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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
南部地方編

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混乱は続くよどこまでも

「この人数差で君が勝てる見込みは無いと思うけど」

「ミコト、どう思う?」


「康久さんが勝ちますよ」

「だそうだ。マウロ、パティアとミコトを頼む」


 僕は瞬時にミコトの元へと移動しパティアを世界樹の根元に下ろしマウロに二人を託すと、直ぐに戻る。クロウはシルフィードさんが抑えてくれるとして、他を片付けなきゃならない。


「まさかリベリさんまでクロウの手下とは」

「色々事情がある。すまないが死んでもらおう」


 あれだけ一対一に拘っていたリベリさんがクロウの言葉に逆らえないなんて何があったんだろうか。


「私たち相手に一人でどれだけ持ちこたえられるかしら」

「やはり貴様とはこうなる運命だったのだ」


 ルナと斬久郎さんも構え僕らは対峙する。その間にクロウとシルフィードさんは空へと舞い上がり戦いを開始する。クロウが世界樹にこれ以上ダメージが入るのを嫌い距離を取った。近くに居ないだけホッとする。


「直ぐに終わらせてあげるわ」

「そうはいくかよ」


 気合を入れ直し構える。先ずは確実に一人減らす為に悪いけど斬久郎さんを狙う。リベリさんに向かって突撃しつつ、斬撃を出したところでバックステップ。それをルナの黒いビームが追撃してくるけど掻い潜り再度距離を詰める。


斬久郎さんの性格上黙って自分だけ何もしないは無い。リベリさんをかなり尊敬しているから良いカッコしたいはずだ。僕はさっきの動きを繰り返し釣りをするように斬久郎さんが動くのを待ちつつルナの隙も伺っている。


気になるのはリベリさんはそうは言っても言葉ほどのやる気を全く感じていないしルナもそれを分かって追撃している。チームとしてとてもちぐはぐだ。これを斬久郎さんが見逃すとは思えない。彼の立場からして立て直す為に突っ込んでくると思う。


「待て!」


 しびれを切らしたのはそう思ってから暫く繰り返した後だった。斬久郎さんは弱くないシルバーだけど何れゴールドに成れる人だ。ただ僕らみたいな反則染みた力を持ち合わせていないだけで。


「御免ね斬久郎さん」

「くそ……ぉ」


 二刀を構え間合いに飛び込んで来た斬久郎さんはリベリさんとルナの視界を攻撃を遮り被弾も多少していた。それでもとかなぐり捨てて差し違える覚悟だったと思う。でも遅い……僕は変身すると能力が全て倍くらいになる仕様だ。特に斬久郎さんと離れて大分経つしこの姿を見せてはいない。


リベリさんから説明を受けてはいただろうけどやはり以前の僕しか肌で感じていないから調節が全く出来ていなかったのであっさり刀を弾き飛ばし鳩尾に一撃加えた後放り投げる。これで一人減った。


「リベリ、本気でやりなさい? 貴方も目的があるでしょう?」


 ルナの言葉にリベリさんは気を発し一段ギアを上げようとしている。今の僕でどれだけ通用するか。


「康久さん頑張って!」


 僕の強力な応援団の世界一素晴らしい声援を聞いたからには弱気になんてなってられない。ぶっ飛ばす以外にない! 僕も気合を入れ直しリベリさんを倒すべく突っ込む。ルナの黒いビームが降り注いでくるけど構わず突っ込んだ。痛いは痛いけど耐えられないレベルじゃない。


パティアが防げたのも恐らくルナの力が本領発揮されてないが故だろうと思う。的確に致命傷になる場所を打って来てる。


「クソッ! 何貫けないの!?」


 苛立つルナを放置しリベリさんと交戦する。斬撃は早いけど変身すれば前よりもちゃんと見れる。それだけ能力がアップした状態なら引けを取ったりはしない。一撃避けてジャブを二発叩き込むを繰り返す。勿論急所には中々入れさせてもらえないけどそれでも当たっている。


鎧は来ているけど生身なのにダメージを喰らっているようには感じられない動きは流石リベリさんと言わざるを得ない。顔は狂気を帯びた微笑みに変わっているしアドレナリンがドバドバ出てそうだなぁ。


「おい! 邪魔をするなら下がれ!」

「五月蠅いのよ!」


 ルナの狙いは正確だけど接近戦で絶えず攻防を繰り返しているので流れ弾がリベリさんにも当たる。僕と違いリベリさんは鎧の中に生身の部分がある為無視できないダメージを受ける可能性もあった。神経を研ぎ澄ませながら小さな変化にも気を配る中で、余計な逸らしが入ると致命傷になり兼ねないし何よりリベリさんは背中から打たれるという嫌な状況だ。


「貴様ぁ!」


 恐らく貫通力を上げようとばらけたものを一部纏めて打ったであろう太めのビームがリベリさんの腕に当たりよろめく。僕がそれを見逃す筈は無くよろけたところで空いた脇腹に強めのフックを叩き込んで体を浮かせた。


そのままラッシュを掛けようとするもすぐさま剣撃を重ねられて距離を取られる流石すぎる。リベリさんは肩で息をしながらルナの方を見て声を張り上げる。それに対し鼻で笑いつつも恐怖で顔が引きつるルナ。何か空気悪くない?


「うひょっ! 空気悪ぅい」


 ホントにアイツは嫌なタイミングでいつも現れる嫌がらせをさせたら世界一、宇宙一に違いない。


「クニウス貴様」

「この時を待ってたのよねぇ!」


「え」


 ルナの御臍の辺りから剣山で覆われたような腕が飛び出てその手の先に丸い光る玉が握られていた。何が起こってるんだ? 奴は竜騎士団(セフィロト )筆頭でリベリさんたちの仲間なのになんで。


「くっ……貴様ぁ!」

「バーカてめぇらは竜神教(ランシャラ)の上前を撥ねに来た異教徒だろうがぁ! 俺様がお前たちの仲間に何時なったっていったんだよぉ!」


 クニウスはルナから腕を一気に引き抜くと容赦なく蹴り飛ばした。マジで竜神教(ランシャラ)はこんな奴しか居られない組織だと思うと怖くて近付きたくないわ。


「だけど俺様は優しいから上にはてめぇらは戦死したって報告して今日の所は退散するぜぇ? 別に生きてたら帰って来ても構わんけどよぉ、俺様がこうしたってのはどう言う状況なのか察しがつくだろ?」


 クニウスは上を指さしたのでそっちに視線を向けると、何かが上に群がって飛んでいるのが見える。


「じゃあな。康久ちゃんも生きてたらまた会おうぜ! 今回の借りを返したいからよぉ! あばよぉ!」


 自分の用事だけ済ませたのかあっさりと走り去るクニウス。頭が混乱して追いつかないんだけど何が起こってるんだ?


「……あのガキ……」


 リベリさんは暗い表情で俯き剣を地面に向けて肩を落とす。クニウスすらガキって凄いなぁと言う感想は置いておくとして、今度はあの空に舞ってるものを何とかしなきゃならないんだよな多分。今回は中々ハードな戦いになりそうだ。


「リベリ、状況は?」

「康久君、状況は?」


 かなりやり合ったようで互いにボロボロになって戻って来たクロウとシルフィードさん。創造主とやり合えるなんてこの人凄いなぁと感心しつつ、あったものをそのまま言葉にして伝える。


「……あの男も注意しなきゃいけないようだね」


 クニウスは目を座らせて怒気を含ませながらそう言った。どうやら知ってはいても仲間ではないようだ。個人的にはああ言う存在は纏まっててほしいんだけどなぁまた変なのが増えても困るんだけど。


「クロウ、どうするんだい? 世界樹も伐れて無いしエルフの子もこっちにいる。上には竜も居るし万事休すでは?」


 シルフィードさんの問いにクロウは怒りを露わにした後、何かボソッと呟いた。次の瞬間リベリさんが白目になり恐ろしい速さで世界樹に突撃し、切込みが入った場所を一閃。音を立てて世界樹は倒れ始める。


「何が何だって?」


 青筋を立てつつ微笑みながら僕らを見るクロウ。こうだよ、こういうんでいいんだよチートってのはさ。僕にあって然るべきものはこれなんだよ。なのに無いんだよなぁこれがまた。


「リベリ、奴らを始末しろ上の奴もな。私の邪魔をした連中など生きている価値も無い」


 クロウはリベリさんに近付き肩に手を置いてそう言った後、倒れ始めた世界樹へ向かう。それを止めるべくシルフィードさんは追おうとしたけど割って入ろうとしたリベリさんを何とかカットする。だけどどういう理由か分からないけど物凄い力でシルフィードさんも一緒に弾かれてしまう。


ミコトたちが危ないと思い急いで立ち上がり向かおうとしたけど、リベリさんは浮遊して上空に舞っているものへと向かって行った。


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