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散文の後/南風  作者: 新辺守久/小珠久武
第〇二幕 死を運ぶ者
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第〇一二話

更新は気分的に、マイペースに、です。

我が妄想。……続きです。

 私の横には盗賊の黒焦げになった死体が幾つか転がり、足元には背中を剣でザックリ斬られうつぶせに倒れている母さんが居る。特級ポーションにる応急の治療を施して、ストレージから取り出した赤い外套を傷の癒えた背中にそっと掛けた。


 カレン姉さんとリアン義姉ねえさんはこちらに近づく事無く、視線を彷徨わせながらその場にたたずんでいる。


「か、カノン……貴女あなた本当にカノン。なの?」

「……あ、あかい瞳。あ、悪魔?」


 私に対する畏怖の為か顔を強張こわばらせたカレン姉さんがようやく口を開いた。搾り出すようにリアン義姉さんの言葉が続く。つか、悪魔って酷くない?!


 怒りに任せ盗賊達に八つ当たりをした今の私は普段とは違う眼をしているらしい。怒りの感情を出来るだけ押さえて二人に視線を向ける。


「ひぃっ」

「……っ」


 二人は小さい悲鳴をあげその場にへたり込んだ。恐怖心で顔が歪みガチガチと歯を鳴らしている。……これって、私の所為じゃない。背後から纏わり付くような重圧感。全ての生物が抱く根源たる恐怖。死。以前、邂逅した事がある感覚。目の前で腰を抜かしている二人には彼がどの様に見えているのだろうか?


 私は振り返らず後ろに居るモノへ声を掛ける。


「……アンタか、死神」

「あーあ、やっちゃったねぇ」

「二人が恐慌状態に陥ったのはアンタの所為じゃないか」

「や、そっちじゃなくてですね、貴女あなたの周りで死の歪みが発生した件の方。死ぬ定めの者が生き残って、生きる定めの者が死んじゃうってヤツ」

「……盗賊と、母さんの話、か。定めをくつがえしちゃ駄目、だったのか?」

「いえ、別に生き死にが入れ替わった所で構わないんです。定めはあくまでも予定であって未定ですからね、確定じゃない。僕らの仕事が多少変化するだけで、遅かれ早かれ行き着く先は同じだからね」

「つまり今ここに姿を現したのは仕事の為、死者のお迎えって事か?」

「そうなるねぇ、今夜はとても忙しくなりそうだよ。カノンさん、お手柔らかに頼みますよ」


 そう言うと死神の重圧な気配は消えた。なんだよ、お手柔らかにって。その言葉はそっくりそのまま返したい。見てくださいよ、カレン姉さんとリアン義姉ねえさんが酷い有様になっているじゃないか。


 二人には死神がはっきりと視認出来ていない様だったけど、顔を引きらせて涙と鼻水でグシャグシャに泣きながら抱き合っている。相当な威圧感があったんだろう。


「カレン姉さん、リアン義姉ねえさん。母さんをお願い。ここで大人しくしていれば多分、大丈夫。私は……」


 私は、平和だった開拓村に紛れ込んだ異物の排除に向かう。最後の方の言葉は誰にも聞かせなくてもいい。精神的に酷い状態の二人に母さんを頼むのも如何かと思ったけれど、お願い出来る人間が近くに居ないので仕方がない。


 けれど、死神はいいタイミングで出てきてくれたと思う。彼の重圧を感じながら会話してようやく平静を取り戻せた気がする。そうやって心が落ち着くと、今度は先程の立ち回りを考えてしまう。


 前世と今世を通して、相手が盗賊だったとは言え初めて人をあやめた。怒り心頭に発する状態だった所為もあって、思っていた程忌避感が無い。一度、死んで転生した事も関係有るのだろうか?


 いや、この世界はいとも容易たやすく簡単に人間の命がこぼれ落ちる弱肉強食の世界だ。私は手が届く範囲だけでもいいから人の命をすくいたいし、救いたい。それを言い訳にして人をあやめる事を正当化するつもりはないけれど、その重みを背負う覚悟で充分留意して間違った方向に力の使わない様に気を付けよう思う。


 そんな思索をしながら、役立たずな気配探知を張り巡らせ家の前までやって来た。今の所、盗賊の姿は見えないし、探知にも引っ掛からない。なんとなく開拓村の中心部に集まっている感じがする。


 辺りを見回し、物言わぬ姿と変わり果てた父さんとアルタ兄さんを見つける。十年に及ぶ家族として分かち合った喜怒哀楽な記憶が呼び起こされ、走馬灯の様に流れ、自然と涙する。「ごめんなさい、ごめんなさい」と心の中で何度も繰り返し謝った。


 涙が止まった頃、二人の亡骸を庭の片隅へ引っ張ってきて並べ、胸の辺りで両手を組ませ仮の安置とする。魂の安らかなる眠りと輪廻転生で私みたいに道をたがわぬ事を願って黙祷する。


 服の袖で枯れた涙を拭き取り、気持ちを入れ替え開拓村中心部に眼を向ける。


 開拓村の至る所で火の手が上がっているのが見えた。気配を消して村の中心部へと足を進める。特殊部隊かサバイバルゲームをやっている気分。


 特殊部隊は映画の中だけで、現実では接する機会さえある筈も無く、サバイバルゲーム、通称サバゲーは知識として持っているけれど実際に参加した事はない。下手をすると実家の畑を荒らしに来ていた野性のサルを追い返す為に電動ガンをぶっ放していた婆さんの方が経験豊富かもしれない。そんなレベル。


 息を殺し、闇に紛れ、ダンボール……は無いので収穫物を入れる木箱の影に隠れ、盗賊に見つからない様に村内を探索する。村の彼方此方あちこちには老若男女問わず死体が転がり、まだ生きている者に対しては、暴力で脅し広場へ一纏ひとまとめにしている。反抗的な者に対しては剣で切り付ける非道な振る舞い、傍若無人振りを発揮していた。


 火の手が及んでいない建物の中では他の盗賊達が生き残った女子供をなぶり、目をおおいたくなるような惨状が繰り広げられていた。父さんとアルタ兄さんが命を賭けて逃がしてくれたお陰で私達は無事だったけれど、盗賊こいつ等がいる限り安全とは言えない。私は心に覚悟を決め自分の姿を晒し広場に向かって歩き出す。


「おい、まだ娘が残ってんぞ!」

「か、カノンちゃん!?アランとカーヤはっ!?お兄さんやリアンさんに、お姉さんは?」

「ちょ、ちょっと待て、なんか様子が変だ」

「カノン!こっちに来るな、早く逃げるんだっ!!」


 広場に集められた顔見知りの小父おじさんや小母おばさんの声と盗賊達の声が入り乱れる。その言葉全てに私は返答する。


「ありがとう、さよなら」

読んで頂き有り難うございます。

構成を考えず直感で自己満足しながら楽しんで書いているので面白く読めるかは判りません。

120%の適当加減さ。中途半端な知識を妄想でブレンドして、勢いと雰囲気だけで誤魔化そうとしています。

読み手に対する時間泥棒な作文です。読み辛い部分が多々有ると思いますが、そこは平にご容赦を。


スローライフ何処行った?

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