初めての戦い
「死ねぇ!火籠!」
火籠ってどんな魔法だっけ。ああそうだ。『対象物を火でできた空間に閉じ込める』だった。これって水盾で防げるのかな?
「水盾」
水の盾が作り出される前に火が俺を囲う。
アッツ!逃げ出そうとしても見えない壁があるように、逃げられない。なるほど、こんなふうに閉じ込められるのか。そこまで考えたところでやっと水の盾が作り出され、火が消火されていった。服に燃え移った火は水で消火した。
「チッ、水属性か。相性が悪いな。少しだけ本気を出してやる。」
ゴロルはニヤリと笑い、俺に手のひらをかざした。
「闇玉」
聖・闇属性を持っていたのか。あれだけ自信満々なのも納得だ。闇玉は確か、聖属性を持たないヤツのMPと生命力を吸い取るんだよな。だが、聖属性を持っている俺は30分後に聖属性が使えないだけだ。
俺は避けずに闇玉を受けた。
「お前、闇玉がどんな魔法か知っているのか?受けたらMPと生命力を吸い取られんだぞ。つまり、お前はもう死んだも同然だ。」
ゴロルが勝ちを確信する。
「ああ、知ってるよ。でも、確かそれは相手が聖属性を持っていなかったら、の話じゃなかったか?」
「まさか、お前も聖・闇属性を!?」
「聖砲」
俺の聖砲がゴロルに当たる。
「これでお前は闇属性が使えない。」
「俺様以外に聖・闇属性を持っているヤツがいたとは。」
ゴロルが俺を睨む。
「ああ、俺は聖・闇属性を持っている。ついでに他の全ての属性も持っている全属性持ちだ。」
「はあ?んなわけねーだろ。全属性持ちなんて1億年に一度生まれるかどうかくらいの確率だぞ?」
俺とゴロルの戦いを見ていた周りの強盗がそう叫ぶ。
「でも、1億年に1度は生まれるんだろ?麻痺」
「ギャアアァァ!」
ゴロルは倒れて動けなくなった。
「木縄」
俺の手のひらから出た木の枝がゴロルを捕らえる。
「本当にコイツは全属性持ち……」
「逃げろぉ!」
残りの強盗がよろよろと逃げていく。
「逃すか。木縄」
木の枝が逃げる強盗達を捕まえる。
「やめろぉ。」
「命だけはお助けお願いします。」
殺されるとでも思ったのだろうか、ギャアギャアと叫び出し、涙目で命乞いをして来た。
「うるさいな。睡眠」
強盗達はすぐに寝息を立てて寝てしまった。
さて、コイツらをどうしようか。ニーシュの元に持っていくのが1番いいんだろうけど、どう運ぼうか。
あっそうだ。創造で瞬間移動の魔法とか作れないかな。
「創造」
瞬間移動 消費mp 20 威力1
呪文を唱えて行きたい場所を言うと行きたいところへ一瞬で移動できる。自身にのみ使用可能。また、その時に触れていたものも一緒に移動する。
唱えてみると、脳の中に情報が流れてこんできた。と同時に、体がだるくなり、めまいがした。これが生命力を削ると言う事なのだろうか。
「瞬間移動ニーシュの元へ」
「ワッ、え?なんですか。クルト様?」
瞬く間にニーシュの元へ移動した。
「クルト様?顔色が悪いですが大丈夫ですか?って、その木縄で捕まっている人たちはゴロル団では??一体なんなんですか???説明してください。」
「ああ、はい。」
俺は一連の出来事を説明した。
「なるほど、クルト様はたまたまゴロル団を見つけて捕まえたと言う事ですね。」
「あの、ゴロル団とは?」
「他属性持ちのゴロルが率いる6人の強盗団のことをみんなそう呼んでいます。多くの店が被害に遭っていて、これまで多くの断罪者が捕まえに行ったのですが、他属性はやはり厄介で捕まえられず、懸賞金が10万円かけられているほどなんです。」
「へぇ、他属性って結構厄介なんですね。そういえば、その懸賞金ってもらえるんですか?」
「はい、もちろんです。」
やったな。思わぬ収入だ。10万あったらとりあえずはやっていけるだろう。
https://ncode.syosetu.com/n2665ib/5/ で呪文の確認ができます。