エージェントとOLの話
熱い思いを伝い合い、気持ちを確かめ合ったエージェントの卓馬とOLの美和は結婚報告をしようと美和の実家を尋ねていた。
客間に顔に傷を持つ卓馬と美和が座り、その向かいに老夫婦が座っている。
「お嬢さんを俺にください!」
「ダメに決まってるだろ!お前のようなヤクザ者にやれる訳が無いだろうが!」
「いいえ、俺はヤクザ者ではありません!この顔の傷は子供の頃に猫に付けられたんです。よく間違われますが違います。」
「ダメだ。こんな見た目の奴は信じられん。」
(うーん。どうしたらお父さんはの俺を一般人と思ってくれるんだ? 顔の傷は本当に猫にやられたヤツなんだが・・・。)
卓馬は自分がエージェントだということを普段は偽って生活している為、一般人である美和の父親には話せない。
早くも「お父さん」などと読んでいるが・・・。
卓馬が困っていると、美和が口を挟んできた。
「お父さん! この人はファッションセンスや見た目はてんでダメだけど、チンピラから助けてくれるくらい良い人なんだ!
他にもネガティブ思考だし鈍いし他の女性を間違ってその気にさせるし、いろいろ大変だけど、頼れる人なんだ!」
「ダメじゃないか!」
お父さんはキレた。
そして卓馬は項垂れた。
美和に怒られた時の馬頭よりもこてんぱんに言われたからだ。しかも、褒める時に。
(それって、褒めてないよね。ただのダメ男だよね。ううぅ・・そんな風に思ってとは・・・。)
そしてメソメソしている佐木にキュンときてしまう美和とその母だった。