俺らはただただ無双する
サトウケンジの事はニーシュに全部話した。
「なるほど、まあ事件というより事故だったと思いましょう。あ、でもクルト様たちには報酬を払っておかなきゃですね」
俺はやわく断ったのだが、押し付けられる形で85万をもらった。
「それで、依頼はありますか?」
「はい。強盗団の……」
説明を聞いてから捜索と瞬間移動を併用してアジトである廃村(ゴーストタウン)に移動。
「念のため確認なんだけどぉ〜?君らが噂の強盗団ってことでいいんだよねー!」
捜索が指したのだから間違いないのだけれど、ミネルは毎回こう確認する。
「……」
どうやら居留守を突き通すらしい。
「うーん、困ったなあ。ここにいるはずなんだけどなあ。まっ、コソ泥するような卑劣な奴らはこうやって立ち向かわずにただいつ捕まるかと怯えて隠れてるのがお似合いかなあ」
「んだとっ!」
「バカ、声を出すな」
ここまで綺麗に挑発に乗ってくれるとは。
そこからは早かった。30人近くいた強盗たちを30秒も立たないうちに全員無力化する事は簡単だった。
「ニーシュさん、終わりました」
「わ、数は多いと聞いてましたが30人ですか。よく捕まえられましたね」
「他属性持ちもいなかったし、数だけで質は全然でしたから」
「そうですか、なら良かったです。報酬120万です。まだ仕事をしますか?」
「はい。お願いします」
「ある研究所なんですけど、そこでヤバいことが行われてるらしくって……」
一瞬でその研究所に移動する。
そして一瞬でその研究所の人を捕らえた。
「はーい、報酬100万円です。次は創作で作った魔法を使って盗撮をしていた……」
せっかくの創作を盗撮するためだけに使っていたエロ野郎を捕まえるのには5秒あれば十分だった。
「報酬10万円です。」
殺人
強盗
盗賊
盗賊
海賊
殺人
盗撮
盗賊
強盗
強盗etc……
掲示板は「断罪完了!」という文字で埋め尽くされていた。カンジュをもらってから俺らは超楽々と仕事をこなしていった。もうちょっと苦労したいってミネルが言ってたっけ。周りは
「おい、SSAやりすぎだろ。」
「え、1日にどんだけ依頼完了してんだ」
「マジかよ」
「SSAが強盗集団とかじゃなくて良かった。」
とかの声で溢れている。どうやら俺らはSSAと呼ばれているみたいだ。由来はしらん。
その結果
「ニーシュさん、依頼はありまs……」
「ありません」
と、当分依頼が来なくなった。悪人が今のところほとんど全員退治されたと言うワケだ。それは悪いことではないのだが……
「暇だぁ〜。することなーい。私常に動いときたいタイプなのにぃ。」
という状況に俺らが陥っている。
そういうわけで今日は別行動だ。メムニルはお買い物へ、ミネルは高級菓子食べ放題へ。そして俺はカンジュの能力確認だ。
「カンジュ、俺と一体化してみてよ」
「一体化?ああ、そういやそんな特別能力あったな。どうすんねやろ。こんな感じか?」
カンジュが俺の手を握り、ウヌヌヌヌ〜って感じで目をつぶって力を込める。
俺の中に何かが流れ込んできた。
『おお、これが一体化』
鏡を見ると髪が赤髪になっている。
『え、これ俺も未来予知使えんの?』
『使えるんちゃう?やってみ』
『未来予知』
脳内に粗い映像が流れる。2人が戦っている。1人は俺?かな。もう1人は知らない。
そうしていると俺の体が勝手に宙返りをする。体からカンジュが抜けていった。
「さっきの映像なんやねん。また戦うんかいな。飽きたわ」
「飽きるな」
ポケットに手を突っ込むと、長方体の硬い物が手に当たる。スマホだ。
「もしもーし、ミネル?俺はやりたいこと終わったんだけど、そっちは……」
「もう!今忙しいの。ああ、あと1時間で食べ放題終わっちゃう〜!」
あっ、切られた。メムニルにもラ◯ンを送ったが、既読がつかない。買い物に夢中なのかな。え、なんでスマホがあるのかって?それは、
「別行動するときに遠くからコミュニケーション取れたら便利なのにね。」
「そうですね、スマホがこの世界にもあったらよかったのに。」
「あ、創造で作れるよ。俺作ろっか?」
ということで、
高性能機器製造スマートフォン mp5 威力1
通話機能、写真、遠距離コミュニケーション可能なラ◯ン、スケジュール管理などの機能も併せ持った、多機能な機器を作れる。ただしゲームは使用不可。
を作った。全く創造はなんでも作れるな。
ブーブーっと右ポケットが震える。ニーシュからラ◯ンだ。
『この高性能機器製造すごいですね。本当にクルトさんには驚かされてばかりです。今、Sランク向けの依頼が入ってきたんですけど受けますか?内容は、ウイヨン森で大量殺魔事件が起きたのでその犯人を捕まえてほしいというものでした。人間嫌いの魔物が100万匹近く溜まっていたらしく、そこを思いきりドカーンと。つい15分前に起こったものなので、犯人はまだすぐ近くにいると思います。』
「未来予知で見たのはこれか。」
ニーシュに「受けます。今から行きますね。」という文とスタンプを送る。
「カンジュ、行くぞ。瞬間移動、ウイヨン森大量殺魔事件現場へ」
ウゲー
吾輩はグロいのは無理である。
俺も無理。
そりゃあ目の前に100万もの魔物の死体があるんだよ?これ見て平気なやついる?いねーよなー。
「カンジュ、生き返りの秘術バックライフ使って。」
「ん。生き返りの秘術!あれ?これって死後1時間以上経っとるか?」
「15分前に起こったって言ってたから1時間は経ってないと思うよ」
「あっれー、じゃあなんで効かへんのや?こっちは諦めて犯人追わんとアカンのちゃう?」
仕方なく「捜索大量殺魔事件の犯人、瞬間移動」で犯人の元へ移動する。
目の前には1人の男。コイツか。男がこっちに気付く。
「断罪者?案外早いな。」
「未来予知」
いつの間にか剣化したカンジュが唱え、これから来る攻撃を読む。が、
「何も見えへん。なんでや?って、わぁ!」
凍結が来る。
「カンジュ、吸収!」
しかし、魔法は吸収されることなく俺の足を凍り付かせた。
火玉で溶かす暇もなく氷雨。
「火盾」
火盾で防げたけど、なんでカンジュの能力が効かないんだ?
「教えてやろうか?ヒントは俺はさっき100万もの命を刈り取った。」
男が俺の思考を読み取ったように言う。
「なるほど、禁忌の能力か。」
「セーカイ。特別能力無効を獲得した。ちなみに生まれつきの特別能力で、物理攻撃無効がある。」
特別能力無効。だからカンジュの能力が効かなかったのか。
特別能力無効かぁ。厄介だな。あれ、魔力無限も全属性持ちも特別能力じゃなかったか?
特別能力無効の場合のステータスを見る。
クルト 29歳 男
生命力 2000/魔力 10万
・基本属性
火属性
水属性
・他属性
創属性
聖・闇属性
・称号
転生者
状態属性、木属性封印&魔力10万&カンジュによる物理攻撃無効か。キツイな。って、称号チートが剥奪されてる!
「ハッ、ひるんだか?土下座して俺の靴舐めたら殺さずに逃してやるぞ?」
おー、アニメでしか見たことない挑発。これは前世では99%経験できないな。
男は笑いながらこちらを見る。
「どうすんだ?心配するなよ。靴はこまめに手入れしてるさ。ま、逃げたら我が身可愛さに禁忌の能力を持った男を見逃した断罪者っていうレッテルを貼られるだろうけど。」
……
吾輩は格下に馬鹿にされるのは好まぬ。ちとアヤツに制裁を下してもよろしいだろうか。
2号がかなり腹が立っているっぽい。いや、それよりも1号がやばい笑みを浮かべている……感じがする。じゃあ並列意思たちに出番をあげるか。
「並列意思28、分身30、気配抑止を30体全員に」
う。魔力が結構消費されたな。まあ言っても10万もあるし尽きることはないと信じよう。
やー
Hello! I am “HEIRETUISHI”
こんちゃーす
アッチ誕生!
イェーイ!*¥-#「272)@」^_^!_・€£$^[]『』‘}※
……
にゃー(⌒▽⌒)
我、参上!
あーうるさいうるさい。この分身に1人……並列意思って単位〜人なのか?まあいいや。1人一体ずつ入ってくれ。それからは好き勝手アイツを攻撃だ。
オー!!
透明化した分身30体が動き出す。
「どうした?さっきブツブツ言ってたが攻撃してこないのか?」
5体が爆炎を放つ。
「なっ!?どうしてこんなところから」
男は凍結と水盾で防ぎ、氷雨の広範囲攻撃によってどこにいるかわからない敵に反撃。俺と分身は火盾で防ぐ。3体が火籠で閉じ込めようとするが、男は水属性のため簡単に破る。誰かが氷雨を放った。が、違う分身が爆炎を打ってしまい、相殺される。その爆炎と氷雨がぶつかったことで起きた煙が明ける前に俺は凍結でさっき俺にしたように男の足を凍り付かせる。水で少しずつ氷を溶かそうとするが、この場合ちょっとの間でも身動きができないのは致命的。
30体全員が男の頭上に氷雨を打つ。
仕上げに並列意思1号が凍結で全身を凍らせ、苛立ちをぶつけるように何度も踏みつけた。1号はお掃除完了と満面の笑みを浮かべる。
おぉ、見事。でも……
あ。やっべー。殺しちゃったかも。
あのようなやつ、殺しても良いと思うが。
そーだそーだ!
うん。
I think so too.
そだよねー
アッチもそう思いやす!
イェーイ!*¥-#「272)@」^_^!_・€£$^[]『』‘}※
……
ワン!(U・_・U)
我もそう思う。
そっかー、そうだよねー。あんな奴殺しちゃっていいよねー。ってダメだろ!おい並列意思!もうちょっと手加減ってものを……あー、マジでどうしようか。特別能力無効だから生き返りの秘術も効かないし。あーもう。ニーシュに正直に言うしかないよなぁ。絶対殺しちゃったらダメだよなぁ。
正直言ってうるさくて邪魔なので並列意思を1号と2号以外消してから、ニーシュの元へ向かう。
「いいですよ。」
へ?いいん?
「はい。いいです。と言うか、Aランク以上の断罪者は相手を殺しても良いって決まりなので。と言うか大体の罪人は死体できますよ?今までなんでいちいち生かしてたのかがわからないって感じです。」
あっそっか。良いのか。そりゃあよかった。
「でも、問題なのは……」
ニーシュはさっき渡した男の死体を取り出す。
「なんで禁忌の能力者がこんなに無残な姿になってるのかですよ!!クルト様は何ですか?禁忌の能力持ってないのにそれ以上ですか!?ちょっとコイツに同情しちゃうほどコテンパンじゃあないですか!」
とまあニーシュに色々言われて、気がついた時にはもう夕方だった。
ブーブーっとスマホが震え、メッセージが届く。
『私食べ放題終わったよ〜(^^)v おいしかった!』
『私もお買い物終わりました。少し買いすぎちゃったかもしれません(*´ω`*)
お菓子とフルーツも買ってきたので、みんなで食べましょう!』
『やった〜♪』
みんなも終わったみたいだし、家にかーえろ。