にもまだまだ不可思議なものはある。見つけられてないだけでそれに近いものがあるかもしれない。君が冒険していたらいつか出会うかもしれないね」


 僕は頷く。ここに居る人たちが今の僕の全ての知識だけど、世界は、星は広大だ。何が眠っているか待ち構えているか分からない。この星そのものとコンタクトを取り心を開かせるのが使命だから、これから色々な出来事が訪れるだろう。混乱しそうな時には空を見上げて心を放ち、あるがまま受け入れるようになっておかないと。

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スキルやら武器、世界のことなんか何の説明もないまま進むのか?
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