父親と交渉
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とりあえず、俺は3人の戦いを見学する事にした、イヤ…止めるってのも考えたんだが、無理かなぁーって、面倒事には頭を突っ込まないのが一番だよな、うん。
《ガキッ…ドカアァンッ!!》
「ふっ、やるな勇者よ!!」
「お前もな、魔王リュートガル!!」
あ、以外な所で父親の名が判明した。
「あら、私の存在を忘れて貰っちゃあ困るわ」
《ドッカアアアァァァンッ!!!》
「くっ、少しでも避けるのが遅れていたらヤバかったな…」
「ちょ、俺が居るの忘れて無いか!?」
「さぁ?」
…………暇だ。
「見よ!!この究極にして最大の肉体を!!」
「変身しただと!?」
「しかも傷も癒えてますね…」
「チッ、良いか魔王!!俺達が負けても、教会で復活し、また貴様を退治しに来てやる!!」
「何度でも、何度でも挑戦して見せます!!」
「ふんっ、精々頑張りたまえ……我が身宿りし、灼熱の炎よ、風と共に敵を排除せよ!!灼熱炎風!!」
「「ぅわあああぁぁぁーっ!!!!!」」
「…終わりました?」
中々に退屈だった…前世で余りRPGをやっていなかった所為なのか、見てると…あれ(厨二病)にしか見えないからなのか、良く分からないが全くと言って程に興味を持てなかった。
「あぁ、終わったぞ…これでしばらくは来ないだろう…」
そう言いながら俺の頭を撫でて来る父親、精神年齢がアレなので撫でるのは遠慮して頂きたい物である。
「良いか、お前も将来は父さんの様に立派な魔王になるんだぞ」
ごめんなさい、絶対にイヤです。
そんな事を息子が思っているとは露知らず、父親は優しく微笑むのであった。
ヤバイ、ここに居たらイヤでも魔王にさせられてしまう…ならばっ!!
「お、お父様…」
お父様ってなんだよ、自分で言っといて吐き気がする、だが父親はとても嬉しそうに目を光らせている。
あぁ、かなりの子煩悩なのか…その結論に達した時に自分の発言は正しかったと判断し、俺は出来る限りの事をする事にした、まずは…
「あの…実は……旅に出たいのです…」
そう言って上目遣いして、父親の手を握る、そして最後のダメ押し。
「ダメ…ですか…?」
上目遣いをしながらの涙目、これで父親が負けなかったらお手上げなのだが…
「良いに決まってるじゃないか!!」
どうやら勝った様だ
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主人公、千代原 咲夜
上目遣いと涙目と言う、ある意味で最強の武器を今回手に入れた。
魔王、リュートガル
息子が可愛いくおねだりするので思わず旅に出るのを許可してしまった。
勇者、アラキナ
魔王に敗れてしまった勇者、主人公が何故魔王城に居たのか気になっているらしい。
魔法使い、イーシェ
魔王に敗れてしまった魔法使い、勇者のオマケみたいに扱われつつあるのが最近の悩み。