告白ウォッチ
大学近くの小さな喫茶店「コトリカフェ」。木のぬくもりが感じられる落ち着いた店内には、心地よいジャズが静かに流れている。マコトは、一番隅のテーブルで本を読みながらコーヒーを飲んでいた。人混みが苦手な彼にとって、このカフェは心を落ち着ける場所だった。
そんな中、ふと入り口のベルが鳴り、ひとりの女の子が店に入ってきた。明るい笑顔と華やかな雰囲気を纏った瞳。彼女は店内を見渡し、マコトに気づくと、少し躊躇した後、意を決したように彼のテーブルへと歩み寄った。
「ここ、座ってもいい?」瞳は遠慮がちに声をかけた。
「う、うん、どうぞ…」悠真は、内心の動揺を隠しながら、なんとか返事をした。
瞳は彼の前に座り、注文を済ませると、興味深そうに彼を見つめた。「マコトくんって、いつもここで本読んでるの?」
「そうだね…ここ、落ち着くから。」マコトは少し照れくさそうに答えた。
「私、前から気になってたの。マコトくんって、いつも一人でいるけど、何を考えてるのかなって…」瞳は、マコトの顔をじっと見つめながら言った。
マコトはその言葉に戸惑いながらも、「別に、特に何も…」と曖昧な返事をした。彼はこんな風に自分に興味を持たれることが不思議でならなかった。
しかし、瞳はその答えにも満足げに微笑み、「でも、そういうところが素敵だと思うよ」と言った。
「え…?」マコトは驚きで顔を赤らめた。そんな風に言われるのは、彼にとって初めての経験だった。
瞳は少し恥ずかしそうに、でも真剣な表情で続けた。「私ね、実は…マコトくんのこと、前から気になってたんだ。誰にでも優しくて、静かで…でも、何か心に秘めてる感じがして。」
マコトは驚きと戸惑いで言葉が出てこなかった。面識のないはずの彼女が自分に対してそんな風に思っているとは、全く予想していなかったからだ。
瞳はさらに言葉を重ねた。「だから、今日こうやって話せてすごく嬉しい。もっと、マコトくんのこと知りたいなって思ってる。」
マコトはその言葉に困惑しながらも、心の奥底で少しずつ嬉しさが湧いてくるのを感じた。しかし、彼の自信のなさが言葉を遮った。「でも…僕は、そんなに特別な人間じゃないよ。瞳さんみたいに明るくて、みんなに好かれる人じゃないし…」
瞳は彼の手をそっと握り、優しく言った。「それでも、私はマコトくんがいいんだよ。」
その言葉に、マコトは一瞬言葉を失った。彼の心の中で、何かが大きく揺れ動くのを感じた。彼はこんな風に誰かに真剣に想われることがあるとは夢にも思わなかった。しかも、こんな美人に。
瞳は、そのまま真剣な表情で続けた。「だから…もし迷惑じゃなかったら、これからも一緒に過ごさせてほしいなって思ってる。どうかな?」
マコトはしばらくの間、瞳の言葉を頭の中で反芻し、そしてゆっくりと頷いた。「うん…僕で良ければ。」
瞳は嬉しそうに微笑んで、手を握る力を少し強めた。「ありがとう、マコトくん。」
その瞬間、悠真は今までに感じたことのない温かさと、心の奥底からの安心感に包まれた。彼女の存在が、自分にとってどれほど特別なものになるか、まだこの時点では分からなかったが、この出会いが二人の未来に繋がる重要な瞬間であることは、確かだった。
「じゃあ……」
そういって瞳は、机に肘をつき、椅子から腰を浮かせてこちらに身を乗り出してきた。
「え……」
マコトの頭はたちまち真っ白になる。20年間女子とは無縁の生活を送ってきた彼の脳は、今起こっている現象を理解することができなかった。
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次回は16日夜更新予定です