第11話:新生活と貴族からの招待
朝日が大きな窓から差し込み、俺は心地よく目を覚ました。
新しい屋敷での生活が始まって、一週間が経った。三階建ての豪邸は、以前の家とは比べ物にならないほど広く、快適だった。部屋も十以上あり、各ヒロインがそれぞれ自分の部屋を持っている。
身支度を整えて一階のダイニングに降りると、既に賑やかな声が聞こえてきた。
「おはよう、レン!」
クレアが、朝の訓練から戻ってきたところだった。額に汗を光らせ、少し息を切らしている。
「おはよう。もう訓練してきたのか」
「ああ。朝の鍛錬は欠かせない」
クレアは、騎士としての矜持を忘れていない。毎朝欠かさず訓練を続けている姿は、本当に頼もしい。
「レンおにいちゃん、おはよう!」
ミーナが、元気よく駆け寄ってくる。エプロン姿で、手には料理用のお玉を持っている。
「おはよう、ミーナ。もう朝食の準備してるのか」
「うん! わたし、お手伝いがんばってるの!」
ミーナは、最近家事を積極的に手伝ってくれている。料理はまだ少し不慣れだが、その一生懸命な姿が微笑ましい。
「おはよう、レン」
リリエルが、魔法書を片手に現れた。彼女は、朝から魔法の研究をしていたようだ。
「おはよう、リリエル。もう研究してたのか」
「ああ。新しい魔法理論について、興味深い発見があってな」
リリエルは、相変わらず研究熱心だ。自分の部屋を研究室のように使っていて、魔法書や実験道具が所狭しと並べられている。
「みんな、朝から元気だな」
俺がそう言うと、三人とも笑顔で頷いた。
「当然だ。今日も、やることが沢山ある」
クレアが、張り切ったように言う。
「わたしも、お料理がんばる!」
ミーナも、元気よく宣言する。
「私も、研究を進めないと」
リリエルも、静かに決意を述べる。
こうして、毎朝賑やかな時間が始まる。これが、俺の新しい日常だ。
四人でテーブルに着くと、ミーナが作った朝食が並べられた。トーストに、スクランブルエッグ、それにベーコンとサラダ。シンプルだが、美味しそうだ。
「いただきます!」
四人で、同時に手を合わせる。
トーストを一口齧ると、外はカリッと香ばしく、中はふんわりしている。
「ミーナ、上手くなったな」
「えへへ、レンおにいちゃんに褒められた!」
ミーナは、嬉しそうに尻尾を振る。
クレアも、満足そうに食事を楽しんでいる。
「ミーナの料理は、毎日美味くなっていくな」
「クレアおねえちゃんも、そう思う?」
「ああ。私も、負けていられない」
クレアは、最近料理の腕を上げている。最初は焦がしてばかりだったが、今では普通に作れるようになった。
リリエルは、相変わらず淡々と食事をしている。だが、時々満足そうな表情を浮かべるのが見える。
「リリエル、研究ばかりじゃなくて、もっと休んだ方がいいぞ」
「...分かっている。だが、研究が楽しくてな」
リリエルは、少し照れくさそうに視線を逸らした。
こんな平和な朝食の時間が、俺は大好きだ。
食事を終えると、俺はギルドへ向かうことにした。最近は、新しいクエストをこなしていないので、何か面白い依頼がないか探したい。
「レン、私も行く」
クレアが、剣を腰に下げながら言う。
「私も行きたい」
リリエルも、杖を手に立ち上がる。
「わたしも!」
ミーナも、元気よく手を挙げる。
「じゃあ、みんなで行くか」
四人で、ギルドへと向かった。
街は、相変わらず活気に満ちている。人々が行き交い、商店からは威勢のいい声が聞こえてくる。
「いい天気だな」
「ああ。散歩日和だ」
クレアが、空を見上げながら微笑む。
ギルドに到着すると、リーナが既にカウンターで仕事をしていた。俺たちの姿を見つけると、彼女はパッと笑顔になった。
「レンさん! おはようございます!」
「おはよう、リーナさん」
「クレアさんも、リリエルさんも、ミーナちゃんも! みなさんおはようございます♪」
リーナは、いつも元気で明るい。その笑顔を見ると、こちらまで元気になる。
「今日は、何か面白いクエストある?」
「そうですね...」
リーナが、クエストボードを見ようとした、その時だった。
ギルドの扉が勢いよく開いた。
「リーナさん! 大変です!」
息を切らせた若い職員が、カウンターに駆け寄ってくる。
「どうしたんですか?」
「これを...!」
職員が差し出したのは、豪華な封筒だった。金色の縁取りがされていて、高級な羊皮紙が使われている。
「これは...」
リーナが、封筒を開けて中身を確認する。そして、驚いたように目を見開いた。
「レンさん! これ、レンさん宛です!」
「俺に?」
「はい! 王都の公爵家から、パーティーの招待状です!」
「パーティー?」
俺が封筒を受け取ると、そこには丁寧な文字で招待状が書かれていた。
『レン・タカミ殿この度、我が家では恒例の社交パーティーを開催いたします。
貴殿は、我が街を幾度となく救ってくださった英雄。ぜひとも、我が家のパーティーにご出席いただきたく存じます。同伴者も歓迎いたします。
アーベントロート公爵家 当主 フリードリヒ・フォン・アーベントロート』
「公爵家からの招待...」
クレアが、驚いたように呟く。
「すごいです、レンさん! 公爵家のパーティーなんて!」
リーナは、目を輝かせている。
「貴族のパーティーか...興味深いな」
リリエルが、興味津々といった様子で言う。
「レンおにいちゃん、すごい!」
ミーナも、嬉しそうに飛び跳ねる。
「でも、俺、貴族のパーティーなんて行ったことないぞ」
「大丈夫ですよ! レンさんなら、きっと上手くやれます!」
リーナが、励ましてくれる。
「それに、同伴者も歓迎って書いてありますから、みなさんも一緒に行けますね♪」
「そうか。なら、安心だな」
俺は、クレアたちを見た。
「みんな、一緒に行くか?」
「もちろんだ」
クレアが、力強く頷く。
「私も行く」
リリエルも、静かに答える。
「わたしも!」
ミーナも、元気よく答える。
「じゃあ、決まりだな」
俺たちは、パーティーに行くことを決めた。
「パーティーは、三日後ですね」
リーナが、招待状を確認しながら言う。
「それまでに、準備しないといけませんね」
「準備?」
「はい! パーティー用の服です!」
リーナが、笑顔で説明してくれる。
「貴族のパーティーですから、ちゃんとしたドレスやタキシードを着ないと」
「なるほど...」
「街の仕立て屋さんに、いいお店がありますよ♪ 私が案内します!」
「ありがとう、リーナさん」
リーナに案内されて、俺たちは街で一番有名な仕立て屋へと向かった。
店の名前は『エレガント・ローズ』。高級そうな店構えで、ショーウィンドウには美しいドレスが飾られている。
「ここです!」
リーナが、店の扉を開ける。
中に入ると、店主らしき中年の女性が笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃいませ! あら、リーナちゃんじゃない」
「こんにちは、マリアさん! 今日は、お客様をご案内してきました」
「まあ、ありがとう」
マリアと呼ばれた店主は、俺たちを見て目を輝かせた。
「これはまた、美男美女ばかり! 素敵なお客様ですね!」
「あの、パーティー用の服が欲しいんですが...」
「パーティー用ですか? かしこまりました! 最高のものをご用意いたします!」
マリアは、張り切って店の奥から様々なドレスやタキシードを持ってきた。
「では、まずレディースから! こちらのドレス、いかがでしょう?」
マリアが差し出したのは、深紅のドレスだった。
「クレアさん、これ似合いそうです!」
リーナが、クレアに勧める。
「私が...ドレス...?」
クレアは、少し戸惑っているようだ。普段は鎧や動きやすい服ばかり着ているから、ドレスは慣れていないのだろう。
「試着してみてください! 絶対似合いますから!」
リーナに押されて、クレアは試着室へと向かった。
数分後、クレアが試着室から出てきた。
「...どうだ?」
深紅のドレスを纏ったクレアは、息を呑むほど美しかった。金髪が、ドレスの赤に映えている。普段の凛々しい雰囲気とは違う、女性らしい美しさがそこにあった。
「似合ってるよ」
俺が素直に言うと、クレアの顔が真っ赤になった。
「そ、そうか...?」
「ええ、とても素敵です!」
リーナも、目を輝かせている。
次は、リリエルの番だ。彼女には、深い青のドレスが選ばれた。
リリエルが試着室から出てきた時、俺は思わず見惚れてしまった。
銀髪と青のドレスの組み合わせが、神秘的な雰囲気を醸し出している。普段のクールな印象に、優雅さが加わっている。
「...似合っているか?」
「ああ、とても」
「...そうか」
リリエルは、少し照れくさそうに視線を逸らした。
最後は、ミーナだ。彼女には、明るいオレンジ色のドレスが選ばれた。
ミーナが試着室から出てきた時、その可愛らしさに、店内にいた全員が思わず笑顔になった。
「わあ! ミーナちゃん、可愛い!」
リーナが、拍手する。
「えへへ、ほんと?」
ミーナは、嬉しそうにくるりと回る。オレンジのドレスが、彼女の明るい性格にぴったりだ。
「みんな、本当に素敵です!」
リーナが、満足そうに言う。
「次は、レンさんの番ですね!」
「俺か...」
俺は、マリアが選んでくれた黒のタキシードを試着した。
鏡を見ると、そこには前世では見たことのない、スマートな自分の姿があった。
「わあ...」
試着室から出ると、女性陣が一斉に俺を見つめた。
「か、かっこいい...」
クレアが、顔を赤くして呟く。
「...似合っている」
リリエルも、じっと俺を見つめている。
「レンおにいちゃん、かっこいい!」
ミーナが、目を輝かせる。
「レンさん、すごく素敵です!」
リーナも、顔を赤らめている。
「そうか? ありがとう」
俺は、少し照れくさくなった。
「では、これで決まりですね! お支払いは...」
「全部で、いくらですか?」
「ドレス三着とタキシード一着で、合計十万ゴールドです」
「分かりました」
俺は、創造魔法で金貨を作り、その場で支払いを済ませた。
「ありがとうございます! パーティー、楽しんできてくださいね!」
マリアが、笑顔で見送ってくれた。
店を出ると、リーナが名残惜しそうに俺たちを見ていた。
「リーナさんも、一緒に来ますか?」
「え!? で、でも私なんて...」
「大丈夫ですよ。同伴者も歓迎って書いてありましたから」
「...本当ですか?」
リーナは、嬉しそうに目を輝かせた。
「じゃあ...お言葉に甘えて...!」
こうして、俺たちは五人で王都のパーティーに行くことになった。
屋敷に戻ると、みんなで明日の出発に向けて準備を始めた。
「楽しみだな」
クレアが、ドレスを眺めながら呟く。
「ああ。初めての貴族のパーティーだ」
「私も、興味深い」
リリエルが、静かに言う。
「わたし、ドキドキする!」
ミーナも、嬉しそうに飛び跳ねている。
俺は、窓の外を見た。明日から、また新しい冒険が始まる。
貴族のパーティーで、どんな出会いが待っているのか。
楽しみで仕方なかった。
読んで下さりありがとうございました!
★★★★★評価と[[[ブックマーク]]]、リアクションお願いします!
Youtubeにて作品公開中!
http://www.youtube.com/@mizukara-h2z
ご感想やご質問など、ぜひコメントでお聞かせください。




