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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
敵本拠地襲撃編
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大乱戦!

「フフ……フハハハハハ!」


 鬼たちを捌きつつ女神様の太陽は地面へと突き進んでいる。何が面白いのか知らないけど下品な聞き覚えのある笑い声が上からした。見上げるとそこには陰険銀髪メガネが変身したプレートアーマーから蝙蝠の羽が生えている人間が多数群れている。流石敵の本拠地だけあって凄い眺めだ。


「よくぞここまで来てそして戦った誉めてやろう。だがそれもここまでだ! お前たちは全員滅びて貰おう!」


 まぁそうなるだろうなと予想通りの言葉を口にしていたけど僕は忙しいのでスルー。女神様も太陽を埋めつつ鬼を捌いているので相手にしない。暫くすると痺れを切らしたのか空からプレートアーマーたちが飛来する。


こちらとしてはお構い出来ないので放置する他無いけど、戦いに邪魔だと言わんばかりに息切れしたり負傷し腰を下ろしている鬼たちを老若男女問わず駆逐し始めた。鬼サクラダも妹もそれには目もくれず襲い掛かってくる。最早人の心など無いんだなぁと悲しい実感をする他無い。そうであれば早めに止めを刺した方が彼らの死後安寧があるだろう。


「加速するぞ!」


 自分に言い聞かせるように叫び腰を落として素早く風神拳の構えを取る。寄ってくる鬼たちに対して風神拳を高速で打ち込んでいく。最初に当たった者は周りの人間たちを巻き込んで吹っ飛んで行った。狙った訳じゃないけど陰険銀髪メガネの方に飛んで行ってしまったけどあっさり槍で串刺しにされ放り棄てられた。すぐさま部下っぽいのが変わりの槍を持ってきて手渡すとまた鬼たちを駆逐して行く。


弱った者たち弱い者たちはあっさりとその命を奪われ打ち捨てられ踏みつぶされるも一顧だにされない。彼らは命を捨てる覚悟で女神様が落とす太陽を体で防いだり仲間の屍を踏み越えて僕たちに襲い掛かって来たのに。


「哀れに思うか? ならば死ね!」


 怒りも悲しみも憎しみも無い。ただ望んだものがそれなのかもしれないと思った。彼らの体を蝕むものは誰によっても取り除かれず苦しみ生きるか死ぬかの二択。死に場所を与えてくれただけ良いと彼らは思ったんじゃないだろうか。あまりにも切ない話だ。だけど哀れんだりはしない。


「マウロ、何をそんな雑魚に梃子摺っているのか」

「イ、イスカリオテ! 貴様も見ていないで手伝え母上の危機なのだぞ!?」


 陰険銀髪メガネの蝙蝠の羽の部分が鳥の羽になり、プレートアーマーも金になっている集団が別方向から飛来した。これで全部って話にはならないよなぁ絶対に。


「貴様ら何をやっとるかあああああ!」


 女神様の太陽を押し戻しつつ現れたのは筋骨隆々で炎のように燃える髪をした男で、首には数珠を大きくしたものを掛け半裸で袴のみという豪快さで明らかなパワータイプだ。僕たちはそれを見ても止まらず敵を倒していく。僕たちはほぼ無尽蔵なので物量の多さに辟易はしてもする仕事は決まっているので絶望する必要もない。


やがて鬼たちはほぼ全滅に近くなる。いよいよ銀髪陰険メガネを潰す時が来た。今度こそ邪魔は入らないだろう。あっちも僕を見て手に持った槍の切っ先を首に当てて引いた。挑発合戦しようってのか? 中々粋な真似するじゃないか。


「そこまでですよ皆さん」


 その声に辺りは瞬時に夜の空に変わる。まさか天候まで操れるとは……。見上げるとそこには花魁の着物をシックにし髪型をロングにしたままの女性が居た。確認するまでも無く敵の総大将月読命だろう。


「おや今頃お出ましとは。でももうちょっと黙っててくれても良いんだよ?」


 女神様がそう言うと月読命は口に手を当てているけど聞こえるくらい大きな声で馬鹿笑いしている。余程面白いらしい。


「いえいえ別にいつ出て行こうと私も構いませんのよ? ですけど勝った気でいらっしゃるようですからあまりにも御可哀相なんでついつい」


 ニヤリと見下しながら言う月読命。何と言うか神様に対するイメージが悪化する一方なんだけど大丈夫なのかこれ。


「へーそう。ならもう少し黙っておきなよアタシたちは忙しいんだお前と違って」


 女神様はそう言いながらも筋骨隆々の男と太陽を押しあっている。そこは流石女神様でまた元の位置から更に奥へと押し込んでいく。


「あーらあらそれ以上やってしまうと私の施設どころかこの星まで破壊してしまいません?」

「さぁね。やってみてからじゃないと分からないんだよねぇアタシもさぁ」


 ニヤリと笑い合う女神様たち。僕らにはどうしようもないので二人のやり取りを見てる。太陽は地に深くめり込んでいき見えなくなる。それに対して月読命はついに顔を歪ませ


「お前たちあの腐れ女神を刺し貫くのです! 遺骸は必ず確保するように」


 と檄を飛ばして再度開戦する。ただ乱戦は多い方に有利という訳ではない。手柄を我先にと争うものだから味方同士で衝突が起こるのは当たり前。しかも鬼サクラダや鬼妹も妨害するものだから彼らも反撃し最早戦場は混沌としていた。


「しょうがないねぇ女神様らしく一つ仕事をしますか」


 暫く乱戦をしていると背中合わせになった女神様がそう言ってきた。急な女神仕事します発言に嫌な予感がしたので止めようとするも体を入れ替えられてしまいしかも襲い来る陰険銀髪メガネの相手をしなきゃならなくなってしまった。


「ここで会ったが百年目だ下等生物めが!」

「五月蠅い陰険銀髪メガネ!」


 槍のリーチは長く相手も鍛錬を積んでいるだろうから懐に入れば何かしてくるだろう。ただこれについても師匠から鍛錬で対処法を幾つも体に叩き込まれているので問題は無い。僕は即懐へ飛び込む。当然のように槍は払いに来るけど掻い潜り地面スレスレで走る。


「甘い!」

「お前がなぁ!」


 恐らくショートソードを引き抜こうとしたんだろうけどそれも想定内。更に槍を戻そうとした手を叩き更に頭突きを加えて吹き飛ばす。それ以外が襲い掛かって来たけど同士討ちをさせるよう動き回る。広く間合いを取ろうとしてももう遅い。一帯はぐちゃぐちゃになってしまった。

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