断罪者《ディカステス》
「いってらっしゃ〜い。」
そうミネルに言われた俺は、瞬く間に異世界に送り込まれた。
「おお、ここが異世界……。」
俺は周りを見渡す。
ギリシャの街並みを思い出させるような白い家が並んでいる。
「さぁて、俺のチート能力はどうなってるのかな?」
クルト 29歳 男
・基本属性
火属性
水属性
木属性
・他属性
創属性
聖・闇属性
状態属性
・称号
チート
・特別能力
全属性持ち
魔力無限
脳内に情報が流れ込んでくる。なるほど。これでステータスを確認できるんだな。
基本属性?他属性?全属性持ち?魔力無限??
ダメだ、全然分からん。でもきっと強いんだろう。だって称号がチートだもんな。さて、このチート能力(多分)をどう使おう。この世界には冒険者とか勇者とかの制度ってあるのだろうか。
そんなことを考えながら街並みを見ていると、八百屋の男性が話しかけてきた。
「おっお兄ちゃん!見かけない顔だね、君、転移者でしょ?しかもキョロキョロしてるし、来たばっかりなんじゃない?困ったらなんでも聞いてね。」
正確には転生者なのだが、転移者みたいなもんだし、いっか。
「じゃあ、ここの世界の職業はどんなものがあるんですか?できれば魔法を使うものがいいんですけど……」
「ああ、それなら断罪者とかどう?」
「断罪者?」
なにかわかんないけどカッコいい。
「断罪者は、強盗とか殺人とかをした罪人を捕まえる職業って言ったらいいのかな?強さによってSクラスからDクラスまで分かれてて、上のクラスになるほど凶悪な罪人を捕まえる。でもこの職業は危ないからオススメしないよ?もししたいんなら断罪者になる場所まで案内するけど。」
要は警察官の進化版ってことかな?
「危なくてもいいんで、断罪者になりたいです。」
「そう?じゃあついておいで。」
しばらくついていくと、大きな建物があった。
「ここの姉ちゃんに断罪者になりたいって言いな。そしたらランク試験場に連れていかれて、そこでランク分けがされるから。それじゃ俺はここで。」
「ありがとうございました。」
男性が見えなくなると、建物に向き直り、中に入る。
中は広くなっており、前には男性の言った通り清楚な雰囲気のお姉さんがいた。
「あの、断罪者になりたいんですけど。」
「はい、断罪者になりたいんですね。私はニーシュです。お名前は?」
「達夫……じゃなかった。クルトです。」
「はい、クルト様ですね。それではこの書類にステータスを書き写してください。」
俺はステータスを思い浮かべ、言われた通り書類に書き写して渡した。
「えっと、全属性持ちと魔力無限ですね。え!?全属性持ちと魔力無限!?しかも称号がチートって……。そんなわけないない。クルト様、うそは良くありませんよ。」
「いえ、ほんとです。」
ニーシュは額に手を当て、ふらふらと崩れ落ちた。
「え、ちょっ、ニーシュさん?大丈夫ですかー?」
この後、ニーシュは2時間ほど寝込んだ。
ギリシャかっこいいですよねー。ディカステスとかプロローグに出てきたエザフォスとかもギリシャ語から取ってきてます。