第3話
あれから2日が経った。あの後運良く森を脱出できたが…オレたちを出迎えたのは地平線まで広がる平原だった。
途方もなく広いその光景を見た時、オレ達のテンションは再びどん底へ落ちた。
「これからどうするよ?」
「どうするって言ったってなぁ…なんか見えるまで歩くしかねぇべ」
「地獄で草も生えない」
「んな事言ったって歩くしかねぇだろ、オラ行くぞ」
「はいはい…」
それからというものひたすら歩き続けた。食料も水もない、そんな状況で何時間も。
「なぁ……これ、実は夢とかじゃないよな……」
「現実逃避したくなる気持ちも分かるがこれが現実だ、多分もうすぐ街が見えるはずだからそれまで頑張れ」
「街ぃ?オレ達が入れるような場所あると思うか?」
「知らんが少なくともここよりマシだろ、それに腹減って死にそうなんだろ?飯食えるかもしんねーじゃん」
「それもそうか……」
オレ達はとにかく歩いた。しかし歩いても、歩いても景色が変わることはなく。ただ空が茜色に染まるだけだった。
「加藤ぉ……もう歩けない……限界だぁ……」
「俺だって疲れたよ、だけど休んでる暇なんてねぇだろ」
「そりゃそうなんだけどさぁ……」
「あと少しだ……もう少しで着くはずだからよ…きっと…」
加藤はフラつく足取りで前へ進む。オレはその後を必死について行った。
「……!見えたぞ!」
加藤の声に反応するように顔を上げるとそこには確かに壁のようなものがあった。
「やっとついたか…加藤…じゃあさっさと入れるか行ってみようぜ加藤…加藤?おーい加藤くぅ〜ん?」
しかし加藤からの返事はない。不審に思い加藤を見ると彼は倒れていた。
「加藤!?おいしっかりしろ!クソっ…!」
俺急いで駆け寄り加藤を抱き起こす。
「…っ…俺は……?」
「良かった…まだ死んでないか…」
「俺は一体…?」
「加藤、お前は疲労で倒れてたんだよ。一瞬だけどな。」
「……そっか……そうだったのか……俺はもうダメだ……彰人、後は頼んだぞ」
「諦めんな馬鹿野郎!まだ助かるかもしれねえだろうが!」
「無理だよ……俺の身体はボロボロなんだ……お前だけでも街に行ってくれ」
「ふざけんじゃねぇ!!何でお前を見捨てて行けるんだよ!!それにまだ蜘蛛から逃げた時の借りを返してねぇじゃねぇか!今度はオレが助ける番だ!」
「彰人…」
「だから死ぬな加藤!!」
「ありがとう…俺、もう少し頑張ってみるわ…」
「あぁ……!」
だがしかしオレたちは知らなかった
「……街に入るんならさっさと入ってくれないかな?もう門が閉まるんだけど……」
「「アッハイ」」
オレたちの寸劇を衛兵さんがなんだコイツらみたいな目で見ていることに。