こんな理不尽があってたまるか!その1
「あんたちょっとこれ買ってきなさい!」
母親のその一言で俺は買い出しに出る羽目になった。ついでに日課のご近所さんに菓子折を配り終えた俺は近くの八百屋に来てきた。
「おばさーん、このキャベツと人参ください!」
「はいよー!毎度あり!!」
これで買い出し終わりかな〜
帰って寝寝るかな〜
でもあの試合のビデオ見ようかな
そうしよう!!
ドゴオオオオオン
そんなことを考えていたからいけなかったのかもしれない目の前に何が飛来した。
「我必殺の奥義がこうも容易く破られるとは…こうなってしまっては手段は選んでいられないか…」
既に満身創痍のズタボロのイケメン紳士が何かを呟いている。
スサッ
「やっと追い詰めました。お覚悟はよろしくて?
この痴漢」
とても綺麗な銀髪の美少女が空から綺麗に着地しながらそんなことを言い出した。
「フッ、我を痴漢扱いか…この我に向かって言うではないか…まぁその通りなんだかな!!」
その通りなんですか。
「死ね!!!」
慈悲はなかった。
氷をツタのようにして変態紳士を見事に拘束
そのまま百叩きの刑に処し、満足げに頷きながら氷漬けにしていた。氷漬けにされた変態紳士はとても満足げに天を見上げていた…ただしその姿はもはや紳士とは言えないただの変態の姿だった。
「こんな汚い氷の作品は初めてだわ。燃やしてしまおうかしら。」
そんなことを言いながら明らかに人の骨までもやしそうな火力のある火の玉を作りながら物騒なことを言い出した
「ストップ!!それ以上はまずい!ストッププリーズ!!」
「何あなたが代わりに受けてくれるの?」
と言いながら銀髪の美少女は火の玉をこちらに向けてきた!!
「誰かに当てないと気が済まないのかな!?」
「だって止められないのだから仕方ないじゃない」
「これだからあああああああああ」
能力者は基本感情の起伏により能力の規模が左右される。そのため怒りのままに能力を使った場合だいたい制御できずに暴走するのである。
「ならどうすればいいの?」
本当にどうすればいいのかわからないわ。みたいな顔で聞いてくる彼女。なんでそんなすまし顔なんですかね?。解せぬ。
「そっとそっとその手を空に向けるんだ」
「こう?」
そう言いながら彼女は物騒な火の玉を持った手を空に向けてあげた。
「そうそう!そのまま火の玉を空に向かって打って!」
彼女は小さく不味いわね。と呟いたような気がした。
「申し訳ないわね。そろそろ時間みたい」
突然彼女はニコッと笑いながら全然申し訳なさそうに言った。
次の瞬間彼女の今まで凛とした雰囲気から一変して目に涙を溜めプルプルと震え始めた。
そして
「ふええええええ!!!!なにこれえええええ!?」
と言いながら手に火の玉をくっ付けながらブンブンと腕を張り始めた。
「…………」
俺は目の前の光景が信じられなかった。こんなタイミングでそんなのありかよと…
「きゃーーーー!!」
その叫び声で俺は我に帰った。
そこには自分で作り出した氷漬け変態紳士のあんまりな姿に驚いたのか変態紳士に向かって火の玉を投げつけていた!!!!
あ、終わった。
そう思うくらい火の玉の威力からすると俺と変態紳士の距離は心許ないくらい近かった。その時俺の中で全てがどうでもよくなってしまった…
そこで俺の意識は暗転した。
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