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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
序章
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ボウガンvs竜 その二

 照準を当てたい口内のど真ん中、右斜め上に当たるよう調整する。そのまま咆哮しててくれと祈りながら凝視しながらじっと待っていると、口を開けるのかむぐっと動かした。


「とどけっ!」


 徐々に口が開きだし完全に開く一歩手前くらいで手を放し、乾いた音と共に狙い通り口内へ向けて咆哮の音圧さえも突き抜けて一直線!


と思いきや咆哮は思いの他凄くその音圧の所為で減速してしまい餌を投げ込んだみたいにポトッと舌の上に落ち飲み込まれてしまった。


 現実みたいに厳しすぎる……そう僕が嘆きたくなった時、竜の喉辺りが膨らんだ。竜が口を開けると黒い煙が出てくる。


 マジすか! お爺さんありがとうそういう弾だったのか! 順番に取ってセットしただけなのでとんでもなくラッキーな矢を引いて小躍りしそうな気分になる。


 とは言えそう大きなダメージを与えたとは思えないし偶然がそう続かないだろうからいよいよ最後か……そうと決まれば勘全開で撃ちまくる!


 装填を終えて弦を引き、次は僕からみて左にある竜の右腕の関節を狙う。多少ズレても聞き手が右なので右にズレるだろうと考えてやってみる。


 喉の痛みに苦しんでいるようで暴れていて照準が絞り切れない。経験があれば癖を見定めて捉えられるかもしれないけど残念ながら僕は今日初めて打つのどころかこんなのと戦うのも初めてだから難易度高すぎ!


 右、左、下と首から顔にかけての動くのを見ながらタイミングを見計らい僕は弦を離す。一発目を外し再度装填、右左に激しく顔を振った後で咳込むような動作を取ろうとして下を向いたのを見て当ててやると気合を入れて手を離した。


「グォアアアアアア!」


 初めて聞く悲鳴のような声を上げる。見事竜の右腕と胴体の関節の僅かな隙間に差し込めた。サボテンの棘が深く刺さった位の感じじゃないだろうか。


元々サイズが竜と人じゃ違うしこのボウガンも大きいとはいえ流石に竜を串刺し出来るようなサイズの矢を放てたりもしない。


 となればこっちとしては貫通せずに矢が突き刺さっている一度当たったところを外した方が良いだろうと考え反対側を狙おうと照準を合わせようとしたが、今度は更に激しく動いている。


貫通したのではなく刺さったままなので竜は手で取ろうとしたが届かずに暴れ始めた。冷静さを失っている今がチャンスだ全弾撃ち尽くそう!


相手の動きを何とか読み迷わず精いっぱいの力で引いて放つのを忘れずに次々に放って行く。


 本来であれば攻撃しているこっちに突撃して僕を倒そうとするはずだが、痛みと次々に当たる攻撃が意外だったのか混乱しているようでほぼ場から移動していない。


 ただそう優勢が続く訳もなく。


 暫くすると矢の入っている筒が軽くなるのが解る……終わりは直ぐそこ。ただ最後の一発までぶち込む!


「ガァ……アァ……グルルルル」


 しんどそうな声で鳴く竜。これは倒せるんじゃないかと思ったその時、次の矢を放とうと筒を触るともう何もなかった……。やり遂げた達成感からかこれまでで一番吹く風が心地よく感じる。


これから竜にかみ砕かれたりするだろうからめちゃくちゃ痛いだろうけど、あのクソ女神を今度はマジで殴ってやれそうな気がした。


 僕はこの武器はさっきの僕のように使えれば誰かが使う事もあるだろうと思って手と足を離し距離を取る。


仇を完全に取れず竜にやられてしまうけどこの武器が心ある人に拾われて回り回って仇を取ってくれたら良いなと願いのような思いを託しながら竜が来るのを待った。


「こっちだ! おーい! おーい!」


 離れたところにあるうっすら見える林の中から黒い点が幾つもこちらに向かって動いているのが見える。

読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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