表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界狩猟物語  作者: 田島久護
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/675

離れた星からの帰還

――康久、お疲れ様――


 ギルドで書類に記入している時、頭に女神様の声が聞こえた。あれから時間は経っていないはずなのに、何か長い時間別の場所で戦っていたような気がする。前まであんなに嫌な奴でぶっ飛ばしてやろうと思った女神様も、今はそんな感じはしない。二人で凄い敵を倒した気がするからだろうか。


「ご苦労様。有難うね」

「え?」


 ミレーユさんが不意に汗を掻いたグラスと共に労いの声を掛けてくれた。


「その書類貰うわね」


 そう言ってまだ記入している途中の書類を持って奥へ下がっていった。その間僕は木材で出来た天井をぼーっと眺める。一瞬気を失ったのかもしれない位だけど、濃密な時間を過ごした間隔がある。それに体も何だか強くなったような……。これだけの力があれば御爺さんも助けられたかもしれないと思うと悔しい。


「はい、これをどうぞ」


 暫くして奥からミレーユさんが戻ってきた。そして僕の方へ向けて一枚のカードを差し出す。そこには僕の名前と顔写真、そして年齢やスキルなどが書いてある。


「規約は自分の受けた依頼を下に流さない、ギルド員同士で争わない、戦争に加担する場合はギルドに申請する。この三つを今は覚えておいてくれたら良いわ。後は対処出来ない話はギルドに持ってきてくれれば解決のお手伝いをしますから。会費は成功報酬の十パーセント。その代わり宿代が割引になったり、道具を買う場合にも割引が付くわ。それに身分証明書みたいなものだから、信用も出来るしお得よ?」


 早口で説明されたけど声がとても透き通っていて頭に全部入ってきた。凄いなぁ……この人女神様の一人なのかな?


「貴方は特に特殊な能力を得たからこれから先以前と違って生存確率も格段に上がったわ。その為にあの子は貴方を旅立たせたと言っても過言ではないの。貴方に必要な経験を積ませるにはそれしかなくてね」

「え、何の話ですか?」


「今は思い出さなくて良いわ。ただお礼を言わせて頂戴。康久有難う。貴方の助力のお陰であの星はこの世界から離れられた」


 分かるようで分からない。だけどそう聞いて安心した気がする。


「僕の冒険は終わらないんですね」

「残念ながらね。今は右も左も上も下も大騒ぎで、何の干渉も無く世界を歪まされたりもしないわ。だから貴方は思うように冒険して頂戴」


「僕がどうしてここに着たのか分からないんで、それを突き止めたいんですけどね」


 つい口から出てしまう。ただミレーユさんにはそれを口にしても大丈夫な気がした。


「それも何れ分かるわ。この星は少し特殊な環境なの」

「特殊な環境」


「そう。貴方が最初に遭った恐竜みたいなのがあちこちに居るわ。中には人と共存を望んでいる子たちも居るけど、基本は対立関係にあると言って良い。その所為か人間の武器も様変わりし、工学や科学が進み始めているの」

「このボウガンも」


「ええそうよ。グレートボウガン。より強大な恐竜を倒す為の武器で、最近完成した物よ。更に今は火薬を使用した武器も開発されている」


 生きる為に敵を倒す兵器が進化するのは当然か。やがてそれが大砲、銃になる日も近いだろう。


「選ぶ依頼はそう言う大きな生物の討伐が主になると思うわ。ただ意思のあるものが多ければそれだけ軋轢を生むもの。貴方が正しいと思うものを選んで頂戴。当面慣れるまでこのギルドの二階を貸すから、頑張って」

「あ、ありがとうございます!」


「それとさっきの白い建物には近付かないように。こんな時代だから何かに縋りたい気持ちは分かるけど、それは人其々だし貴方には加護があるから」


 そう言えばそうだ。ここに来る前に変な白い建物に言って祝福? っていうのを受けた気がする。肉体と魂が分かれるとかどうとか言ってたな。


「今日はゆっくり休んで、明日朝からこの土地の説明を軽くさせて貰うわ。先ずは旅の疲れを癒して頂戴。二階の一番奥が貴方の部屋ね。これは鍵」


 ミレーユさんに鍵を貰い一礼して、カウンターから少し離れた場所にあった階段を上がり二階へ行く。幾つか部屋があったけどとても静かでまだ誰も居ないようだ。そのまま一番奥の部屋に入り鍵を閉める。窓際にあったベッドに倒れこむとそのまま意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ