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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
序章
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この世界の事

 僕の思惑をよそにドルガさん達の話は進む。どうやらこの世界では一番の脅威は竜でありそれは天災に似たようなものであるという。


当然それに対抗する術が無くダメージを蓄積させて撤退させるしか無いようだ。


 その時ふとお爺さんの武器が頭を過る。普通なら重力や空気抵抗を受けたりして真っ直ぐ飛ぶ距離も短いはずだ。


ゲームキャラのような筋骨隆々の人が放つ弓ですら落下距離に達すれば落ちていく。どういう技術が使われていたんだ……?


「あの、すいません」

「何かな」


「この世界に魔法とかってありますか?」


 僕が恐る恐る尋ねると、どっと笑いが起きた。元の世界で笑われるなら納得するし言わないけど竜も居る世界で笑われるなんて納得いかない。


「すまんすまん。残念な事にそういうものは子供の読み物の中にしか無いな。後は竜に尋ねるか神に尋ねるか」


 ニヤニヤしながら言われる。僕はお爺さんの武器に関する話もするのは止めようと思い、一言謝罪して後は聞くに徹していた。


 どうやらこの世界の文化水準は鉄や銅を加工し始めていて戦に使用して暫く経過しているようだ。そうなると人間が生物の上位に立っても可笑しくないと誰もが思ったと言う。


ただし天災があって竜が出現。生体のヒエラルキーは竜が一番になったという。要するに原始時代の時に恐竜が滅ばなかった世界って感じらしい。


 またこの世界にも人間というよりは、どこそこ生まれの何族というのが一般的らしい。デミヒューマンとヒューマンの2種族。そこから枝分かれするようだ。人口比率はヒューマンが一番多いとのこと。


 ヒューマンとデミヒューマンの世界では物々交換が基本。村はそこに根を生やした一族が統治する形になっているらしい。天災がある為、長く続いている所は自然と大きな集落から国になっている。


 ある程度説明が終わると今度は僕の話を聞きたいと言われるが、さっき話した事以外は記憶喪失になった困っているで押し通したというか喋らなかった。


誰かに同情してもらう為に思い出したくもないので悲しそうな演技をしダメ押しする。怒りはあるけどもう悲しんでばかりはいられない。


それなら仕方ないといった形で皆消化不良な顔をしつつも解散となる。部屋を与えられたけど自分だけ暖かい布団で寝るなんて遠慮したい気分だ。


「君は気が引けるのかもしれないが、明日は我が身なんだ。生きているうちに味わえる物は大切にしなさい」


 場が解散になった時にドルガさんに移動するように促した人が躊躇う僕にそう声を掛けてくれた。ドルガさんもそうだと言って無理やり押し込まれてしまう。


高そうな室内のテラスから見る夜空は、何とも言えない心地悪さを感じさせる。


 テレビにラジオは勿論インターネットも当然ない。なんなら本すらなかったけど僕はベッドに移ると心地よい眠気に誘われて落ちて行った。


 翌朝起きて外へ出ると昨夜僕に今のうちに味わえる物はと言ってくれた人が居た。白髪に口周りの髭、ごつい顔つきに薄い絹の服では収まりの悪そうな筋骨隆々な体、そして浅黒く焼けた肌と歴戦の勇者のような人だった。


「起きたか。案内しよう」

「有難うございます。あの、その……お名前は?」


「名乗る名は無いのです」


 憮然とした表情でそう言うと僕に背を向け歩き出す。何処へ行くのか解らないが着いて行くよりほかない。




読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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