表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
散文の後/南風  作者: 新辺守久/小珠久武
第〇三幕 塩買う者
21/132

第〇二一話

 壁際に立て掛けられているボードの辺りを見てみると多数の人が大量に張られているメモ用紙っぽいモノをアレコレ物色している。中には殺気を放つやからまでいて近づき難い雰囲気になっている。私と同じぐらいの年齢の子供達も居るけれど、すみの方で申し訳程度にそのメモ用紙をあさっていた。


 受付のお姉さんにその有様をたずねてみると苦笑いしながら答えてくれた。メモ用紙っぽいモノが仕事の依頼票で、毎日更新の早い者勝ちと言っていた。


 依頼票にもランクがあり、自分のランクに合った票をボードから剥ぎ取り、受付カウンターに提出して仕事を請け負い、依頼の達成後に雇い主から認印かサインを貰って、受付カウンターで確認後、依頼料、お金が渡されるシステムなのだそうだ。日数に余裕が有って、尚且つ、依頼を達成出来る自信があれば複数でも可らしい。


 常設の依頼票も有るそうで、低ランクだと薬剤等の素材採取や、ちょっと頑張って食用の動物の買取がメインになるそうだ。高ランクになるとそこに魔物の素材魔石等等が追加され。更に魔物の数が増えない様にする為の間引きを兼ねた定期的な魔物狩りもあるとの事。なんか害獣駆除みたいだ。


 それ等は依頼票を剥ぎ取らずに受付カウンター、或いは買い取りカウンターに事後承諾の形で申請すればいいそうだ。そう言えば広場の一角でたむろっていた連中が居た事を思い出し聞いてみたら、ギルドの登録はしているけれど、ギルド公認の日雇い斡旋業者の馬車を待っている常連達なのだそうだ。その日にって内容は変わるらしいけれど、肉体労働がメインで依頼をこなすより確実で実入りがいいらしい。


 やっぱり職業安定所と派遣業務会社なんじゃないかと思ってしまった。


 依頼票も見たいけれど、人混みの中に進んでテンプレっぽい変なイベントを引き起こしたくもないので、先に買い取りカウンターでストレージ内に確保している薬剤の素材や食用の動物を売る事にする。受付のお姉さんにお礼を言ってその場を離れその場所に向かう。依頼票溢れる壁とそれを漁る人達が居る場所とは逆方向に買い取りカウンターが在った。


 そこには人当たりの良さそうなおっちゃんが居て頬杖ほうづえを付いて暇そうにしていた。カウンター前まで行き、ギルドカードを提示して素材の買取をお願いする。背負い袋から物品を取り出す素振りを見せながらストレージ内から幾つか様子見で薬剤の素材、今の季節、黒の樹海で採れるであろうキノコや薬草類を提示してみた。それ程種類は無い物の一つ一つを鑑定しながらうんうんうなづいていた。劣化や損傷は見られず規定の額で買取して貰える事になった。


 キノコ、薬草類の採取中に偶然遭遇して獲った事にして、麻袋にくるんだ状態で血抜きをしたホロホロ鳥も一羽出してみる。門番の好青年と同じ様な反応をしていた。相場として一羽、五十から七十ダラーぐらいになるそうだ。今回は初回と云う事もあり、六十ダラーのところ、ご祝儀も兼ねて七十ダラーにしてくれた。おっちゃんの好感度が爆上がりである。高々十ダラーそこそこで好感度が買えるなんて、私も安い女だなと内心でんでしまった。


 そしてホロホロ鳥はやはり珍しい鳥らしく、どうやって捕まえたのかに興味を持たれてしまった。偶然に獲れた風を装い「鳴き声が聞こえた方向に矢を放ったら運よく当たった」と答えたら、一瞬、いぶかしげな表情を見せ「……劣化も少ないな、ギフト持ちか?」と小さな声でつぶやいていた。そして直ぐに笑顔に変って、「腕がいいんだな、今度また獲物が取れたら卸しに来いよ」と言って買い取り料金とギルドカードを返してくれた。


 キノコ薬草類合計百ダラー、ホロホロ鳥七十ダラーの締めて百七十ダラーである。門番の好青年が払ってくれた金額も「色を付けて」と言っていたので相場の範疇だと思われる。狙った金額じゃなく、妥当な金額だった模様。まぁ、好青年には変わりないが。


 ただ、懐は暖まったものの、おっちゃんの一瞬見せた表情と小声で呟かれた「ギフト持ち」の言葉で、心に多少のわだかまりを覚える。私の言葉に何か引っ掛かりでもあったのだろうか、ギフトって最近生えた<気配探知>やエンヤさんから貰った<ストレージ>、<鑑定>の事だろうか? それは他の人も持っているんだろうか? 或いは魔法を使って獲った事に気付かれたとか? 色々と考えてしまう。


 おっちゃんはそんな私を見て気を使ってくれたのか最後に一つだけ、ちょっとした裏技っぽい話をしてくれた。もしツテが有るなら商人に売るか、あと壁外へきがいにある商人ギルドが管理している市で場所を借りて売ればもうちょい稼げる、かもしれない。と教えてくれた。状況にって使い分けろって事らしい。


 おっちゃんにお礼と挨拶して買い取りカウンターを離れる。依頼票の張られている場所は先程より人は減っていて殺気立った人も居ない。ボードに張られていた票が何枚も剥ぎ取られ歯抜けになっている。代わりに受付カウンターに列が出来て混雑していた。


 ボードの前に立ち、今の自分と同じランクFの表記がなされている依頼票に目を通してみる。常設依頼も一緒に張られていて、薬剤の原料となる植物の買取、食用の動物の買取、物品の配達、道や建物の清掃、畑仕事のお手伝い、ペットの散歩等等。雑用依頼がメインだった。依頼料は子供の小遣い程度っぽい感じがする。


 その中の一枚の依頼票に手を伸ばすと横からその票が剥ぎ取られた。私と同じぐらいの歳の少年がドヤ顔で票を見せびらかしている。内容を確認したかっただけなので特に気にする事無く別の票へ手を伸ばす。するとまた少年が横から剥ぎ取っていく。それを更に二度、三度繰り返す。コイツは私にケンカを売っているのだろうか?


 私は目を細くして少年に視線を向けるとドヤ顔だった彼は「ヒッ!!」と小さな息を飲む様な悲鳴を上げた。若干、足も震えている。自分でケンカを売っておいて悲鳴を上げて震えるとは何がしたいんだコイツ?なんて思っていると後ろから声を掛けられた。あぁ、この重圧感プレッシャーは。


「カノンさんに、お勧めなのはこれだね」


 そう言ってエンヤさんの上司はボードの端に有る若干色褪いろあせた依頼票に指を差していた。


 の糸目な死神の登場か。相変わらずこの威圧感も半端ない。この少年は私を見て、と言うより私の後ろのなんとも言い知れぬ、魂を揺さぶる死の恐怖の存在に悲鳴を上げたのも仕方がない。足を震わせているも立った状態だし、床を濡らしていないだけ頑張っている方だろう。


 周りに視線を巡らせると絡んできた少年以外にも、受付カウンター、待合室を兼ねたフロントロビー内に居る大人達がその気配を感じた様で小さなざわめきが起きていた。


 その中の幾人かは私に何かしらの興味を抱いて見ている様だった。不穏な気配を感じ取った者の雰囲気に釣られ視線の先であるこちらを見ている者も何人か居た。大概は子供の小競り合いかとすぐに興味を無くしていた。誰にも姿が見えていないのに死神の存在感在りまくりの所為で、とばっちりもいいトコロだ。糸目の死神はそんなのお構い無しばかりに話を続ける。


「そうだね、エンヤ君を連れて行くといいよ。きっと役に立つ。そうすれば君待望の、地球……日本の調味料レシピも一つ教えて貰えるから一石二鳥だよね」


 つまりこの依頼は以前、エンヤが話をしていた死神の手伝い。魂の回収絡みに関係している案件なのだろう。私はその依頼票を剥ぎ取った。


 ランクF<薬剤の調達。黒の樹海に自生する薬草と魔力茸の採取。依頼料、千ダラー。依頼主、ナタリー夫人>

読んで頂き有り難うございます。

我が妄想。更新は気分的に、マイペースに、です。

構成を考えず直感で自己満足しながら楽しんで書いているので面白く読めるかは判りません。

120%の適当加減さ。中途半端な知識を妄想でブレンドして、勢いと雰囲気だけで誤魔化そうとしています。

読み手に対する時間泥棒な作文です。読み辛い部分が多々有ると思いますが、そこは平にご容赦を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ