ひとみウォッチ2
昼下がりの光が窓から差し込み、柔らかな雰囲気を醸し出している。大学の食堂のテーブルに、ひとみと幼馴染の伏見あいなが向かい合って座っていた。
彼女は運動神経抜群の美少女だった。黒く艶やかな髪は、高い位置で一つにまとめられたポニーテールとなり、動くたびに軽やかに揺れる。光を浴びるたびに、その髪はまるで漆のように艶やかで、美しさが一層際立つ。引き締まった肢体は、しなやかさと力強さを兼ね備えており、ショートパンツから伸びる長い脚は、まるで彫刻のように美しい。適度に日に焼けた肌は健康的な輝きを放ち、特にスラリと伸びたその脚線美は、視線を集めずにはいられない。余分な脂肪が一切ないその足は、筋肉のラインがくっきりと浮かび上がり、彼女の鍛え抜かれた身体を物語っていた。大学では陸上部に所属しており、2年生ながら部内でもその実力はナンバー1といわれている。
一見するとタイプの全く違う2人だが、中学校から同じクラスで、奇跡的に同じ大学に合格し、今でもこうしてしょっちゅう食事を共にする仲である。食後のデザートを前に、ひとみが嬉しそうにスマホを取り出した。
「ねえ、あいな。聞いてよ、今日の放課後、喫茶店でデートするんだよね。」
あいなはスプーンを止め、ひとみの顔を見つめた。「また誰か新しい人?いい加減男遊びはやめなって」
ひとみは悪戯っぽく笑って、スマホの画面をあいなに差し出した。「うん、そう。でもね、今回はちょっと違うの。なんかさ、あんまり自分に自信なさそうな子なんだけど、優しそうなのよ。ほら、この人。」
あいなは画面に映る写真を見た瞬間、心臓が一瞬止まったように感じた。そこには、自分が気になっていた男の子、マコトの顔が映っていた。あいなの胸の中に重たいものが押し寄せてくる。
「マコト……?」あいなは思わず名前を口にした。
ひとみは驚いた様子であいなを見た。「え、知ってるの?」
あいなは動揺を隠せないまま、無理やり微笑みを浮かべた。「うん、同じ授業を取ってるんだ。ちょっと話したことがあるけど……」
「そうなんだ!それなら気が楽だわ。どんな子?やっぱりおとなしい感じ?」
あいなは、胸の内で葛藤していた。ひとみがこうして嬉しそうに話すのを見ていると、何も言えなくなってしまう。しかし、マコトのことを思うと、彼がまたひとみの「餌食」になるのではないかと心配だった。
深い仲というわけではない。おそらく彼はあいなのことなど全く覚えていないだろう。
確かなことは、マコトとあいなは小学生の時に同じクラスになったことがあって、あいなが一方的に好意を寄せていたということである。結局ほとんど話すことなく別の中学に進学したのだが……。
「あのさ……ひとみ。もしかして、マコトくんのこと、本気で好きになったりはしてない?」
ひとみはあいなの言葉に一瞬戸惑ったが、すぐに笑って首を振った。「うーん、わかんない。ただ、興味はあるかなー。この後のデート終わることには付き合ってみようと思ってるし」
あいなの胸の中で何かが音を立てて崩れていくのを感じた。彼女はただ「そう……」と小さくつぶやくしかなかった。
その後、2人は他愛もない話をしながらデートの時間まで時間をつぶした。
「とりあえず、今日は楽しんでくるね!」
ひとみはそう言って笑顔を浮かべ、立ち上がった。あいなはその背中を見送ることしかできなかった。彼女の心の中には、マコトのことを想う気持ちと、ひとみへの複雑な感情が渦巻いていた。
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次回、8/23 夜更新予定です。