私は皆の天使
設定ゆるゆるです
私は皆の天使なの!
白金の輝く髪に雪のように真っ白できめ細やかな肌。
透き通るような神秘的な碧色の瞳。
鼻筋はすっと通っていて小鼻は小さくて唇は薄く形が良い。
誰もが一目見てわかる絶世の美貌。
おまけに常に人助けするような善良な愛らしい性格。
地位だって侯爵令嬢なの。
帝国中の国民が皆口を揃えて私を天使と崇めるの。
皆私のことが大好き!だから私も皆が大好き!
でもねやっぱり人は愚かだから
私を独り占めしたい人は沢山いるの。
その一人が帝国の皇太子。
彼はね私のために公爵令嬢と婚約破棄したそうなの。
けれど可愛そうね。
帝国の皇太子といえど私は手に入らないのに。
だってそうでしょ?私は天使だから。
ひとりのものになってはいけないの。
天使は皆のものだから。独り占めはだめなの。
分かるでしょ?
そしてね可愛そうな子がもう一人。
皇太子に婚約破棄された公爵令嬢。
彼女は皇太子にありもしない罪を被せられて
一日で天使の私と真逆の悪魔となったの。
お気の毒ね。
それでも彼女は皇太子の事が本気ですきだったみたい。
だからなのか先日の深夜私の寝室に忍び込んできたの。
どんな手を使ったのかは分からないけれど。
そして私に言ったの。
「どうしてお前なんかが天使と崇められているのか。
理解出来ない。お前は悪魔だ。
私はお前のせいで、愛する人に捨てられ
ずっと一緒暮らしてきたはずの家族にも愛想を尽かさ
れ、今まで尽くしてきた国民にまで貶されている。お前 の存在1人で私は帝国中が敵になった。私を地の底に落と したお前は今どんな気持ちだ?」
もっとゆっくり喋ったらいいのに。しかも大声で。
私の耳が痛くなるのよね。
そんなこと思いながら私は彼女の問いに答えようとしたが
その前に異変を察した兵が押し掛けてきた。
そこからはすぐに彼女は取り押さえられ
皆から崇められている天使の侯爵令嬢に害をなそうとした
罪として牢獄に入れられた。
彼女は死刑になるらしいの。
さすがに大袈裟だとは思ったけれど仕方ないのよね。
皆私が大好きだから――
彼女の死刑の前日になった。
私は彼女に会いにいく。
皆には止められたけど、
私は天使だから最後くらいは行ってあげなきゃいけないの。
彼女は私のことが大好きな人たちに
拷問られたらしい。
その筆頭は皇太子なんだって。
牢獄に着くと彼女はぼろぼろだった。
以前は整えらていた細やかな肌もガサガサで傷だらけ。
髪だって、ぐちゃぐゃでギザギザに切られていた。
悪臭は漂っていたし両手は折られていて顔には火傷の跡。
なんとか意識を保っている状態だった。
帝国の元公爵令嬢は今、見る影も無い。
――あぁ、皆私の事が大好きなんだ。
私も大好き。私は何もされてないのに、
凄く痛め付けてる。可愛い。
そんなことを思っていると彼女が話しかけてきた。
「な、、にを、しに、、、きた、」
「話したい事があるの。」
「はっ、私を、、わら、いに、、き、たの、、、だろう。」
「違うわよ。もう一度言うけれど話したい事があるの。
····· あのね、私は小さい頃親に愛されていなかったの。
親はすぐに亡くなってしまったけれど。小さい私には愛されていなかったことが記憶に深く刻まれた。だからなのかも。私は皆に大好きになってもらいたくて愛してもらいたくて。それで自分の容姿を磨いて性格を曲げて天使になったの。だからね、ありがとう!貴方のおかげで皆が私のことを大好きなのがもっと伝わったわ!前にどんな気分か聞いたわよね。最高よ!私は美しいでしょ?魅力的でしょ?善良で優しいでしょ?そんな私はやっぱり皆の天使ね!皆私のことが大好きなの。私も大好き。もちろん貴方の事も大好きよ!本当にありがとう!無実の貴方は可愛そうだけどしょうがないし!やっぱり"貴方たち"は良いことをしてくれるわね。今日はこれを伝えたかったの!」
「貴方、、た、ち、、?わ、たし、、だけでは、、、ない、、の、か、?おま、え、は、、、狂っ、てる。私、は、お前、、が、、だいき、らい、、だ。」
「えぇ。そうよ?私、心配性みたいなの。だから何十人の人たちが皆から私への愛を試してくれたわ!貴方みたいに良い子ばっかりだったのよ?感謝しなくてはならないわね。」
「この、、あ、、くま、が、!」
「悪魔は貴方でしょ?皆そう思っているわよ。じゃあそろそろ行くわ。最後は貴方の事を遠目でしか見れないはずだから今伝えておくわ。さようなら!今までありがとう、悪魔さん」
翌日、彼女の処刑は行われた。
民衆は石を投げながら悪魔と罵った。
彼女もまた私へカタコトの言葉で精一杯叫びながら
罵ってこの世を去った。
それでも私は最後まで彼女が処刑されるのが悲しいと
綺麗に涙を流す。やっぱり私は天使よね。
民衆はそんな私の姿を見てさらに崇めるの。
汚い感情をぶつけられても決して汚い感情を持つことは無い
素晴らしい天使だと。
――あぁ!この尊敬の眼差し。暖かく愛のある言葉。
本当に皆私のことが大好きなのね。
嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい
私はこれ以上ないくらいの笑顔をみせた。
彼女たちのおかげで私は最高よ。
皆皆これからも私を崇めてね。
だっては私は美しいでしょ?心が綺麗でしょ?
善良で優しいでしょ?私を皆が大好きなのは必然なのよ。
私は皆の天使。
――誰かが言った「悪魔は人を10人殺したが天使は 2038344人殺した」
本当の天使は悪魔なのか天使なのか。




