主人公と強面男性
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魔王城から出て数時間後、ある街に到着した、名前は分からないが栄えている様に見るので景気は良いだろう。
でも、魔王城が駆け足(たまに徒歩)で数時間後の道のりなのにこんなに栄えてるとか可笑しく無いか?
「坊主、どうした?親は?もしかして迷子だったりするのか?」
俺が考え事をしていると人に声を掛けられた、中々に強面な男性だ。
「いや、家出して来ました」
「そーかそーか、家出かぁ…って、はあ!!??」
どうやら俺が家出した、と言う事に驚いているようだ、このリアクションから推測するにこの人は強面だけど親しみやすい人なのだろう。
「い、家出って…坊主、何歳だよ」
そう言えば俺は何歳なのだろう、気付いたらこの身体になって居た訳だから、身長も血液型も体重も年齢も何もかも知らないのだ、この身体の本当の名前も…、父親は俺の名前を何故か一切呼ばないで愛しい息子とかって呼んで来た…。
…俺、本当に何も知らないままでここまで来ちゃったんだよなぁ。
「……ハァ」
思わず俺は溜め息を付いてしまう
「坊主、どうした」
「…いえ、別に…貴方が強面とか思ってませんよ?」
「喧嘩なら喜んで買うぞ坊主」
「あっはは、冗談ですよ、冗談」
俺は相手を誤魔化す、年を聞かれて戸惑うとか普通じゃ可笑しいからな。
「ふぅ…まぁ良い…で、家出して来たんだって?」
「はい、面倒な事になりそうだったので」
跡継ぎとか、跡継ぎとか、本当に面倒な事になりそうだったから全力で逃げて来たとも言うが。
「面倒って…」
「それに俺には目的があるので」
俺はそう言って不敵に微笑む。
まぁ、その目的と言うのはハーレム(せめて人々に愛される)と言う物なので堂々としかも見た目が幼い子供が(精神年齢が26歳だとしても)そんな事は言わない、言ったら心配されるか呆れられるのがオチだと分かっているから。
主人公、千代原咲夜
この世界の自分の事を一切知らない事について若干落ち込んだらしい。
強面男性、名前はまだ不明
主人公を迷子と思って声を掛けたら驚きの連発、とても優しいのだが見た目で損をしているらしい。