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人間観察日記~人間の裏側を覗いてみた~  作者: masuaka
第一章 小妖怪たちの日常
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課題と約束 3

「師匠、何を取りに行ってたんですか」


 とぼくは聞いてみる。師匠はすっと一冊の冊子をぼくに見せる。  


「狐、君に課題を出します。この冊子に人間について分かったことを書いて、私に見せてください」


 師匠はそう言って、ぼくに一本の筆と一緒に冊子を渡した。ぼくはぽかんと口を開けながら、冊子と筆を受け取る。真新しい和紙でできた冊子。紙は貴重な物だからと、こんな風に新品をもらったことなんて今まで一度もなかった。


 師匠が肯定的にぼくの話を聞いてくれて、まさかこんな楽しい課題をもらえるとは思っていなかった。


「あと、いくつか約束があります」


 師匠の声が真剣な声色に変わった。ぼくは思わず姿勢を正す。


「一つ、ほかの妖怪に人間に関する質問はしないようにすること」

「二つ、この課題はほかの妖怪たちには秘密にすること」

「三つ、人間に私たちの存在が気づかれないようにすること。この三つの約束を守れますね」


 師匠が真剣な表情でぼくに聞いた。この三つの約束は大事なことだ。でも、一つだけ気にかかることがある。子河童と輪入道だ。


「師匠、約束は守ります。だけど、子河童や輪入道には言ってはいけないのかな。子河童と輪入道は、友達なんだ。だから……」


 そう言ってぼくは言うのを止めた。友達でもどう思われるか分からない、子河童は人間に無関心だし、輪入道にとっては心の傷を負った原因なのだから。


「まあ、子河童と輪入道には秘密にしておきましょう」


 師匠はぼくの言いたいこと察したらしく、そう告げた。


「師匠分かりました、約束を守って課題をやります」


 ぼくがそう言うと、師匠は安心したように笑った。ぼくは師匠の穏やかに笑った表情を見て、すごく安心した。

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