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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
ヴァンパイア狂想曲

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開戦準備中

「君とは縁がありそうだし、君の力にも興味がある。今後とも町の話を抜きにしても仲良くしたいものだ。年もそう遠くないはず」

「こ、こちらこそ宜しくお願いします」


「ではまた」


 笑顔で颯爽と去っていくリュクスさん。貴賓があって優雅でイケメンで羨ましい限りだわ。あんな感じだったら人生イージーモードで恨まれるよりも多くの羨望を得ているんだろうなぁ。


「お兄様って男の人にも人気がありますのね」

「いやいやあのイケメンに惚れたのでは? ぼーっと後ろ姿見つめてるし」


 いつから結託したのかわからない二人が後ろでヒソヒソボソボソやっていたので、近くに飛んできた布を引っつかんで二人に投げつけ見事命中。布に覆われ暴れる二人を置いて逃げる。報復など恐れない僕はまるで獲物に追われるバンビの如く疾走する。逃げ切れると信じて!


「あれ知らない天井」

「戻って来いとは言ったがこんな形でとは言わなかった気がするのぅ」


 元竜の妹の強烈な一撃でブラックアウトし目を覚ますと、ギルド長の顔とミレーユさんの顔が映る。その二人は知ってるけど高そうなカーテンに覆われキレイな壁紙が貼られた天井が見えた。


「お二人ともおはようございます?」


 僕の疑問系の挨拶に二人は吹き出して僕の顔を覗き込むのを止めた。それを見てゆっくりと上半身を起こす。目の前には戸棚と机があり、清潔な感じがする室内になっている。そう保健室みたいな感じだ。


「取り合えず大丈夫なようじゃな。まったく体が弱いんだか強いんだか分からん奴じゃの」

「丈夫ではありますけどね」


「なら良かろう。医務室からギルド長室に移動しよう」

「康久、立てる?」


 僕は常連だったのでそういう場所だというのは直ぐに分かった。色々思い出すと少しだけ安心する。ここなら誰からも攻撃をされない安住の地。


「あ、はい立てます」


 二人に見つめられてハッとなりベッドから起き上がる。体は何処も悪くない。ただ此処を出るっていうのを考えると胃が冷たくなる気がするのが、少しだけしんどかった。


「ちなみにお前さんの病状は実に簡単。過労じゃ」

「か、過労ですか!?」


 どうやら二階は医療関係の部屋らしく、博士のように白衣を着た人が数人歩いていた。医療施設という訳ではないだろうしどんな目的であるのか気にはなったけど止まらず三階に上がってギルド長室へ。入ってソファーに座るなりいきなりそう言われて目を丸くして驚きの声を上げてしまった。


「そんなに驚かなくても良いのよ? ここでの一月もそうだけど前の町での件もあったしそれ以外でも疲れる出来事の連続だったでしょうから」


 そう言われて一瞬と惑ったものの、そう言えば元引き籠もりだったのを忘れていた。そう考えると此処最近の仕事は激務に違いない。倒れるのも無理はないよなぁ。死なないとは言え疲れないなんて話はないし、きっとノッてたし集中しすぎて我を忘れていたんだろうな。


「以後気をつけます。すいませんお手数をお掛けして」

「今後は自分の体ともよっく相談して動くんじゃよ? 戦場でそんな状態になったら死しかないからの」


「肝に銘じておきます!」

「一々立ち上がらんで宜しいし、あまり硬すぎるとこっちも疲れるので多少楽にしてかまわんぞ」


「あざーす!」


 砕けた挨拶を目指し言葉を変えてみたものの不発だったらしく溜め息を吐かれてしまう。頑張ったんだけどなぁ。


「口調はかっるいのに姿勢が綺麗すぎてバランスが悪い」

「……すいません慣れないもので」


「まぁ良かろうそのうち打ち解ければなくなるじゃろうから。取り合えず座って。で、お前さんを呼んだのは他でもない」

「な、なんでしょうか」


「あの吸血鬼は恐らくのんびりはしてはくれんじゃろうから、お前さんは今日からワシがその体の使い方含めしごいて行く。荒療治じゃけど今よりはマシじゃな」

「ですね。ポテンシャルは補償しますし、今は地味な作業で体が鈍っているだけかと」


 確かに黒竜と戦ってた頃よりは地味な作業しかしてない。割とそっちの方が好きだし楽なんだけどなぁ。


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