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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
イスル編

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不可侵領域付近へ挨拶に

依頼の開始日はこちらから声を掛けてという形式になると言われたので、僕は翌日イスルモモンガ変種親子のところに顔を出し不可侵領域付近のキャンプへ顔を出した次の日位にしようと考えていると家に戻ってから二人に伝え了承を得てその日は終わる。


次の日朝早くから二人の手作りのお弁当を持参して僕は町を出る。馬車は使わずランニングしながら先ずは間伐した場所へと赴く。体は鍛えてるのもあって以前よりも持久力が付いた気がする。死ぬほど追い込んでから生き返れば超アップするのかもしれないけど、死亡と言う漢字二文字の中に凝縮された精神的肉体的苦痛は無しにはならないので気軽に死にたくない。


なので結局地道に鍛えていくのが一番となった。体を鍛えるのだけは百パーセント自分自身にプラスになる。それで勝ちたい相手に勝てるかと言うと難しいかもしれないけど、運も関係無いし確実に答えてくれる部分だし引き籠っていても少しずつ鍛えておけば良かったなぁと今更ながら思う。


「おはようございます!」


 間伐した場所は元々近くの村や町から調味料の実を採取する為に早朝おじいさんおばあさんが鳥に集まっているので挨拶をする。特に力仕事を引退した人たちの収入源になっているのでイスルモモンガ変種親子の件をある程度解決出来て感謝を込めて調味料を沢山頂きうちはもう調味料が買わなくても暫く問題無い感じである。


皆さんからイスルモモンガ変種親子がのんびり過ごしているのを見て安心しているし、他の動物たちも寄り付かなくなって採取し易くなって有難いと聞いた。そう考えるとこのままでも良いのかなと言う人が居たけど、もっと数が増えたら別の問題が出てくるだろうから見たいな意見も出て来て皆採取しながら意見交換していた。


僕は暫く皆さんと話した後イスルモモンガ変種親子に例の実を与えてから不可侵領域付近のキャンプへと向かう。暫く走っていると背後に付いてくる気配があるので振り返ると親子も付いて来た。目や気を見た感じ遊んでくれっていう感じでも無いし……やはり本能として生まれた場所に帰りたがっているのかもしれないな。


「よく来たな……その二匹は何だ?」


 キャンプに駆け足で近付くと獣族の皆さんが丁度出掛ける準備をしているところだった。カンカンさんが僕を見つけて駆け寄って来てくれて握手をしてくれた。微笑みながらイスルモモンガ親子を見る。


親子は獣族には敵意を抱かないのかとても自然な感じで後ろに居る。カンカンさんも自然と接している。僕はこの親子の話をカンカンさんにすると、クレモナさんを呼んでくれた。


「そうか……確かに君の言う通りだ。イスルモモンガウエルズという変種とは少し違う種類の動物で元々はもっと北の密林を根城に飛び回っている。我々はそう言う記録を取ったりは前までしなかったんだが今は付けるようにしているから分かる」

「クレモナ隊長が始められたものでもあるからな先駆者でもある。リュウリンはクレモナ隊長の弟子みたいなものだ」


「おいおい弟子は無いだろう? 彼女が我々に大事さを説いてくれた御蔭で記録を取るようになったんだから。私はただ彼女に同行し我々の地域の話をしただけだよ」


 流石ゴールド帯筆頭。獣族だけでなくこの国自体に影響を与えている凄い人なんだなぁとちょっと感激してしまい拳を掌に当てて一礼して経緯を示した。


「君までそんな……と、兎に角親子の居場所の件は了解したし了承しよう。この地帯の復旧と言うのは草木だけではなく生態系の復元も入っている。長い年月が掛かるだろうが後の世の為に残すべきものだから皆で頑張らなければならない」


 クレモナ隊長から了承も得たのでここの復旧を手伝いながら親子の里探しも出来るようになった。最も僕はまたここでこってり絞られるのでするのは華さんとミコトなんだけどね……。


「隊長私は少し遅れて参りますのでお先にどうぞ」


 ですよね……ただで帰れるはずが無いと思ったんだよなぁでも一応先に断らないと失礼かなと思って話に来ただけなんだよ……。


「温いわ!」


 理不尽極まる拳を受けて何度も宙を舞う。舞いながら空の色が変わるのを見るとか地獄以外の何なのか。少し遅れるどころの騒ぎじゃない気がするんだけど良いのだろうか。


「弟弟子を鍛えると言う理由なら何の問題も無い。お前も数日後には復旧に加わるのだから前渡しだ!」


 前渡しの意味が分からない。ちょっとだけ本気を出してやると聞いたけどこれがちょっとなら意味不明だ。音より早く動きが見えるからタイミングが分からないし避けても拳圧でズレるし堪えて掴んでもデカイ体が迫ってくるし。


チートって何さチートって。ガードしても衝撃を殺せもしない。結局夕暮れになってクレモナ隊長たちが戻ってきたところで終わりになり解放される。生きてて良かったとしか思えない。


「おー良く生きてたね」

「ホント良く生きてますよね僕」


 クレモナ隊長たちと共に来たアーキさんに顔を覗き込まれながら言われて同意する僕。


「それはお世辞でも慰めでもない殺す気でやったのに生きてるのは成長の証だ」


 最悪だ。ちょっとじゃないじゃないか殺す気でやってるじゃんか。


「凄い凄い。遠くからも康久が飛んでるのが見えたからね。町からも頑張れば見れたかも」

「飛距離的には大して無いのが惜しいな」


 ガハハと笑う獣族。おのれ何時かやり返してやる……。僕は大の字に地面に寝そべりつつ夕暮れを見上げる。流石に体を直ぐには起こせず暫くしてやっと体を起こす。


「どうやら彼らはここで今日は休むと言っているが構わないか?」

「兄弟子たちが良いなら有難いですがご迷惑では?」


 そう言うと皆さんに笑われてしまう。クレモナ隊長曰く我々と彼らは分かれただけで根っこはそう変わらないから迷惑に等なりようも無いと言われそりゃそうだと納得して御礼を言った後親子を預けて町へ戻る。


泊れば良いと言われたけど地獄のフルコースを一日早く味わうほどマゾでは無いので、ミコトたちを出汁にお断りして森を走り抜ける。あまりだらだらと走っていると森で寝る準備をしている動物たちの邪魔をしてしまうし戦って怪我をさせるのも嫌なので来た時の倍以上の速度で突っ走る。


町に着くと最後の検問が行われていてギリギリセーフだった。夜間の出入りは基本禁止になっている。今は特に暖かくなってきて動物の動きは活発だし間違って中に入ってくると騒ぎになるからだ。

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