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4.深夜の食事

夜は濃墨をこぼしたように暗く、星の光さえ厚い雲に完全に飲み込まれてしまった。唯一、高い草むらを横切る風が、名も知れぬ生き物の低い鳴き声を運んできて、広々とした荒野の中で細かい反響をさせるだけだ。


私の焚き火は岩の風よけにかくれて燃えている。薪は勢いよく燃え上がり、時折火の玉が炎の先から跳ね出て、湿った土の上で「シュー」と軽い音を立ててすぐに消える。身に着た外套をきっちりと締め付け、指先には火打石をこすり合わせた時の粗い触感がまだ残っている。もし今、私が勇者だったら、きっと剣を握って闇に挑戦し、影の中に隠れた魔物を探しているだろう。だが私はただ跳ねる炎を見つめてぼんやりしているだけ。勇者の意気込みはどこにもなく、明日まで生きられるかさえ不安なのだ。せいぜい、もがきながら生き延びる「生存者」に過ぎない。


この世界に、本当に知的生命体はいないのだろうか? 枝で焚き火をかき分けると、また火の玉が数センチ跳ね上がる。人の背丈より高い草、形の変わった木以外には、まともな動物も見かけない。だが私は信じられない。こんな広い世界に、私一人だけ「人間」がいるはずがない。ただまだ見つけられていないのかもしれない——でも、確かめてみる必要はある。


焚き火のそばから、手首ほど太い枝を選び、樹皮をはぎ取った後、枝の先に乾いた藁を数重に巻き付けて固めた。「点火」。無意識に大木を「分解」して薪にした時のように、藁の塊にそっと話しかけてみた。声が落ちた瞬間、藁の塊からオレンジ色の火の玉が数点浮かび上がり、すぐに「ボッ」と火がつき、炎が枝に沿って燃え始める。手のひらに暖かさが広がる。


原来、「分解」の他に「点火」もできるのだ。松明を持って一回転すると、光が周りの草むらを照らし、地面の影が牙を見せた怪物のようにゆれる。だがこの能力は焚き火や松明に限られているだろう。周りは半分乾いた草だらけで、火事になったら逃げ場もなく、骨まで焼かれてしまうから、乱試しはできない。


残った丸太を小山のように積み上げ、その上に乗って松明を掲げ四方を眺望した。結果は滑稽だった。丸太の山は隣の草より低く、松明の光は数メートル先までしか届かず、その先は溶けない濃い闇だ。光も音もない——少なくともこの一帯は、本当に無人の荒野だ。


下りて松明を消して焚き火のそばに捨て、薪を数個追加した。夜になると指を差し込む隙もないほど暗く、光がある場所にいれば安全だと感じるが、こんな明るい焚き火が野獣を引き寄せてしまわないだろうか? 腰に差した石斧に手をやった。刃は鋭くないが、武器にはなる。


幸い野獣は現れなかった。ほっと一息つき、座って休もうとした瞬間、焚き火のそばの土が「ガラリ」と割れ、拳ほど大きい生き物が這い出てきた! 全身が墨のスポンジのように黒く、目はないが頭の上にピンク色の花のような鼻があり、一縮一伸して空気を嗅いでいる。


私は驚いて跳び上がり、石斧を握り締めて防御姿勢をとった。だがその生き物は私を無視し、焚き火の周りを這い回った後、鼻で灰をこすり、ゆっくり土の中に戻っていった。隙間はすぐに閉じ、何も起こらなかったかのようだ。


数秒呆然とした後、灰が少し減っていることに気づいた。この生き物に吸い取られたのだろうか? その時、お腹が「グルグル」と鳴り、異世界に来てから一口も食べていないことに気づいた! 空腹感が押し寄せ、後悔した。さっきなぜ手を出さなかったのだろう? これは食べ物にできたのに。


後悔しながらも、私は焚き火のそばに座り、その土と灰を見つめた。焚き火は静かに燃え、時折薪が破裂して火の玉が灰に落ちる。石斧を握る手を締め付けた。今度は絶対に逃さない。


どれくらい待ったか分からない。眠気に襲われそうになった時、足元の土が動いた! 同じ隙間から、その生き物が再び這い出てきた。


今だ! 息を止めて石斧を掲げ、その体に打ち下ろした。「ボケッ」と音がして、生き物は動かなくなった。黒い体から薄い赤色の液が滲み出るが、血の臭いはなく、草木の香りがする。


石斧を捨ててしゃがみ込み、獲物を見た。目はなく、鼻の下に小さな摂食口があり、体は柔らかく骨がないようだ。石斧で切り裂くと、中の臓器は薄い白色だが何なのか分からない。捨てた後、火打石で肉を5~6個に切り、細い枝に刺して焚き火の外炎で炙った。


煙が肉にまとわりつき、「ジュルジュル」と音がし始めた。肉の色は赤色から茶褐色に変わり、木炭と草木の香りが漂う。


塩も調味料もないが、一口食べた瞬間、これまでで一番美味しいと感じた。肉汁が口中に迸り、ほんのり甘みが残る。空腹だったお腹が温かくなり、3番目の肉を食べた時、鼻が酸っぱくなり涙が溢れそうになった。この簡素な烤肉は、生き残った証であり、勝利の果実だ。


最後の肉を食べ終え、指の油をなめた時、夜明けになっていることに気づいた。東の空は靄色に染まり、草の先端が淡い金色に輝いている。焚き火の炎は小さくなり、熱い木炭が数個残っているだけだ。


岩にもたれて少し休んだ後、立ち上がって体の灰を払った。新しい一日が始まった。これから何が起こるか分からないが、この深夜の烤肉が、これからも歩いていく力を与えてくれた。

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