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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
序章
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忙しい女神

「グアアアア!」


 黒竜は僕目掛けて急降下してきたのでそれを走って避け、振動と共に振り返って地面を蹴って飛び黒竜の顔を薙ぐように蹴る。想像だけど黒い色だからこのアーマーは力が強いんじゃないかと思う。お凸辺りがムズムズするのも触覚が映えてる気がする。御都合主義的に目も瞳孔が一つの人間タイプのままみたいだし、チート能力もプラスされて反映されてるっぽい。


「ゴハッ!」


 黒竜は目を真っ赤にしながら息を大きく吸い込んだ後、口から火の玉を出した。余裕を持ってそれを避けつつ前に出る。昆虫ならあんな火に当たったら一溜まりも無い。


「シャッ!」


 そしてこれまた有り難い事に何処かで習ったかのように格闘技術まである。黒竜が息を吸い込むまで待って突っ込み腹を思い切りパンチした。腰の入ったパンチが命中し黒竜はそのまま吹っ飛んだ。黒竜はダメージがあって起き上がるのに梃子摺っていた。出来ればボウガンがあればなぁ……。


「康久!」


 町の方角から声がしたので視線を向けると、グレートボウガンが飛んできた。誰か分からないけど有り難い!


「よっしゃ! 行くぞ!」


 グレートボウガンには弾が込めてあり、僕はそれを砂の上に置いて両足を掛けて弦を引っ張る。切れないように様子を見つつ、引ける所まで引き


「ファイア!」


 気合を入れて手を離す。弾は恐ろしい速度で飛んで行き黒竜に着弾。硬そうな竜の燐に突き刺さる。黒竜は更に後方へ押され起き上がれない。僕はその時さっきの教団の建物前で黒竜が気を失った時の光景を思い出した。


「良くないよな。何か」


 僕はグレートボウガンを担ぎ、黒竜の方へ駆け寄る。


「止めを刺すが良い……」

「悪いけど趣味じゃない。助けるから暫く手を出してこないでくれ。僕らはここを離れるからさ」


「良いのか? お前たちを狙い続けるぞ?」

「何を目的としてるかは知らないから今から調べる。それで納得いかないならちゃんと次は止めを刺すよ。ただし出来れば人目の付かないところでね。さっきみたいに変な奴が自分が倒したなんて始まると面倒なんだよ」


 僕の勝手な想像だけど、あの元英雄とかいうのはそういう横取り系の奴なんじゃないかと思う。幾ら落ちぶれたとは言えあんな誰かが見てたかもしれない場所で、自分が倒したなんて嘘はリスクが高すぎる。


「礼は言わんぞ?」

「いらんけど。あと悪いけど当たらないように射撃するから真っ直ぐ飛んで逃げてね。余計な動きして当たったら知らんから」


 左肩に刺さった弾を抜き、黒竜はその部分を右手で押さえながら羽を羽ばたかせて浮上した。そして山の方へと飛んだのを見て、僕は当たらないように射撃を開始した。見えなくなるまで続けた後、僕は射撃をやめてグレートボウガンを担ぐ。


「……今はこれでオッケーっと。さてこの変身どうすりゃ解けるのかな? 解けろ!」


 叫んだ途端、全身に針が刺さっていてそれが一斉に抜ける痛みが襲う。着装する時も脱げる時も痛い。あまりの激痛に気を失った。




「よう」


 ボサボサした赤いショートカット、顔には小さな刀傷がたくさんと、左ほほに大きなのが一つある女性が目を開けると立っていた。やっぱ死んだのね。


「……嘘付きましたね?」

「何が」


「ヴェルダンディって」


 何となくだけどそんな気がした。どこか別の場所で一緒に戦った時そう言われて殴られたと思う。


「ウルドさんですよね?」

「……良いか良く聞け。お前の変身能力はリスクがデカイ。文化レベルを飛び越えた所謂オーパーツ的な物だ。アタシはそれをちょろまかしてアンタに与えて、星の危機を救った。アンタには借りがあるからそれを激痛で気を失うレベルにまで軽減する」


「ど、どうも?」

「体を鍛えるのを忘れないようにな。何したって中身が駄目なら全部だめだから。それと……」


 とても言い辛そうにする女神様。


「今上が不味い。それこそ世界に関わる。だからここにアタシはずっとは関われない。アンタはこの星を旅して、この星と対話する道を探して欲しい。この星は別の星がこの銀河から離れて動揺して心を閉ざした。地殻変動とか災害が多く起きるかもしれないし、未知の生物が出てくる可能性もある。アンタの能力はそのままにしてあるから、なるべく死なないようやってくれ。ペナルティはないけど、例えばマグマの中で死んだりしたら助けられない。永遠に生と死を秒で繰り返すだけだから。じゃあな!」


 来た時もそうだけど慌ただし過ぎるだろ……。そう思っているとまた意識は暗闇へと溶けて行く。


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