第1話
やぁみんな、俺の名前は桐谷 彰人。ちょっとヲタクが入ってることは以外は普通の男子高校生さ。唐突なんだけど、みんなは異世界に行きたいとか思ったことはある?俺はある。ありまくる。というかさっきまで異世界に行ったらどう立ち回るかのシュミレーションしてた。数学の授業なのに。……ちょっと話が逸れたけど、異世界っていいよな、希望がある。非現実的で夢がある。そう、夢なんだよ。所詮異世界なんてのはラノベやアニメの世界だけの話…そうだろ?だからさ……
「この状況も夢だって言ってくれよォォォォォォォォォォ!!!!!」
「んな事言ってないで現実見ろ馬鹿ぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
爆速で追いかけてくる人間大の蜘蛛の化け物を背に俺は全力で走っていた。
何故こうなったか、事の発端は数時間前に遡る…
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「おい!彰人!」
「んあ?」
俺の優雅なる居眠りを邪魔しやがったのは同じクラスで友達の加藤 禎丞だった。こいつは俺と同じヲタクだが、俺と違って明るく社交的だ。人生とは実に不平等である。まぁそんなことより今は昼休みなので飯を食おうと思っていたところなのだが……。
「お前今日ゲーセン行かねーか!ゲーセン!」
「えぇ……」
また始まったよ……こいついつもゲーセン行こうぜってうるさいんだよな。まぁいつも暇してるし構わないのだが。
「またゲーセンかよ…たまには別な所行こうぜ?」
「なんでだよ〜たまには一緒に行ってくれよ〜」
「昨日も一昨日もゲーセンに誘ってきた奴が言うセリフかよそれ……そもそも金ないし」
「少しくらいなら奢ってやるからさ!な!」
「それならまぁ、行ってやるか」
結局加藤に押し切られてゲーセンに行くことになった。
ゲーセンに着いた俺たちは早速ガンシューティングを始めた。
「おっしゃー!クリアするぞー!」
「いや無理だろ」
「諦めたらそこで試合終了ですよ?」
「残り時間10秒で50点差なんですよ安西先生、諦めなくても試合終了なんです」
「うっせぇ!やって見ねぇとわかんねーだろうが!」
そして加藤は銃を構えゲームを始める。しかし結果は無残なもので、加藤のキャラは開始3秒ほどで死んだ。
「はい終了〜じゃあ次は俺の番っと」
今度は俺がゲームを開始する。まぁ俺もそんなに得意ではないのだが…。俺たちは画面に夢中になって気がついていなかった…そう、足元に出現した魔法陣の存在に。
「……!?おい彰人!下見ろ!下!」
「下?何言って……ッ!?なんだこれ!?」
突如として発生した謎の光に包まれた俺達は思わず声を上げた。そして光が収まった時には……
「どこだよここ……」
目の前に広がっていたのは見知らぬ森の風景だった。